【為替本日の注目点】ドル円介入水準に迫る

ドル円は続伸し160円に迫る。前日米財務省が日本を為替監視リストに追加したことなどが材料視され、ドル円は159円87銭まで上昇。ユーロドルでもドルが買われ、ユーロは1.0678まで下落。株式市場ではダウは続伸したものの、ナスダックとS&P500は小幅に続落。債券は小幅に反発。長期金利は4.25%台に低下。金は大幅に反落。原油も小幅安。
6月S&Pグローバル製造業PMI(速報値) → 51.7
6月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値) → 55.1
6月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値) → 54.6
5月景気先行指標総合指数 → -0.5%
5月中古住宅販売件数 → 411万件
ドル/円 158.72 ~ 159.87
ユーロ/ドル 1.0678 ~ 1.0697
ユーロ/円 169.78 ~ 170.70
NYダウ +15.57 → 39,150.33ドル
GOLD -37.80 → 2,331.20ドル
WTI -0.56 → 80.73ドル
米10年国債 -0.004 → 4.255%
【本日の注目イベント】
独 独6月ifo景況感指数
米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
ドル円は一段と買われ、NYでは159円87銭と、4月29日に政府・日銀が市場介入を行った水準に40銭余りと迫ってきました。さすがに160円に近づくと介入警戒感が一段と強まり、直ぐに160円台に乗せることはなかったですが、この日は米金利が低下したにもかかわらず、前日米財務省が日本を為替監視リストに追加したことで、「日本の市場介入に対して同意できない」といった意思表示を行ったと受け止められたことや、ユーロの政治的不安やスイス中銀の追加利下げなどから、主要通貨がドルに対して売られ「ドル独歩高」になっていることも「円売り」に拍車をかけたものと思われます。先週158円台に突入した際にもすでに神田財務官からは「口先介入」はありましたが、今朝も「為替介入は、24時間いつでも準備できている」と財務省内で記者団に語っています。それでも、ここまで来るとやはり160円台前半までドルが買われ、その水準で政府・日銀が実際に介入を行うのかあるいは見送るのかどうかを、市場は確認したいのではないかと思います。
「およそ35円下がったうちの半分は金利差で説明できる。しかし、残り半分は円の価値に対する過大評価が剥がれたことが要因だとみている。金利差が縮まっても115円の水準には簡単には戻らないだろう」これは、日経新聞6月24日の朝刊に掲載された渡辺博史元在財務官の言葉です。渡辺氏はさらに「FRBが利下げに動くとしても年内に1~2回だろう。日銀は7月、あるいは10月に利上げしても、0.1%と小さいかもしれない。(日米)金利差は24年末でも3%に近づくとは思えず、150円よりも円高にはならないとみている」と述べていました。この「3%」という数字は、「米国の長期金利が日本より3%ほど高いと為替は安定する傾向があった」と元財務官としての分析力を披露しており、その3%には近づかないと説明しています。元財務官と言えば、神田現財務官の先輩にあたり、円安が進んでいる現状では、なかなか「円高には進まない」とは言い出しにくい状況かと思いますが、そこは冷静に現状を分析しており、さすがでした。
今週末に発表される5月のPCE総合価格指数は、FRBがより重要視している指標ですが、ブルームバーグは「月間として昨年終盤以来最も緩やかな上昇となりそうだ」と報じています。「実際にそうなれば、9月にも利下げを開始する足掛かりになる可能性がある」としていますが、消費者物価指数(CPI)は2カ月連続で市場予想を下回ったこともあり、米インフレは今後再燃に向かうのか沈静化にまさに向かうのか、まさに「踊り場」に差しかかっていると考えています。
さて本日の展開ですが、東京市場では水準が水準だけにドル売り注文も出易いと思われ、ドルの下方は限定的ではあるものの、上値も160円台に乗せても大幅に続伸する可能性は低いと思われ、動きにくいでしょう。問題は17時以降だと思います。
予想レンジは159円30銭~161円程度でしょうか。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は続伸し160円に迫る。(イメージ写真提供:123RF)
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2024-06-24 10:00