【為替本日の注目点】米政府閉鎖土壇場で回避

ドル円は東京時間の午後148円台半ばまで売られたがその後反転。NYでは米金利高観測を背景に149円48銭までドルが買い戻される。ユーロドルは小幅に反発し1.06台に載せる場面も。株式市場はまちまち。ダウは反落し、ナスダックは小幅高。債券はほぼ横ばい。長期金利は4.57%台で推移。金は5日続落。原油も売られる。
8月個人所得 → 0.4%
8月個人支出 → 0.4%
8月PCEデフレータ(前月比) → 0.4%
8月PCEデフレータ(前年比) → 3.5%
8月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.1%
8月PCEコアデフレータ(前年比) → 3.9%
9月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 68.1
9月シカゴ購買部協会景気指数 → 44.1
ドル/円 148.96 ~ 149.48
ユーロ/ドル 1.0565 ~ 1.0610
ユーロ/円 157.75 ~ 158.19
NYダウ -158.84 → 33,507.50ドル
GOLD -12.50 → 1,866.10ドル
WTI -0.92 → 90.79ドル
米10年国債 -0.004 → 4.571%
【本日の注目イベント】
日 7ー9月期日銀短観・大企業製造業業況判断
日 7ー9月期日銀短観・大企業製非造業業況判断
独 独9月製造業PMI(改定値)
欧 ユーロ圏8月失業率
欧 ユーロ圏9月製造業PMI(改定値)
英 英9月製造業PMI(改定値)
米 9月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)
米 9月ISM製造業景況指数
米 パウエル・FRB議長とハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、円卓会議に参加
米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、討論会で司会
米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
米政府機関の閉鎖がほぼ確実と見られていましたが、閉鎖は急転直下回避されました。連邦議会の上下両院は30日、土壇場で予算執行を11月中旬まで継続できるつなぎ予算案を超党派で可決し、バイデン大統領が署名し成立しました。マッカーシー下院議長が民主党案に歩み寄り、つなぎ予算案は国境警備を外し、災害支援の増強など民主党の要望を受け入れたことで、下院の採決では民主党のほぼ全員が賛成票を投じたことで成立しました。ただ、今回のつなぎ予算案にはウクライナ支援が含まれていないため、「少なくとも当面、ゼレンスキー大統領にとっては痛手だ」(ブルームバーグ)と見られ、バイデン大統領は、「ウクライナに対する米国の支援が中断されることは、いかなる状況においても許されない」と述べ、「マッカーシー下院議長がウクライナ支援を別途可決することを約束した」と付け加えていました。
土壇場で米政府機関の閉鎖は回避されることになりましたが、本つなぎ予算案は1カ月半の時間的猶予しかありません。10月から1年間の2024年度会計年度はまだ成立のメドが立っておらず、政府が閉鎖に陥るリスクは依然として残っています。また、マッカーシー議長が政府機関閉鎖を避けるため民主党との妥協に動いたことを受け、共和党の保守強硬派からは議長解任を目指す動きも出てきたようです。ゲーツ下院議員はCNNの番組で、「私はマッカーシー議長の解任動議を今週出すつもりだ。われわれは思い切って行動しなければならないと思う。信頼の置けるリーダーと共に前進する必要がある」と語っています。同議員は、今回のつなぎ予算案には共和党の保守強硬派が要求してきた大幅な歳出削減が盛り込まれていないと指摘し、それが解任動議提出の方針につながったと説明しています。一方、最終的に民主党案に妥協したマッカーシー議長の判断には、「世論調査では政府閉鎖になれば、『責任は共和党にある』との見方が多かった。共和党が政権奪還をめざす2024年大統領選を控え、批判の矛先が共和党に向う事態は避けたかった」(日経新聞)と、見られています。もはや年中行事化してきた債務上限問題ですが、今後もこのような事態を繰り返すようだと、格下げの可能性は極めて高いと思われます。
先週末に発表された8月の個人消費支出(PCE)価格指数は、食品とエネルギーを除くコア指数ベース(前月比)で「0.1%」と、2020年終盤以来の小幅な伸びにとどまっていました。キャピタル・エコノミクスのエコノミストは「米金融当局のインフレ見通しが悲観的すぎるとの当社の見方を裏付ける内容だ」と指摘し、「PCEコアインフレ率は当局の年末予想である3.7%を大幅に下回るとなお予想している」とコメントしています。この結果は、今月末から開催されるFOMCでの利上げを見送る根拠に組みしそうな内容でした。NY連銀のウィリアムズ総裁は9月29日にNY州のイベントで講演する予定でしたが、都合により中止となりました。ただ、講演原稿は公表されており、それによると、「フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジはピークかそれに近い水準にあるというのが、現在の私の判断だ」と述べ、「しばらくの間、景気抑制的な金融政策スタンスを維持する必要があるとみている」と述べ、米金融当局の利上げは完了した可能性があることを示唆していました。FOMCでの重鎮の一人であるNY連銀総裁がこのような発言を予定していたことは、今回の利上げ局面では初めてのことで、今週も多くのメンバーの発言が予定されていますが、他のメンバーの発言にも注目したいと思います。米金利の頂点も見えて来るのかもしれません。
本日のドル円は148円70銭~150円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は東京時間の午後148円台半ばまで売られたがその後反転。NYでは米金利高観測を背景に149円48銭までドルが買い戻される。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-10-02 10:00