【為替本日の注目点】ユーロドル上値を切り上げ1.1270に

ドル円は東京時間からじり安が続きNYの朝方には137円69銭まで下げる。その後日銀総裁の発言や株高からリスクオンの流れが強まり139円台前半まで反発。ユーロドルも底堅く、1.1270まで小幅に上値を切り上げる。株式市場は3指数が揃って大幅続伸。銀行決算が好調だったことに加え、経済指標も総じて軟調だったことで株式に資金が流入。債券は小幅に続伸。長期金利は3.78%台に低下。金は大幅に反発。原油も反発し、75ドル台を回復。
6月小売売上高 → 0.2%
6月鉱工業生産 → -0.5%
6月設備稼働率 → 78.9%
7月NAHB住宅市場指数 → 56
ドル/円 137.69 ~ 139.13
ユーロ/ドル 1.1209 ~ 1.1270
ユーロ/円 154.87 ~ 156.11
NYダウ +366.58 → 34,951.93ドル
GOLD +24.40 → 1,980.80ドル
WTI +1.60 → 75.75ドル
米10年国債 -0.021 → 3.785%
【本日の注目イベント】
欧 ユーロ圏6月消費者物価指数(改定値)
英 英6月消費者物価指数
米 6月住宅着工件数
米 6月建設許可件数
米 企業決算 → ゴールドマン、ネットフリックス、IBM、テスラ、アルコア
東京時間ではやはりドルの上値は重く、欧州市場の午前中まではジリ安の展開でした。NYでは朝方こそドル売りが進み137円69銭まで下げましたが、その後は大きく反発しています。6月の「小売売上高」が市場予想を下回ったことを材料にドル売りが進んだと思われますが、その後植田日銀総裁の発言が伝えられドルを押し上げています。
インドで開かれていたG20財務相・中央銀行総裁会議終了後に植田総裁が会見を行いました。総裁は、「金融仲介機能や市場機能に配慮しつつ、イールドカーブ・コントロール(YCC)政策の下で粘り強く金融緩和を続けてきた」と説明し、その上で、「目標との距離や見通しを毎回の金融政策決定会合できちんとチェックし、その前提が変わらない限り、全体のストーリーは不変だ」と語っています。27-28日の決定会合では、日銀が何らかの修正に踏み切るとの観測が急速に高まり、これが先週の「ドル安・円高の一因」になっていました。日本の債券市場でも、「日銀が動く」との見方を織り込む形で、長期金利の上昇が続いており、日銀が設定した上限の0.5%に迫る、0.4%台後半まで金利上昇が進んでいます。この発言はそれらの動きをけん制する意味合いもあったかと思われますが、ドル円はこの発言をきっかけに139円台前半まで円安が進みました。
この発言に対して、興味深い独自のコメントをブルームバーグは配信しています。記事は、「とはいえ、インフレ目標達成に関する日銀の見解が今月も変わらないという保証はない。植田総裁の発言は期待にある程度水を差すかもしれないが、日銀は以前にもくせ球を投げて来たのは確かだ」として、2016年にマイナス金利メカニズムに移行して市場に衝撃を与えた例を挙げています。続けて、「日本のコアCPIを見ると、インフレ目標達成の可能性がここ数カ月でプラスの方向に動いていると仮定するのは確かに合理的だ」と論じています。また、日銀が動くとの想定の基に日本国債のショートに賭けているファンドも紹介しています。8800億ドル(約122兆円)余りの資産を運用するインサイト・インベストメントのマネージャーであるブレンダン・マーフィー氏は、日銀が金融引き締めに動くのは時間の問題だとして、日本の10年国債先物をショートしていると報じています。マーフィー氏は、「YCCが解除されるとわれわれは考えている。日銀の政策は徐々に正常化に向っていくだろう」と述べ、日本国債のショートに賭けていることを認めています。筆者は先月までは日銀が動く可能性は五分五分とみていましたが、今月に入って債券市場の動きを観察する過程で、「動く方向」に傾いています。
ドル円は来週のFOMC会合までは動きにくく、狭い値幅でもみ合うと予想していましたが、連日荒っぽい動きが続いています。それでも会合までは137円~140円のレンジ内で推移するとみていますが、どうでしょう。
本日のドル円は138円~139円80銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は東京時間からじり安が続きNYの朝方には137円69銭まで下げる。その後日銀総裁の発言や株高からリスクオンの流れが強まり139円台前半まで反発。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-07-19 09:45