【為替本日の注目点】英6月のCPIは7.9%

日銀のYCC修正観測が急速に後退し、ドル円は欧州とNY時間朝方に139円99銭まで上昇。株価の上昇もあり、リスクオンの流れから円売りが進む。ユーロドルは反落。ドルが買い戻され、ユーロドルは1.1174まで売られる。ポンドドルも下落。英6月のCPIが予想を下回ったことで、英金利の上昇も終盤との見方が浮上。株式市場は3指数が続伸。ダウは109ドル上昇し8連騰。アップルなどが買われ、株価の上昇に強気の見方が続く。債券は続伸。長期金利は3.74%台に低下。金は横ばい。原油は小幅安。
6月住宅着工件数 → 143.4万件
6月建設許可件数 → 144.0万件
ドル/円 139.38 ~ 139.99
ユーロ/ドル 1.1174 ~ 1.1225
ユーロ/円 156.15 ~ 156.82
NYダウ +109.28 → 35,061.21ドル
GOLD ±0 → 1,980.80ドル
WTI -0.40 → 75.35ドル
米10年国債 -0.037 → 3.748%
【本日の注目イベント】
豪 6月雇用統計
日 6月貿易統計
トルコ 中銀政策金利発表
独 6月生産者物価指数
欧 ユーロ圏7月消費者信頼感指数(速報値)
欧 ユーロ圏5月経常収支
米 新規失業保険申請件数
米 7月フィラデルフィア連銀景況指数
米 6月中古住宅販売成約件数
米 7月景気先行指標総合指数
米 企業決算 → J&J、ブラックストーン
今月の日銀金融政策決定会合で、YCC修正などの「動き」があるのかどうかを巡る観測が定まらず、ドル円は連日上昇下落を繰り返し右往左往している状況です。前日137円台半ばまで売られたドル円は、昨日のコメントでも触れたように、G20後の会見で植田日銀総裁が「目標との距離や見通しを毎回の金融政策決定会合できちんとチェックし、その前提が変わらない限り、全体のストーリーは不変だ」と述べたことが「今回の会合での修正はない」と受け止められ、昨日の東京時間でもドルを買う動きが優勢でした。NYでも株価の上昇もあり、債券も買われ金利が低下したにもかかわらずドル円が上昇し、ほぼ140円の水準まで反発しています。もっとも、この日は英6月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回り、英金利の上昇も一服との見方からポンドドルでポンドが売られた影響もあったかと思われます。
筆者は個人的には日銀の政策据え置きには懐疑的ですが、周りを見渡すと、ほぼ「動きなし」で外堀は埋められた格好です。昨日たまたま、日経QUIK主催の「月次調査セミナー」に参加してきました。「展望・世界の金融政策、植田日銀、次の一手は」と題して、著名なエコノミストや元日銀審議委員の講演などがあり、来週の会合を控え極めて好タイミングのセミナーでした。そこでの見方は、全てのパネラーやエコノミストが「動かない」と予想しており、総じて株式には強気で、ドル円についてもドル高をイメージしていました。正直、やや驚いたというのが率直な感想です。FRBとECBは今月の会合で0.25ポイントの利上げを行い、日銀は政策を据え置く。そして、米欧ではインフレがピークを過ぎ今後も緩やかに低下していくというのが、足元のコンセンサスになっているようです。さらに7月会合以降の見方については、FRBは不透明で、ECBは追加利上げの可能性はあるものの、今後のデータ次第といったところです。印象的だったのが、大和証券の木野内氏の見方でした。木野内氏は植田総裁の過去の発言や書籍などを分析し、テーラー・ルール金利を基に考えれば、金融緩和の解除は1年後以降であり、しかもその場合には一気に行うといった大胆な見方を披露していました。
英国の6月のCPIは総合で「7.9%」と、5月の「8.7%」から鈍化しただけではなく、市場予想の「8.2%」からも下回っていました。またコアCPIも「6.9%」と、前月から鈍化しており、市場予想の「7.1%」よりも低下していました。CPIの結果を受け、それまで政策金利のピークが6.5%に達すると見込まれていましたが、急速に見通しが引き下げられ、ポンドが売られました。ポンド円は181円台半ばから180円台前半まで下げる場面もありました。英国のインフレ率は主要国の中で依然として高水準であることから、8月にも0.25ポイントの利上げが見込まれています。
本日のドル円は138円50銭~140円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
日銀のYCC修正観測が急速に後退し、ドル円は欧州とNY時間朝方に139円99銭まで上昇。株価の上昇もあり、リスクオンの流れから円売りが進む。ユーロドルは反落。(イメージ写真提供:123RF)
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2023-07-20 10:00