【為替本日の注目点】雇用統計を前に、ドル円直近レンジの下方に

 レンジ相場が続くドル円は経済指標の発表をきっかけに下落。145円35銭まで売られ、短期的な下値のメドである145円台半ばを若干下回る。ユーロドルはやや売られ、1.0836まで下落。株式市場はまちまちの中、ナスダックは小幅ながら6日続伸。債券は雇用統計を前に連日小動き。長期金利はほぼ横ばいの4.10%台で推移。金は反落。原油はロシアがさらなる輸出削減で「OPECプラス」と合意したことを材料に6日続伸し、83ドル台に。 新規失業保険申請件数 → 22.8万件 7月個人所得 → 0.2% 7月個人支出 → 0.8% 7月PCEデフレータ(前月比) → 0.2% 7月PCEデフレータ(前年比) → 3.3% 7月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.2% 7月PCEコアデフレータ(前年比) → 4.2% 8月シカゴ購買部協会景気指数 → 48.7 ドル/円 145.35 ~ 146.23 ユーロ/ドル 1.0836 ~ 1.0885 ユーロ/円 157.61 ~ 158.73 NYダウ -168.33 → 34,721.91ドル GOLD -7.10 → 1,965.90ドル WTI +2.00 → 83.63ドル 米10年国債 -0.006 → 4.108% 【本日の注目イベント】 中 8月財新製造業PMI 独 独8月製造業PMI(改定値) 欧 ユーロ圏8月製造業PMI(改定値) 米 8月雇用統計 米 8月ISM製造業景況指数 米 8月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) 米 8月自動車販売台数 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、パネル討論に参加 米 メスター・クリーブランド連銀総裁、インフレについて講演 加 カナダ4-6月期GDP  ドル円はやや上値を重くしながら145円35銭まで売られました。米金利が低下傾向であったこともあり、今夜の雇用統計を前にポジションを調整する動きがあったようです。ドル円が売られたことで、ユーロ円などのクロス円も概ね軟調な展開でした。  発表された7月の個人消費支出(PCE)コア指数は、前月比ベースで小幅な上昇にとどまり、2カ月間の伸びとしては2020年終盤以来の最小となっています。同指数はFRBがインフレ指標としてはCPIよりも重視していると言われており、その結果が注目されていました。ただ、伸びが鈍化しているとは言え、「勝利宣言からはほど遠い」とブルームバーグは報じています。一方ユーロ圏の8月のCPIは前年同月比で「5.3%」と、7月と同水準でした。ECBが目指す水準の2.5倍余りで依然として高水準でした。この結果を踏まえて、ECBの政策委員会のメンバーであるホルツマン・オ―ストリア中銀総裁はロイター通信とのインタビューで、「まだ金利のピークには達していない。もう1、2回利上げをする可能性もある」と語り、利上げには前向きな姿勢を見せましたが、ラガルド総裁は利上げについてはまだオープンな姿勢を継続しています。  中国の習近平国家主席は、インドのニューデリーで来週開催される20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を欠席する予定だと伝えられています。中国とインドとの関係悪化が理由とされており、中国からは代わりに李強首相が参加する見込みとの報道もあります。中国とインドの緊張がさらに悪化するようだと、G20サミットの共同声明発出を妨げる可能性もあり、サミットで共同声明が出なければ、1999年にG20の枠組みが誕生してから初めてのことになります。  共和党の重鎮の一人である、マコネル上院院内総務の健康に不安の声が高まっています。マコネル氏は30日、ケンタッキー州で開かれたイベントで記者団の質問を受けている最中に突然黙り込み、30秒以上にわたり表情や動きが止まるという事態がありました。同氏は今年7月にも連邦議会で行われた記者会見中にも、同じような状態に陥っており、健康上何らかの問題があるのではとの声もありました。同氏は今年3月、ワシントンでの会合で転倒し、脳しんとうを起していたことも明らかになっています。マコネル氏は81歳という高齢であることから、同氏にこのような事態が頻繁に起きるようだと、バイデン大統領にも同様の懸念が及び、2024年大統領選への影響もあるかもしれません。今朝の報道では、連邦議会の主治医は、「医学的には問題なく、予定通りのスケジュールをこなせる」との見解を示しています。  今夜の「米8月雇用統計」では、非農業部門雇用者数(NFP)が「17万5000人」と、7月の「18万7000人」から若干減少すると予想されています。失業率は前月と同じ「3.5%」と見込まれています。今週発表された求人件数とADP雇用者数がいずれも予想を下回っていたことで、仮に今夜のデータが予想通りであれが、今月のFOMC会合での政策金利据え置きの可能性がさらに高まることになります。また、予想からさらに下振れするようだと、年内残り3回の会合での据え置き観測も浮上し、市場はさらにその先の「利下げのタイミング」も探り始める可能性があります。ただ、ここ数カ月での「ADP雇用者数」と「雇用統計」との関係は、「逆相関」になるケースが多く、今回は「ADP雇用者数」が下振れしていました。さて、結果はどうなることでしょう?日足チャートでは「一目均衡表」では上昇トレンドに変化はありませんが、「MACD」では、プラス圏ではありますが、既に「デッドクロス」を示現しています。  本日のドル円は144円50銭~147円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
レンジ相場が続くドル円は経済指標の発表をきっかけに下落。145円35銭まで売られ、短期的な下値のメドである145円台半ばを若干下回る。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-09-01 10:00