【為替本日の注目点】ドル円3週間ぶりに141円台前半に

ドル円は続落。米長期金利が低下したこともあり、ドル売りが優勢に。一時は141円28銭まで売られ、先週末から3円近くも円高に。ユーロドルでもドル安が進み、ユーロは6月22日以来となる1.1を付ける。株式市場は3指数が4日ぶりに上昇。明日発表のCPIが鈍化するとの期待や米金利が低下したことが材料に。債券は5日ぶりに反落。長期金利は4%を割り込む。金と原油は反落。
5月消費者信用残高 → 7,240b
ドル/円 141.28 ~ 142.51
ユーロ/ドル 1.0944 ~ 1.1001
ユーロ/円 155.33 ~ 156.01
NYダウ +209.52 → 33,944.40ドル
GOLD -1.50 → 1,931.00ドル
WTI -0.87 → 72.99ドル
米10年国債 -0.068 → 3.994%
【本日の注目イベント】
日 5月国際収支・貿易収支
豪 7月ウエストパック消費者信頼感指数
豪 6月NAB企業景況感指数
独 6月消費者物価指数(改定値)
独 7月ZEW景気期待指数
欧 NATO首脳会議(リトアニア)、岸田首相も出席
英 ILO失業率(3-5月)
英 6月失業率
ドル円は昨日の東京時間では緩やかにドルが反発し、143円をうかがう水準まで買い戻しが進みましたが、NYではその流れが続かず大きく売られています。米金利が低下し、ドルが下げる過程では「ストップロスのドル売り」も巻き込んだと思われ、一時は141円28銭まで売られました。これで直近高値からは4円程度円高が進んだことになります。
今朝の日経新聞も報じていましたが、7月4日時点のシカゴ先物市場での「円売り」枚数は、11万7920万枚と、2018年1月以来5年半ぶりの高水準になったようです。1枚が1250万円ですから、投機筋を中心に合計で1兆4700億円の「円売りドル買い」を行ったことになります。言うまでもなく、これは今後「ドル高円安」がさらに進むとの予測の基に円売りポジションを積み上げていることが背景ですが、ドル円は先週末から急速に円高方向に振れてきました。このままドルが続落し、140円割れをテストするのかどうかは不明ですが、仮にドルが一段と売られるようだと、上記ポジションの反対売買が行われる可能性もあります。つまり「ストップロスのドル売り」です。投機筋は個人投資家と異なり、決算期もあり、マイナスポジションをそう長くは維持しません。ポジションの偏りが、さらなる円高方向へのトリガーになることも考えておく必要があるかもしれません。
昨日は数人のFOMCメンバーが「タカ派寄り」の発言を繰り返しましたが、効果はなかったようです。クリーブランド連銀のメスター総裁は、「インフレが持続的かつ時宜を得た形で2%へと戻ることを確実にするためには、政策金利が現行の水準からさらに幾分か上昇する必要があるというのが私の見解だ。その後は、経済の進展状況についてさらなる情報を収集する中で、政策金利をしばらく据え置く必要がある」と述べています。またバーFRB副議長も、「インフレはまだかなり高すぎる。この1年余りにわたって、金融政策で多くの進展を遂げてきた。それは必要な仕事だ」と述べた上で、「あと少しだが、まだやるべき仕事がある」と語っています。サンフランシスコ連銀のデーリー総裁も同様に、「インフレ率を持続可能な2%水準に沿った軌道へと確実に戻すため、年内あと2回の利上げが必要になる公算が大きい」と、具体的に「2回」という数字を挙げています。一方アトランタ連銀のポスティック総裁はこれまでの主張を繰り返し、「景気減速の兆しが見える中で政策当局者は今のところ忍耐強くいられる」との見解を示し、多くの当局者とは一線を画していました。(ブルームバーグ)このように、今後のデータ次第という部分はもちろんありますが、現時点での見方では7月会合に続き、年内残る3回の会合でも1回は追加利上げがあると見られており、これが「ドル円をサポートするはず」と読むことも出来そうです。先ずは明日発表される「米6月の消費者物価指数」が最大のヤマ場になります。
イングランド銀行のベイリー総裁も自国のインフレについて発言を行っています。ベイリー総裁は、「英国のインフレ率は年内に著しく低下する公算が大きく、利上げの影響はまだ完全には経済に表れていない」との見方を示しています。英国のインフレは主要国の中でも根強いと見られており、総合インフレ率は直近で「8.7%」と、中銀が目標とする「2%」の4倍を超えています。イングランド銀行は6月の会合では想定を超える「0.5%」の追加利上げを決めており、政策金利は「5%」に達しています。ベイリー総裁はこの大幅な利上げの効果が年内に見込めるとして、インフレ率が「著しく」低下すると述べているようです。
NATO首脳会議がリトアニアの首都ビルニュスで開催され、岸田首相も参加するようです。バイデン大統領はウクライナへクラスター爆弾の供与を決めましたが、ポルトガルなどが反対しており、議題の一つになりそうです。NATOの結束にもややほころびが見えている中、ゼレンスキー大統領も12日には同会議に参加するようですが、ウクライナのNATO加盟についても話合われるかもしれません。
本日のドル円は140円70銭~142円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は続落。米長期金利が低下したこともあり、ドル売りが優勢に。一時は141円28銭まで売られ、先週末から3円近くも円高に。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-07-11 10:00