【為替本日の注目点】ドル円一時137円台に下落

ドル円は上値の重さが払拭できず。失業保険申請件数が発表になった直後ドル円は138円95銭まで値を戻したが、PPIの発表に一気に138円を割り込む。ユーロドルは続伸し、1.1228前後まで上昇。主要通貨に対してドルは全面安の展開。株式市場は3指数が揃って4日続伸。タカ派のセントルイス連銀総裁の辞任も支援材料に。債券も続伸。長期金利は3.76%台に低下。金と原油は3日続伸。
新規失業保険申請件数 → 23.7万件
6月生産者物価指数 → 0.1%
6月財政収支 → -227.8b
ドル/円 137.93 ~ 138.95
ユーロ/ドル 1.1162 ~ 1.1228
ユーロ/円 154.46 ~ 155.12
NYダウ +47.71 → 34,395.14ドル
GOLD +2.10 → 1,963.80ドル
WTI +1.14 → 76.89ドル
米10年国債 -0.094 → 3.763%
【本日の注目イベント】
日 5月鉱工業生産(確定値)
印 G20財務相・中央銀行総裁会議(インド、ガンディーナガル、18日まで)
欧 ユーロ圏5月貿易収支
米 6月輸入物価指数
米 6月輸出物価指数
米 7月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
米 企業決算 → ウェルズ・ファーゴ、JPモルガン、シティーグループ、ブラックロック
米インフレの鈍化傾向を示す指標が相次いでいます。昨日発表された米6月の生産者物価指数(PPI)は総合で前年同月比「0.1%」と、市場予想を下回り、約3年ぶりの低い伸びとなりました。コアPPIでも前年同月比「2.4%」と、市場予想の「2.6%」を下回っています。前日のCPIに続き、PPIでも物価上昇圧力の緩和が浮き彫りになる内容で、インフレ阻止に取り組む米金融当局にとって安心材料になりそうです。
ドル円は先に発表された「週間新規失業保険申請件数」が予想より減少していたことで、ドル買いが強まり、138円95銭までドルが反発しましたが139円には届かず。その後発表されたPPIがドルを押し下げ、一時は138円を割り込み、137円93銭前後までドル売りが進みました。7月のFOMC会合で0.25ポイントの利上げを行った後、年内にもう1回の利上げがあるといった観測が急速に後退したようです。PPIの結果を受け株と債券が再び買われ、長期金利は急低下しています。1週間前には4.029%で引けた10年債利回りは3.76%台まで低下し、ドル下落に拍車をかけている状況です。
もっとも、この日の株高・債券高の一因にはブラード・セントルイス連銀総裁の「突然の辞任」もあったようです。ご承知のように、ブラード氏は「タカ派の急先鋒」で、2021年半ばから、数十年来の急速なインフレを抑え込むには積極的な措置を取るべきだと再三主張してきました。今回、FRBがインフレ抑制への政策変更が出遅れたことで、急激なインフレが続いたとも言われてきましたが、その中でもブラード総裁は早くから大幅利上げを行うべきだと主張しており、その慧眼には個人的にも敬意を払ってきました。ブラード氏の在任期間は15年にもなります。ただ今回の任期は確か2024年3月までだったと記憶していますが、13日付けで辞任すると唐突に同連銀が発表しています。ただ8月14日までは同連銀の顧問として残り、退任後はパデユー大学ビジネススクールの学部長に就く予定ですが、今月のFOMC会合を始めその他の関連職務からは身を引き、講演なども全て中止したとセントルイス連銀は説明しています。(ブルームバーグ)任期途中で、しかもFOMC会合まで2週間を切った中での「突然の辞任」です。異例といえば異例で、この先様々な憶測を呼びそうです。市場は現金なもので、 ブラード氏の辞任で今後利上げ圧力が低下するとの読みからドルを売り、債券と株を買う行動に出ています。
CPIに続きPPIも伸びが大きく鈍化していることから、米インフレが巡航速度に戻る可能性が高まっています。ただ、まだそう判断するのは早計です。サンフランシスコ連銀のデーリー総裁も、「インフレとの闘いで勝利宣言するのは実に早すぎる」と、CNBCの番組で釘を刺しており、「インフレを2%に押し下げる決意は変わらないため、これについては様子見モードだ」と慎重な姿勢を見せていました。
ドル円は137円台に突入したため「日足の雲」に入っています。この雲は比較的厚みもあり、雲そのものが「抵抗帯」として機能します。雲の下限は現在、135円96銭を示しており、やはり135円という値位置が重要になってきます。ここは大きな節目でもあり、ここを抜けると雲を完全に下抜けし、トレンドの転換を意味するからです。
本日のドル円は136円80銭~138円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は上値の重さが払拭できず。失業保険申請件数が発表になった直後ドル円は138円95銭まで値を戻したが、PPIの発表に一気に138円を割り込む。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-07-14 10:00