【為替本日の注目点】米10年債利回り4.7%に迫る

 ドル円は小動きの中着実に上昇し、この日は149円88銭まで買われた。FOMCメンバーのタカ派的な発言や、経済指標の上振れが材料に。ユーロドルは反落し、一時は1.0477前後まで下落。米長期金利が上昇しドル買いユーロ売りが活発に。株式市場ではダウは続落したものの、ナスダックは88ポイント上昇。債券は大幅安。長期金利は4.7%台に迫る水準まで上昇し、2007年10月以来となる高水準に。金は6日続落し、約半年ぶりの安値を付ける。原油も続落し90ドルを大きく割り込む。 9月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) → 49.8 9月ISM製造業景況指数 → 49.0 ドル/円 149.68 ~ 149.88 ユーロ/ドル 1.0477 ~ 1.0537 ユーロ/円 157.00 ~ 157.77 NYダウ -74.15 → 33,433.35ドル GOLD -18.90 → 1,847.20ドル WTI -1.97 → 88.82ドル 米10年国債 +0.107 → 4.679% 【本日の注目イベント】 豪 豪8月住宅建設許可件数 豪 RBA、キャッシュターゲット 独 独9月サービス業PMI(改定値) 欧 ユーロ圏9月総合PMI(改定値) 欧 ユーロ圏9月サービスPMI(改定値) 欧 ユーロ圏8月小売売上高 欧 ラガルド・ECB総裁講演 米 9月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値) 米 9月S&Pグローバル総合PMI(改定値) 米 9月雇用動態調査(JOLTS)求人件数 米 8月製造業受注 米 9月ISM非製造業景況指数 米 9月自動車販売台数 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演  ドル円は小動きながら、しかし着実に上値を追う動きを続け、NYでは149円88銭まで買われています。いよいよ150円台に手の届く水準までドル高が進んできました。すでに昨日から10月に入りましたが、振り返って見れば、日足チャートでは9月中の営業日21日のうち、実に15日で寄り付きよりも引け値の方が高い「陽線」を示現しています。「陰線」を記録したのはわずか6回です。如何にドルがジワジワと着実に買われてきたのかを示すいい例かと思います。  9月のISM製造業景況指数が市場予想を上回り、およそ1年ぶりの高水準でした。米製造業にとって最悪期が終わったかもしれないとの期待を抱かせる内容でしたが、一方で米景気の底堅さは高金利の長期間維持につながるとの見方から、債券が大きく売られ金利は急騰しました。10年債利回りは一時4.7%に迫る水準まで上昇し、2007年10月以来となる水準を記録。30年債も一時4.81%を抜け、こちらも2010年以来となる高水準でした。日米金利差が開く一方で、ドル買い円売りが加速するのも止むなしといった状況ですが、昨日は円よりもユーロドルでのユーロ安の方が際立っていました。円は介入警戒感が急激な円売りを抑制しています。ユーロドルは1.05を大きく抜け、昨年12月以来の1.0477までドル高が進みました。ドル高が続いていることからNY商品先物市場では金利の付かない「金」が6日続落し、一時は1842ドル台まで売られています。株も債券も金も、この日は原油も売られ、「通貨ドルの独歩高」の様相でした。  この日のドル高を演出したのは金利だけではありません。FOMCメンバーから出たタカ派発言も一役買っています。ボウマンFRB理事は講演で、「インフレ率を適宜にかなって目標の2%に戻すには、さらなる利上げが必要になる可能性が高いとの予想を変えていない」と述べ、「エネルギー価格の高騰により、ここ数ケ月におけるインフレ抑制に向けた進展の一部が損なわれるリスクがくすぶっている」と発言しています。また、ペンシルベニア州で開かれたラウンドテーブルで発言したパウエル議長は、金融政策に関する発言は控え、「米金融当局は良好な労働市場を持続的な期間にわたって実現することに注力している」と述べるにとどめていました。一方、バーFRB副議長はややハト派寄りの発言を行いましたが、市場への影響はほとんどなかったようです。バー氏は、「インフレ率を長期的に2%に戻すのに十分な景気抑制的水準に達しているか、極めて接近している可能性が高いと思う」と語り、「われわれは長期的な金利の道筋を考えることにますます重点を置くようになると思う。インフレ率を2%まで下げるために金利をしばらくの間高止まりする必要がある。2%に到達すると私は確信している」と述べています。この発言は昨日紹介したウィリアムズNY連銀総裁の発言と足並みを揃えており、注目に値します。今後他のメンバーの発言にも影響を与えそうです。  ジリジリと150円に迫ってきたドル円ですが、水準からすると今日にも150円台が見られる可能性もありそうです。もちろん、それだけに介入警戒感も高まってきているわけですが、昨日も鈴木財務大臣はドルの年初来高値更新を受けて、「注視しながら見ている」と述べていました。鈴木財務相はこれで、5営業日連続で円安けん制を行っています。ブルームバーグは、「口先介入の頻度を見る限り、変動幅を伴った大きな値動きが見られ次第、実弾介入が発動される可能性は高そうだ」とコメントしています。ここでも「変動幅を伴った大きな値動き」といった言い回しをしている点がポイントの一つになりそうです。  本日のドル円は148円80銭~150円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は小動きの中着実に上昇し、この日は149円88銭まで買われた。FOMCメンバーのタカ派的な発言や、経済指標の上振れが材料に。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-10-03 10:00