【為替本日の注目点】ドル円再び157円台前半に

ドル円は再び157円台に乗せ、157円20銭まで上昇。5月の消費者マインドが上振れし、金利が上昇した上FOMCメンバーのタカ派発言もドルを押し上げた。ユーロドルは1.08台で推移し、1.0884まで買われる。対円でも170円77銭前後まで上昇。
株式市場はダウが大きく下げたものの、ナスダックは99ポイント上昇し、初の1万7000ポイント台に乗せる。エヌビディア株が上昇をけん引。
債券は大きく売られ、長期金利は4.55%台に上昇。この日行われた2年債と5年債の入札が低調だったことも債券売りを誘った。
金は5日ぶりに大幅に反発。原油も中東情勢の悪化を背景に2ドルを超える上昇。
3月ケース・シラ-住宅価格指数 → 6.49%
3月FHFA住宅価格指数 → 0.1%
1-3月期四半期住宅価格指数 → 1.1%
5月コンファレンスボード消費者信頼感指数 → 102.0
ドル/円 156.58 ~ 157.20
ユーロ/ドル 1.0856 ~ 1.0884
ユーロ/円 170.26 ~ 170.77
NYダウ -216.73 → 38,852.86ドル
GOLD +22.00 → 2,356.50ドル
WTI +2.11 → 79.83ドル
米10年国債 +0.085 → 4.550%
【本日の注目イベント】
豪 豪4月消費者物価指数
日 安達日銀審議委員、熊本で講演
独 独6月GFK消費者信頼調査
独 独5月消費者物価指数(速報値)
米 5月リッチモンド連銀製造業景況指数
米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、討論会に参加
米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
円金利がジリジリと上昇を見せてはいますが、ドル円は米金利の上昇により反応したのか、NYでは再び157円台に乗せ、157円20銭までドル高円安が進みました。昨日は円の弱さが際立ち、ユーロ円、豪ドル円、さらにはポンド円でも記録的な円安水準を付けています。経済指標の上振れとミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の発言がドル買いにつながりました。
5月の消費者マインドは市場予想の「96」に対して「102」と、大きく上振れし、4月分も上方修正されました。平均の期待インフレ率が今年最高に上昇しており、消費者はインフレに対する懸念を強めていると見られます。発表元であるコンファレンスボードのチーフエコノミストは、「5月の回答を見ると、消費者は米経済に対する見方に最も大きな影響を与えた要素として、物価、特に食品と雑貨の価格を挙げた」と説明しています。
現在FOMCメンバーの中では最もタカ派と見られるミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が、やはりというか、またかというか、タカ派寄りの発言を行い、市場もこれに反応したようです。カシュカリ総裁はロンドンのイベントで、「利上げを選択肢から完全に排除した人は誰もいないと思う」と発言し、「利上げを実施する確率はかなり低いが、選択肢からは何も排除したくない」と述べ、その上で、「賃金の伸びは、最終的に2%のインフレ目標と整合的と思われる水準に比べてまだ堅調だ。新たな政策決定を下す前に、需要にどれほどの下押し圧力がかかっているのか見極める時間はある」と付け加えていました。
「人々はキャリーに夢中だ」・・・。昨日配信されたブルームバーグの記事の中にこんな文言の記事がありました。「円は、いわゆるキャリートレードの一環として売られているマクロ資産の一つであり続けている。ほとんどゼロの金利で借りた円で高金利のドルを買い入れ、5%を超えるリターンを得るという戦略だ。円安・ドル高によってキャリートレードの魅力は増しており、過去1年間のトータルリターンは18%に達している」と説明していました。その上で、「仮に6月に日銀が利上げしたとしても、キャリー取引はなくならないため、市場は円ロングに非常に消極的だろう。外国為替取引の中で最もリターンの大きい取引への需要がなくならないためだ」といった、ロンドン在住のトレーダーの話を紹介していました。昨日の海外市場の動きなどは、まさにキャリートレードと言える動きで、円金利が上昇したとはいえ、絶対的な金利差が縮まらないとの見立てから、主要通貨に対して円を売る取引が活発です。
イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ南部ラファへの攻撃が続き、AP通信は、「中心部にイスラエルの戦車が到達し、イスラエル軍がラファの完全制圧という目標に近づいている」と伝えています。26日にはイスラエルの空爆で、ラファ北西部にある避難所密集地では少なくとも45人のパレスチナ人が死亡したと伝えられています。「ラファへの攻撃はレッドラインを越える」と強く警告していたバイデン大統領。自身の大統領選での再選を優先すれば、「背に腹は変えられない」ということなのでしょうか、非難の声は聞こえてきません。
本日のドル円は155円50銭~158円程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は再び157円台に乗せ、157円20銭まで上昇。(イメージ写真提供:123RF)
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2024-05-29 10:15