【為替本日の注目点】米長期金利5カ月ぶりに3.79%台まで低下

ドル円は荒っぽい展開に。東京時間朝方には日銀会合の「主な意見」の内容が公表され142円台後半まで上昇したが、NYでは植田総裁のNHKのインタビューでの発言や、米金利の低下が材料となり141円55銭近辺まで下落。ドル安の流れはユーロドルでも続き、ユーロは7月以来となる1.1122まで買われる。株式市場は売り買い交錯するなか、引けにかけて3指数が揃って上昇。ダウは111ドル高で連日の最高値更新。債券は買われ、長期金利は3.8%台を割り込み、およそ5カ月ぶりに3.79%台まで低下。金は4日続伸。原油は反落。
ドル/円 141.55 ~ 142.62
ユーロ/ドル 1.1062 ~ 1.1122
ユーロ/円 157.29 ~ 158.38
NYダウ +111.19 → 37,656.52ドル
GOLD +23.30 → 2,093.10ドル
WTI -1.46 → 74.11ドル
米10年国債 -0.102 → 3.794%
【本日の注目イベント】
日 11月鉱工業生産
米 新規失業保険申請件数
米 11月中古住宅販売成約件数
昨日の朝方8時過ぎに日銀決定会合での「主な意見」の内容が公表され、ドル円は142円85銭まで買われる場面がありました。決定会合の委員からは、「賃金上昇が物価上昇に追いつかない日本の現状を踏まえれば、来春の賃上げが予想よりかなり上振れたとしても、基調的な物価上昇率が2%を大きく上回ってしまうリスクは小さい」従って、「少なくとも来春の賃金交渉の動向を見てから判断しても遅くない」との意見があったことが判明。現行の大規模な金融緩和政策の修正が遅れるとの見方から円売りドル買いが強まる結果になりました。
一方、昨日の夜のNHK「ニュース9」では植田総裁とのインタビューが放映され、その中で総裁は、「物価と賃金の好循環が見通せる状況が来年にあることを期待している」と、これまでの考えを示し、「今年の春と同じか、それを少し上回るくらいの賃上げが決定されると望ましい」と述べながら、政策転換のタイミングについては、「中小企業の賃金データが完全に出ていなくても、ある程度前もっての判断は可能だ」と述べていました。この最後の発言に反応してドル売りが進んだ面もあろうかと思いますが、それ以上に米長期金利が急低下したこともドル売り要因になったようです。米10年債利回りは7月24日以来となる3.79%台まで低下しました。この日は米5年債の入札がありましたが、旺盛な需要を集めたことを受け、各年限の国債利回りは急低下しました。2024年夏ごろまでにはFRBによる利下げの可能性があることを織り込む形で債券へ買いが膨らんだものです。金利低下を受け、株式市場では主要3指数が概ねこの日の高値引けで取引を終えています。
ブリンケン国務長官は声明で、今年最後のウクライナへの軍事支援を発表し、最大2億5000万ドル(約354億円)相当の武器・装備品を提供することを発表しました。ブリンケン氏は、「ウクライナの自衛と将来の安全確保を支援することで、米国の国家安全保障上の利益を高めるために議会はできるだけ早く、迅速に行動しなければならない」と述べています。2024年の米大統領選に向け、ウクライナへの「支援疲れ」も出ているなか、バイデン政権では引き続き支援を続けるとしていますが、そのことがバイデン氏の大統領選での再選の可能性を低減させている部分もあります。次期大統領にもしトランプ氏がなるようなら、ウクライナとロシアの戦争の行方は現状から大きく異なってくると思われ、これはイスラエルのハマスとの紛争にも言えるかもしれません。
ドル円は再び下値をテストする気配を強めてきました。現時点では、年内140-145円のレンジは維持出来ると思われますが、年末、年始に向けてドル売りが強まることも予想されます。日本勢の参加者が減り、投機筋もドル売りで攻めてくる可能性があります。シカゴ先物市場では「円の建玉」が今月からネットで、「円売り」から「円買い」に転換しています。必ずしもヘッジファンドなど投機筋の相場観とシカゴの建玉とは一致するわけではありませんが、筆者が長い間観ている限り「概ね一致」しています。一応、頭の片隅には入れておくべきでしょう。
本日のドル円は140円50銭~142円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は荒っぽい展開に。東京時間朝方には日銀会合の「主な意見」の内容が公表され142円台後半まで上昇したが
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2023-12-28 09:45