【為替本日の注目点】米8月のPPIも予想を上回る

ドル円は昨日の東京でもNYでも147円割れを何度か試したが、147円台は維持。NYではPPIが上振れし、原油価格も90ドル台に載せたことで円が売られ、147円57銭までドルが買われる。ドル高の流れにユーロも売られ、ユーロドルは3月中旬以来となる1.0632を記録。株式市場は「ARM」の新規公開に沸き、3市場は大幅高。ダウは一時400ドルを超える上昇を見せ、331ドル高で引ける。債券は売られ、長期金利は4.28%台で引ける。金と原油は上昇。原油はサウジ、ロシアの減産継続に加え、中国が預金準備率を引き下げたこともあり90ドル台に載せる。
8月小売売上高 → 0.6%
8月生産者物価指数 → 1.6%(前年同月比)
新規失業保険申請件数 → 22.0万件
ドル/円 147.02~ 147.57
ユーロ/ドル 1.0632 ~ 1.0748
ユーロ/円 156.63 ~ 158.37
NYダウ +331.58 → 34,907.11ドル
GOLD +0.30 → 1,932.80ドル
WTI +1.64 → 90.16ドル
米10年国債 +0.038 → 4.286%
【本日の注目イベント】
中 中国8月小売売上高
中 中国8月鉱工業生産
欧 ユーロ圏7月貿易収支
米 9月NY連銀製造業景況指数
米 8月輸入物価指数
米 8月輸出物価指数
米 8月鉱工業生産
米 8月設備稼働率
米 9月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
英半導体設計会社「アーム」の米ナスダック市場への新規上場が大きな話題となり、昨日のPPIの発表や、ECBによる追加利上げは「影が薄れた」印象です。「アーム」は公開価格「51ドル」を25%上回る水準で引けており、今年最大のIPO案件になった模様です。
米8月の生産者物価指数(PPI)は、約1年ぶりの伸びでした。前月比では「0.7%」上昇し、前年同月比では「1.6%」の上昇と、いずれも市場予想を上回っていました。エネルギー価格と輸送コストの上昇が主因だったようで、とりわけガソリン価格は20%も伸び、指数全体の上昇の大部分を占めています。前日のCPIの伸びと共に、ここに来て11月の会合では再び利上げがあるという見方が強まってきました。また8月の小売売上高も発表されましたが、こちらは市場予想を上回ったものの、減速の兆候も見せています。好調な個人消費にも「金利高や燃料価格の上昇。余剰貯蓄の減少に雇用の伸びの減速」などが重なり、鈍化傾向を示しています。
ECBは14日、中銀預金金利を0.25ポイント引き上げ過去最高の4.0%にすることを決めました。これで10回会合連続で利上げを行ったことになります。事前の予想では利上げの確率は五分五分という中でも、やや利上げの可能性の方が高いと見ていましたが、これが最後の利上げとの観測も出始めています。ラガルド総裁は会見で、「Inflation still remains too high too long」と述べ、「現在の判断では、今日の決定でインフレ率を適時に目標に戻すために十分な貢献をしたと考えている」とし、「焦点は恐らく若干、期間へと移るだろう。しかし、これがピークだと言っているのではない。そうは言えないからだ」と、相変らず分かり易い説明をしていました。またラガルド氏は、政策委員会の「確かな過半数」が利上げを支持したが、何人かは利上げ停止を望んだ」ことも明らかにしています。政策決定後ユーロドルは売られ、NY市場では1.0632までユーロ安が進んでいます。域内の経済成長見通しに対する懸念と利上げ打ち止め観測が主因のようです。
来週はFOMC会合です。8月はCPIに続きPPIもやや強めの内容でした。それでも来週のFOMCでの利上げはまずないと見ていますが、一方でこれらの数字を受けて、パウエル議長の「利上げ終了宣言」もまずないと思われます。結局、「今後もデータ次第である」ことを強調しながらも、「そのデータが上振れる場合には利上げもあり得る」との余地は残しておくのではないかと予想しています。インフレ見通しについて、金融当局のトップとしての「慎重さ」は今回も見られると思っています。
本日のドル円は146円50銭~148円30銭を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は昨日の東京でもNYでも147円割れを何度か試したが、147円台は維持。NYではPPIが上振れし、原油価格も90ドル台に載せたことで円が売られ、(イメージ写真提供:123RF)
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2023-09-15 09:45