【為替本日の注目点】ドル円、日銀決定会合を受け148円台半ばに

 ドル円は日銀決定会合で予想通り現状維持が決まると147円台半ばから148円台に。総裁の会見中には148円41銭近辺まで買われ、NYでもほぼ同様な動きに。ユーロドルは前日とほぼ同じく、1.06台半ばを中心にもみ合う。株式市場は3指数が3日続落。米金利高が長期間続くとの見方が重荷となり、ダウは106ドル安。債券は反発。アジア時間で先物は売られたが、NYでは買い戻しもあり長期金利は4.43%台に低下。金と原油は上昇。 9月S&Pグローバル製造業PMI(速報値) → 48.9 9月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値) → 50.2 9月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値) → 50.1 ドル/円 147.97~ 148.41 ユーロ/ドル 1.0637 ~ 1.0671 ユーロ/円 157.54 ~ 158.10 NYダウ -106.58 → 33,963.84ドル GOLD +6.00 → 1,945.60ドル WTI +0.40 → 90.03ドル 米10年国債 -0.060 → 4.434% 【本日の注目イベント】 日 植田日銀総裁、大阪市で講演(14:30) 日 内田日銀副総裁、全国証券大会で挨拶(15:35) 独 独9月ifo景況感指数 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、質疑応答に参加  先週22日の金曜日、日銀は金融政策決定会合で、長短金利を操作するイールドカーブコントロール(YCC)政策を軸とした現行の大規模な金融緩和策の維持を、全員一致で決めました。この結果が発表された11時50分頃、ドル円は147円70銭台から上昇し、148円台前半までドルが買われました。前日のNYでは決定会合を前にポジション調整で147円32銭までドル安が進みましたが、またしても日銀会合がトリガーとなりドルが買われ、ドル円は元の水準を回復しました。ドル円はさらに午後3時半の植田総裁の会見をきっかけに148円41銭近辺までドル高が進み、わずかですがドルの年初来高値を更新しています。  植田氏は会見で、金融政策を修正する時期は「到底決め打ちできない」と述べましたが、今年6月16日の会見では(YCC修正は)、「ある程度のサプライズはやむを得ない」と述べていました。足元では日本の消費者物価指数(CPI)が昨年4月以降17ケ月連続で日銀の物価目標である2%を超えています。それでも年末にはCPIが2%を下回ると予測する日銀は、「振り上げた刀を下ろし切れない状況が続いている」ように見えますが、どうでしょう。特に今回の会見では、9月9日に読売新聞に掲載されたインタビューで述べた「十分だと思える情報やデータが年末までにそろう可能性もゼロではなくなった」という文言に近い言葉が発せられるのではないかと構えていましたが、ありませんでした。結局、「足元の円安をけん制することが目的だった」と、うがった市場の見方の方に軍配が上がったことになります。米長期金利は、現行金融政策の継続と植田総裁の会見を受け、アジア時間に4.50%を付ける場面がありました。NYでは債券が買われ、やや金利は低下しましたが、日米金利差の大幅縮小はまだまだ先のようです。  米国では10月1日に新会計年度がスタートしますが、下院では21日に国防支出予算の審議否決があり、マッカーシー下院議長にとっては想定外の展開でした。共和党内から2名の反対票が投じられ、反対票を投じた1人のグリーン下院議員は3億ドル(約440億円)のウクライナ支援が同法に含まれていたことを反対理由に挙げています。新年度まで残り1週間を切っており、共和党は14-60日間の範囲でつなぎ予算を視野に奮闘しているようです。毎度のことですが、つなぎ予算が成立しない場合、政府機関が閉鎖の可能性もあり、「完全閉鎖となれば、政府統計は一切入手できなくなる。FOMCが精査可能なデータが不足すれば、金利の行方を決定することができなくなる可能性がある」(ブルームバーグ)とのことです。  FOMCと日銀金融政策決定会合という2大イベントを通過した今も、ドル円は148円台半ばと、年初来高値近辺で推移しています。FOMCではパウエル議長の「タカ派寄りの発言」が出、日銀からは全く動きが見られなかったことが現在の相場を支えています。この先円高要因として考えられるのは、言うまでもなく「市場介入」です。ドル円は年初来高値を更新しながらも、その歩みは極めて遅く異常な遅さといっても言い程です。介入警戒感のなせる技かと思いますが、引き続き同様な警戒は必要でしょう。本日は上方にも記載してありますが、14時半に植田総裁の講演、15時35分にも内田副総裁の発言があります。「サプライズ」はないかと思いますが、注意する必要があり、先週末の会見で述べたことを繰り返しただけで円が売られる可能性もあり、もちろんないとは思いますが、先の円安けん制発言に近いような言葉があると円高に振れることになると思われます。本日の予想は147円~149円程度でしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は日銀決定会合で予想通り現状維持が決まると147円台半ばから148円台に。総裁の会見中には148円41銭近辺まで買われ、NYでもほぼ同様な動きに。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-09-25 09:45