【為替本日の注目点】ドル円150円台に乗せた後急落

ドル円はNYで150円台に乗せ、150円16銭まで買われたがその後急落し、147円30銭近辺まで売られる。「介入」だったのではとの観測も有る中、当局は「ノーコメント」。ユーロドルは続落し、1.0448まで売られる。昨日記録した年初来安値を再び更新。株式市場は金利が一段と上昇したことを受け3指数が大幅安。ダウは430ドル下げ、一時は3万3000ドルを割り込む。債券は大幅続落。長期金利は一時2007年8月以来となる4.81%まで上昇し、4.79%台で引ける。金は7日続落。原油は反発。
8月雇用動態調査(JOLTS)求人件数 → 961万件
ドル/円 147.30 ~ 150.16
ユーロ/ドル 1.0448 ~ 1.0485
ユーロ/円 154.13 ~ 157.15
NYダウ -430.97 → 33,002.38ドル
GOLD -5.70 → 1,841.50ドル
WTI +0.41 → 89.23ドル
米10年国債 +0.117 → 4.795%
【本日の注目イベント】
欧 ユーロ圏8月卸売物価指数
欧 ユーロ圏8月小売売上高
欧 ラガルド・ECB総裁講演
米 9月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
米 9月S&Pグローバル総合PMI(改定値)
米 9月ADP雇用者数
米 8月製造業受注
米 9月ISM非製造業景況指数
米 ボウマン・FRB理事、会議で挨拶
米 グールズビー・シカゴ連銀総裁、シンポジウムで挨拶
米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
引き続き介入警戒感が強まる中、昨日の東京時間ではほとんど動きのなかったドル円でしたが、それでも午後には149円93銭までドルが買われ、前日のドルの高値をわずかですが上回り、年初来高値を更新しています。そしてNYでは「8月雇用動態調査(JOLTS)求人件数」が961万件と、市場予想を上回り、さらに全てのエコノミストの予想を上回る結果に、米高金利の長期化観測から債券が大きく下落。10年債利回りは一時4.81%近辺まで上昇し、およそ16年ぶりの高水準を付けました。9月初めでは4.1%程度で推移していた米長期金利は1カ月余りで70ベーシスポイントも上昇し、株式と債券が大きく売られる異例の展開になっています。
ドル円はこの直後、150円台に乗せ150円16銭まで上昇しましたが、その後急落しています。150円台に乗せたことで「ひとまず達成感が出た」ことも事実でしょうが、わずか、2秒ほどで3円弱の下落は通常考えられません。いずれ分かることですが、少なくとも介入の前段階と言われる「レートチェック」はあったものと思われます。「実弾介入」であれば、この程度の下落では収まらないと思われ、さらにその後149円近辺まで直ぐに反発することもないかと思います。当局はこの件については「ノーコメント」としています。
筆者は昨日の本欄で、「ジリジリと150円に迫ってきたドル円ですが、水準からすると今日にも150円台が見られる可能性もありそうです。もちろん、それだけに介入警戒感も高まってきているわけですが、昨日も鈴木財務大臣はドルの年初来高値更新を受けて、『注視しながら見ている』と述べていました。鈴木財務相はこれで、5営業日連続で円安けん制を行っています。」とコメントし、さらにブルームバーグの、「口先介入の頻度を見る限り、変動幅を伴った大きな値動きが見られ次第、実弾介入が発動される可能性は高そうだ」といった記事も紹介しました。やはり「ステルス介入」も含めて、行動を起すのであれば、より効果の見込める方法で行うことは、容易に想像できることです。これで150円台ではますます介入警戒感が強まることになります。ただこれで流れが変わるわけでもなく、再び150円台に乗せさらにドルが買われるようであれば、「実弾介入」の出番となることでしょう。
土壇場で米政府機関閉鎖回避の「英断」を行ったマッカーシー下院議長が解任されました。驚きです。マッカーシー氏の議長解任動議の採択結果は、賛成216、反対210で可決されています。米国で下院議長が解任されるのは史上初めてのこととなり、マッカーシー氏は約9カ月で議長の座を去ることになります。なお暫定議長には現在、下院金融委員会の委員長を務めるマクヘンリー議員が指名されています。つなぎ予算の猶予は1カ月半で、このように米議会の混迷が続くようなら、11月中旬過ぎには再び政府機関閉鎖の危機が訪れ、次回はその可能性がさらに高まると予想されます。
アトランタ連銀のボティック総裁はイベントで、「利上げを急ぐつもりはないが、利下げを急ぐつもりもない。米金融当局はインフレ率を目標の2%に戻すため、政策金利を高水準で長期にわたり据え置くことを望む」と述べています。またクリーブランド連銀のメスター総裁も電話会見で、「次回会合でも、最近の会合と同じような経済状況であれば、私なら追加利上げを行うだろう」と述べ、やはりタカ派寄りの発言を行っています。FOMCメンバーの中には「ハト派寄りの」発言を行う委員も増えてはきましたが、前日のボウマンFRB理事もそうでしたが、マジョリティは依然として、インフレ見通しには慎重な見方を維持した「タカ派」のようです。
イエレン財務長官は3日、ワシントンで開催された「フォーチュンCEOイニシアチブ」会議で、「人々は、インフレ減速に何が必要かを正確に見極めようとしている。目にしている経済の底堅さは金利がより高くより長く維持されることを示唆しているのかもしれないが、それは今後分かるだろう。決して既定路線ではないと思う」と述べ、債券利回りが長期に高止まりするかどうかは「分からないというのが回答だ。重要な疑問であり、私も政権もかなり気にしている」と発言しています。(ブルームバーグ)
ドル円は、今朝は再び149円台前半で推移しています。150円台では今度は輸出など実需のドル売りがより持ち込まれることになりそうですが、流れは変わりません。日米金利差はさらに拡大しており、通貨ドルに対する魅力がさらに高まっているのが現状です。今度再び150円台に乗せた後の展開が見ものです。今度は日銀の出番との見方も出来そうです。
本日のドル円は147円80銭~149円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円はNYで150円台に乗せ、150円16銭まで買われたがその後急落し、147円30銭近辺まで売られる。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-10-04 10:00