【為替本日の注目点】7月の米PPI予想を上回る

ドル円は7月の生産者物価指数(PPI)が市場予想を上回っていたことを受け、利上げ観測が再び広がり、145円ちょうどまで上昇。ユーロドルでは「ドル安ユーロ高」が優勢となり、1.10台を回復。ユーロは対円でも159円台に載せる。株式市場はまちまち。ダウは105ドル上昇したものの、金利高を嫌うナスダックは93ポイント下落。PPIの上振れを受け債券価格は下落。長期金利は4.17%台まで上昇。金と原油は続落。
7月生産者物価指数 → 0.8%(前年同月比)
8月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 71.2
ドル/円 144.40 ~ 145.00
ユーロ/ドル 1.0943 ~ 1.1004
ユーロ/円 158.29 ~ 159.04
NYダウ +105.25 → 35,281.40ドル
GOLD -2.30 → 1,946.60ドル
WTI -0.37 → 83.19ドル
米10年国債 +0.047 → 4.152%
【本日の注目イベント】
注目イベントは特段ありません。
ドル円は先週のNY市場で、介入警戒感もある中ついに145円ちょうどまで「ドル高円安」が進みました。7月の生産者物価指数(PPI)が市場予想を上回ったことで、FRBによる利上げ継続観測が再燃した格好です。
「昨年来の急激なドル高・円安の根っこにあった『米利上げ継続・日銀は大規模緩和維持』という構図は変わりかねないという見方が後退した」(日経新聞)ことが背景です。ドル円はNYでは 、米金利高を材料に145円ちょうどまで買われましたが、これで6月30日に記録した年初来高値の「145円07銭」が手に届く水準にまで円が売られています。足元の動きはほぼ「円の全面安」で、ユーロ円も昨日の日中には159円22銭近辺まで円安が進む場面もありました。市場のセンチメントは昨年10月に152円目前までドル高円安が進行した頃に似てきたようにも感じますが、介入警戒感はますます必要だと思います。145円台前半は昨年6月の政府・日銀が市場介入に踏み切った水準です。いつ介入があってもおかしくはありません。ただ、財務省も再び市場介入を実施するのであれば、出来るだけその効果が見込める局面を探っていると考えられます。逆に言えば、「介入はない」と市場参加者が安心し切ったタイミングと言えます。朝早い時間帯や夜NYがオープンする前などでの介入の可能性も否定できません。ただ一方で昨年6月の時点とは日米の金融環境が大きく異なっているのも事実です。当時は、米国ではインフレの急激な上昇に苦慮しており、日本はまだ金融緩和の出口を議論すること自体が「時期尚早」と言われていた、そんな状況でした。
7月のPPIがやや上振れしていたとは言え、鈍化傾向を示している米国のインフレが再び上昇に転じたと判断するにはまだデータ不足です。先週末、同時に発表された「8月のミシガン大学消費者マインド」(速報値)では、1年先のインフレ期待は「3.3%」に低下しており、市場予想の「3.5%」を下回っていました。同指数の調査責任者は、「短期のインフレ期待は3カ月連続で顕著な安定を示している。消費者インフレが短期、長期両方で確かに減速し続けると確信を強めている」と分析しています。(ブルームバーグ)米ゴールドマンは、年内の一段の利上げを想定せず、2024年4-6月期の利下げを想定しています。ただそれでも、「われわれは四半期ごとに0.25ポイントの利下げを想定しているが、そのペースは不透明だ」としています。
ここからは米金利がさらに上昇すればドルがもう一段買われる可能性もありますが、「介入を警戒しながら恐る恐るドルを買う」といった状況かと思います。ここから上方の水準では介入が必ずあるかどうかは不明ですが、「いつ介入があってもおかしくはない水準であることは確か」かと、思います。
本日のドル円は144円~145円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は7月の生産者物価指数(PPI)が市場予想を上回っていたことを受け、利上げ観測が再び広がり、145円ちょうどまで上昇。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-08-14 10:15