【為替本日の注目点】米8月の総合CPIは3.7%に上昇

 ドル円は米8月のCPI発表後に147円74銭近辺まで上昇。その後は長期金利の低下もあり、147円台前半まで下げる場面もあり、今後の利上げの可能性を巡り神経質な展開に。ユーロドルは引き続き1.07台で推移。株式市場はまちまち。ダウはCPI発表後に大きく買われたが結局マイナス圏で引ける。S&P500はほぼ横ばい。債券は買われ、金利は低下。金と原油は続落。 8月消費者物価指数 → 3.7%(前年同月比) 8月財政収支 → 89.3b ドル/円 147.12~ 147.74 ユーロ/ドル 1.0712 ~ 1.0761 ユーロ/円 157.91 ~ 158.61 NYダウ -70.46 → 34,575.53ドル GOLD -2.60 →  1,932.50ドル WTI -0.32 → 88.52ドル 米10年国債 -0.032 → 4.248% 【本日の注目イベント】 豪 豪8月雇用統計 日 7月鉱工業生産(確定値) 欧 ECB政策金利発表 欧 ラガルド・ECB総裁記者会見 米 8月小売売上高 米 8月生産者物価指数 米 新規失業保険申請件数  注目された「米8月の消費者物価指数(CPI)」は強弱入り混じる結果でした。総合CPIは前月比で「0.6%」と、市場予想と一致していましたが、前年同月比では「3.7%」と、市場予想の「3.6%」を超える上昇でした。また、食品とエネルギーを除くコアCPIは、前年同月比で「4.3%」と市場予想と一致していたものの、前月比では予想の「0.2%」に対して「0.3%」と、わずかに上回る結果でした。  この結果が来週のFOMCでの政策決定に影響を与えるものではないものの、市場が注目する「年内にもう一度の利上げがあるのかどうか」については、明確な判断材料とはならなかったようです。ただそれでも多くのエコノミストらは、基調的なインフレを見る上では「総合指数」よりも「コア指数」の方が適していると考えており、「コア指数」の伸びが前月比で加速するのは6カ月ぶりとなっています。このことから、米金融当局による追加利上げの可能性を残す結果となったと受け止めるのが順当かと思われます。来週のFOMC会合後にパウエル議長がこのCPIの内容にどのような見解を示すのか、こちらも注目されます。  米景気に慎重な見方を維持しているサマーズ元財務長官は、米国が景気低迷を回避しつつインフレを沈静化させられるといった、過度の楽観を抱かないよう警鐘を鳴らしています。サマーズ氏はブルームバーグ・テレビジョンの番組で、「ソフトランディングを達成する可能性は非常に小さい」と述べ、「現時点で、これがインフレ率2%の経済だと示唆するものは何もない」と指摘しています。その上で、米経済の先行きについては3つのシナリオが現実となる確率がそれぞれ3分の1ずつあると予想し、「1つ目はソフトランディングで、2つ目がノーランディングとなり、インフレ率は3%を下回らない。3つ目は、これまでの利上げが経済に打撃を与えてよりハードなランディングになるというものだ」と話しています。また、金融当局のスタンスについては「政策設定においてデータ次第の姿勢をとっていることは正しい」とも話しています。パウエル議長は先の講演でも「米経済はリセッションを回避できる可能性が高い」と述べるなど、景気に対してはサマーズ氏と異なり、楽観的な見方を示していました。  上でも触れたように、FRBによる年内の利上げ確率は依然として五分五分のようです。今後のデータがさらに重要になってきますが、原油価格の動向、賃金上昇が続くかどうか、さらにはやや変化の兆しが見えて来た労働市場の動向などが、カギを握っています。昨日のCPI発表直後も、ドル円は年内の利上げの可能性を巡って非常に神経質な動きを見せていました。利上げがなければ「ドル売り」、年内1回でもあれば「ドル買い」といった思惑が相場を上下させています。ただ、それでもチャートでは「ドル高傾向」を示唆していることは、これまでと変わりません。本日から、市場の関心は3中銀の金融政策会合へと移行します。  本日のドル円は146円30銭~148円程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は米8月のCPI発表後に147円74銭近辺まで上昇。その後は長期金利の低下もあり、147円台前半まで下げる場面もあり、今後の利上げの可能性を巡り神経質な展開に。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-09-14 10:15