【為替本日の注目点】ドル円ほぼ138円台で推移

 中国のGDPが予想に届かなかったことでドル円は欧州市場で一時138円をわずかに割り込む。NYではNY連銀製造業景況感が予想を上回ったことでドルが139円台半ばまで反発。ユーロドルは1.12台で堅調に推移。利上げ観測がユーロを支える流れが続き、1.1246まで上昇。株式市場は3指数が揃って上昇。米景気のリセッション入りの可能性が低下したとの見方が広がりダウは76ドル、ナスダックは131ポイント上昇。債券は反発。長期金利は3.807%台に低下。金と原油は下落。 7月NY連銀製造業景況指数 → 1.1 ドル/円 137.99 ~ 139.40 ユーロ/ドル 1.1205 ~ 1.1246 ユーロ/円 155.34 ~ 156.33 NYダウ +76.32 → 34,585.35ドル GOLD -8.00 → 1,956.40ドル WTI -1.27 → 74.15ドル 米10年国債 -0.025 → 3.807% 【本日の注目イベント】 豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表 米 6月小売売上高 米 6月鉱工業生産 米 6月設備稼働率 米 7月NAHB住宅市場指数 米 企業決算 → BofA、ロッキード、モルガンスタンレー 加 カナダ6月住宅着工件数 加 カナダ6月住宅着工件数  円高方向にトレンド転換を見せるのかどうか注目されるドル円は、引き続き荒っぽい動きになっています。中国の4-6月期GDPが「6.3%」と前期よりは伸びていたものの、市場予想の「7.1%」には届かなかったことで、ドル円は欧州時間に一時138円をわずかに割り込む場面がありました。不動産市況の低迷などが一因となっており、同国の不動産開発会社、中国恒大集団は2021-22年に合わせて810億ドル(約11兆2300億円)余りの巨額な損出を計上しています。  ドル円はNYでは一転して買われています。7月のNY連銀製造業景況指数が前月の「+6.6」から低下し、「+1.1」と、わずかにプラスを維持していましたが、大きな低下でした。ドル円は138円台半ばから139円台半ばまで上昇しましたが、同指標の結果だけの反応としてやや大きすぎる印象です。イエレン財務長官の発言もドルを押し上げた可能性がありそうです。イエレン長官はブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで、「多くの国が自国経済の促進に向け、力強い中国の成長に依存している。特にアジアの諸国がそうだ。中国の成長減速は米国にある程度の悪影響を及ぼす可能性もある」と、中国景気の減速について述べています。さらにイエレン氏は米国景気にも触れ、「米国の成長は減速したが、労働市場はかなりの力強さを維持している。リセッションは予想していない。米国は労働市場の大幅な軟化を伴わずにインフレ率を低下させる、『好ましい軌道』を進んでいると考える」と語り、12日に発表された6月の消費者物価指数(CPI)については、「かなり心強い内容だった」と述べています。イエレン財務長官が米国のリセッション入りの可能性を否定したことに加え、この日はゴールドマンやJPモルガンも米景気がソフトランディングする可能性を引き上げていましいた。  ロシアはほぼ1年続いたウクライナ産穀物の輸出合意を打ち切りました。ペスコフ大統領府報道官は「この黒海輸出合意のロシアに関する部分はこれまで履行されていない。従って打ち切りとなる」と述べています。ロシアが同合意を打ち切ったことで、世界の食糧供給を巡る不透明性が高まり、シカゴ先物市場の小麦価格は一時「4.2%」、トウモロコシも一時「2.3%」上昇する場面がありました。この他にも、ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミアとロシアをつなぐ「クリミア橋」で17日未明複数の爆発があり、2人が死亡、車両・鉄道が通行止めになっています。ロシアは、「ウクライナ特殊部隊が爆破を実行し、橋の車道部分が損傷した」と発表しています。  ドル円は137円台前半まで売られた後、やや戻り基調にはなっています。日足チャートでは「雲の中」に入ったものの、今朝はやや雲の上限から脱失したように見えます。MACDでは「マックD」がゼロの軸を下抜けし「マイナス圏入り」している点が注目されます。ただ、「シグナル」は依然として「プラス圏」にとどまっています。仮に2つの線が「マイナス圏」に入れば4月中旬以来ということになり、トレンドの転換が確認される可能性が高いと考えられます。来週のFOMCを控え、ブラックアウト期間に入っているため、FOMCメンバーによる発言もありません。137-140円のレンジの中で会合を迎えることになりそうですが、まだ会合まで1週間あります。そのレンジに収まるのかどうか予断を許しません。  本日のドル円は137円50銭~139円50銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
中国のGDPが予想に届かなかったことでドル円は欧州市場で一時138円をわずかに割り込む。NYではNY連銀製造業景況感が予想を上回ったことでドルが139円台半ばまで反発。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-07-18 10:00