「モーニングスター」返還の影響なく15期連続の増益に向け好発進、SBIGAMの23年度第1四半期決算

 SBIグローバルアセットマネジメント <4765> は7月27日、2024年3月期第1四半期決算を発表した。売上高は2446百万円で前年同期比21.9%増、経常利益678百万円で同9.3%増、当期利益は434百万円で20.2%増だった。同社は2023年3月末に「モーニングスター」のブランドを米国モーニングスター社に返還し、現社名に変更して初めての四半期決算発表になったが、当日に開催した決算説明会で代表取締役社長の朝倉智也氏は、「モーニングスターのブランド返還や社名変更の影響は、ほぼゼロと言ってよいものだった」と総括した。前期まで14期連続で経常・当期利益の増益決算を続けてきた同社は、15期目連続増益をめざすと宣言した。  セグメント別で売上高の79.4%を占めるアセットマネジメント事業の中核であるSBIアセットマネジメントは、売上高が前年同期比41.1%増と大きく伸びた。これは、4月1日付で新生インベストメント・マネジメントを吸収合併した影響が大きい。また、低コストの公募インデックスファンドへの資金流入が継続し、運用資産残高が2023年6月末時点で合計で4.98兆円と前年同月末比31.6%増加したことが売上を押し上げた。  アセットマネジメント事業では、インデックス・ファンドの残高が1年間で72.7%増額し、地域金融機関向けに提供している私募ファンドも23.4%増と伸びた。インデックス・ファンドは、市場の上下に関係なく毎月200億円~300億円の資金流入が継続しており、「今後、新しいNISAが2024年1月からスタートしても、その主力の投資対象はインデックスファンドと考えられ、引き続き、インデックスファンドの残高の増加は期待できる」(朝倉氏)とした。7月27日には、インデックスファンドの新ファンドとしてインベスコ・キャピタル・マネジメントLLCが運用するNASDAQ100指数に連動する「インベスコQQQトラスト・シリーズ」を組み入れた「SBI・インベスコQQQ・NASDAQ100インデックスファンド」を8月23日に新規設定することを発表した。NASDAQ100連動ETFとしては最大規模(残高約29.2兆円)の「QQQ」に投資できるファンドとして人気化が期待できるとしている。  また、私募ファンドについても、現在は地域金融機関135機関から受託しているというが、「情報開示が少ない私募ファンド分野は、依然として比較的高い手数料率が残っている。この分野も手数料の価格破壊を行うことによって成長が可能な分野」(同)と注力していく考えだ。そして、企業年金(DB)分野などで金(ゴールド)や不動産などのオルタナティブ資産での運用が注目度を増している中、先日、英国のマングループと提携し、マングループが得意とするオルタナティブ商品を企業年金向けにも提供開始する計画があると語っていた。  一方、「モーニングスター」ブランド返還の影響を受けると考えられたファイナンシャル・サービス事業においては、主力のタブレットやPC向けのデータ提供部門は売り上げが引き続き堅調に推移し、「社名変更等による解約はゼロ」と、ブランド返還の影響はなかったという。Web広告やセミナー等のメディア・ソリューション部門は前年比8.5%減収となったものの、これは主たる顧客である運用会社がプロモーションの予算を絞ったことやコロナの影響でセミナーの開催ができなかったことなどによる影響として、ブランド返還の影響はほとんどなかったとした。  ファイナンシャル・サービス事業においては、既に521社、11万5843台というネットワークになった投信販売用のタブレットアプリ「Wealth Advisor」について、顧客情報との連携(CRM連携)を現在の8社から拡大するなど、アプリの付加価値の向上に力を入れていくとした。そして、コロナ禍等によって延期や規模の縮小などがあったセミナー事業についても、10月14日に「投信EXPO2023」を開催するなど、今後、金融機関とのタイアップセミナーも含めて積極的に対応していくとしている。朝倉氏は、「アセットマネジメント事業とファイナンシャル・サービス事業は車の両輪であり、それぞれの事業で一段の成長を実現できるように取り組んでいきたい」と語っていた。(写真は、決算説明会の様子)
SBIグローバルアセットマネジメントは7月27日、2024年3月期第1四半期決算を発表した。売上高は2446百万円で前年同期比21.9%増、経常利益678百万円で同9.3%増、当期利益は434百万円で20.2%増だった。(写真は、決算説明会の様子)
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2023-07-27 18:15