【為替本日の注目点】ドル円欧州で140円前半まで下落

 上値を重くしているドル円は欧州市場で140円17銭近辺まで下げたが、その後はNY時間にかけて反発。NYでは一旦ドルが買われたものの141円には届かず再び140円台前半まで下落。ユーロドルは小幅に上値を切り上げ1.1009まで上昇。株式市場は3指数が続伸。マイクロソフトの大型買収が前進したことで市場のセンチメントも好転。ダウは317ドル買われた。債券は続伸。長期金利は3.97%台に低下。金と原油は反発。 ドル/円 140.31 ~ 140.95 ユーロ/ドル 1.0977 ~ 1.1009 ユーロ/円 154.18 ~ 154.80 NYダウ +317.02 → 34,261.42ドル GOLD +6.10 → 1,937.10ドル WTI +1.84 → 74.83ドル 米10年国債 -0.024 → 3.970% 【本日の注目イベント】 英 BOE、金融安定化報告・BOE総裁会見 米 6月消費者物価指数 米 ベージュブック(地区連銀経済報告) 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演 米 ブレーナード米国家経済会議(NEC)委員長講演 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会に参加 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会に参加 米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演 加 カナダ中銀政策金利発表  下値を徐々に切り下げているドル円は昨日の欧州市場で140円17銭前後まで売られ、140円割れを試す動きが見られました。その後のNYでは一旦反発したものの、141円には届かず再び140円台前半まで押し戻される展開でした。これで直近のドルの高値から5円近く急速に円高が進んだことになりますが、その背景について、昨日は当社のお客様からも何件か問い合わせがありました。  先週後半からドル円は上値を徐々に重くはしていましたが、金曜日の雇用統計が市場予想を下回った辺りから下落基調を強めています。今月のFOMC会合では0.25ポイントの利上げはほぼ確実と見られる上に、パウエル議長も含め、多くのFOMCメンバーが年内にさらなる利上げが必要との「タカ派」発言を行うなど、外部環境はこれまでとほとんど変わっていません。最も変わったのは日銀に対する見方です。少なくとも6月下旬辺りまでは「7月の決定会合では政策変更はない」との見方が支配的でしたが、今週に入り「サプライズ」を予想する向きが一気に増え、風向きが変わってきています。  「市場の移り気」は今に始まったことではありませんが、日本の債券市場では先月27日には一時「0.355%」まで低下した10年債利回りが、昨日は「0.45%」まで上昇してきました。市場参加者が今回の会合で「ひょっとしたらYCCの修正など、何らかの動きがあるかもしれない」ことを織り込み始めたことの表れです。好調だった日本株もこのところ下落基調が続いているのも、それが理由の一つと見られます。筆者は「今週のレンジ予想」ではその可能性についてコメントを書きました。またFOMCでも今後の追加利上げの可能性はあるとしても、米金融当局が金融引き締め政策の終盤にいることについても再三述べてきました。一方日銀はどこかの時点で政策修正を迫られることもほぼ確実と見てきました。ブルームバーグは記事で、「既に日銀の政策修正リスクをオプション市場が織り込み済みと考えれば、ドル円のスポット市場のリスクは151円超えに傾いており、当局による介入が現実味を帯びてきたと言える」といった記事を配信しましたが、これは7月3日のことで、まだ先週月曜日の話です。また、バンク・オブ・アメリカが顧客向けレポートでドル円は大幅に上昇すると予想したのも、この頃だったと思います。市場は常に先を読み、その見方を確かなものにするため右往左往しながら材料を探しています。発表されるデータ次第では翌日にも見方が変わる可能性もあるため、今後も投資家は冷静かつ柔軟に向き合い、フットワークの軽さも必要です。  今夜発表の6月の消費者物価指数(CPI)は、総合CPIが前年比「3.1%」(前月は4%)、コアCPIは同「5%」(前月5.3%)と、前月に比べインフレ率の伸びは鈍化していると予想されています。ただ、それでも7月会合での追加利上げ見送りの材料にはならないと見ていますが、予想を下回るようだと、「7月会合以降で、年内もう1回の利上げ」観測も一気に後退する可能性もあります。そうなると、ドル円は140円割れを試すことになりますが、その際のメドは「138円33銭前後が極めて重要」と見られています。この水準はドル円が141円近くまで上昇しその後落とされた時と、さらにその後何度か下値を試した際にもサポートされた重要な値位置です。もちろん、CPIが予想を超えていれば、ドル円は142円を試す可能性もありますが、米インフレが収まらないことを理由に、ドル円が再び145円をテストするには時間を要すると思われます。  本日のドル円は138円80銭~141円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
上値を重くしているドル円は欧州市場で140円17銭近辺まで下げたが、その後はNY時間にかけて反発。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-07-12 10:15