【為替本日の注目点】主要国の政治的リスク高まる

 ドル円はやや上値を重くし、東京市場の午後から欧州市場にかけては161円を割り込む。その後は小幅に反発したがNY市場が休場のため小動き。ユーロドルは1.08を挟んでもみ合あう ドル/円 160.94~ 161.33 ユーロ/ドル 1.0794 ~ 1.0814 ユーロ/円 173.79 ~ 174.35 NYダウ → 39,308.00ドル GOLD → 2,369.40ドル WTI → 83.88ドル 米10年国債 → 4.359% 【本日の注目イベント】 日 5月景気先行指数(CI)(速報値) 日 5月景気一致指数(CI)(速報値) 独 独5月貿易収支 独 独5月鉱工業生産 欧 ユーロ圏5月小売売上高 欧 ラガルド・ECB総裁講演 米 6月雇用統計 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演 加 カナダ6月新規雇用者数 加 カナダ6月失業率  米英仏で政治的リスクが高まっています。  英国では4日、下院選の投票が行われ、午後10時(日本時間5日午前4時)の締め切り後に公表された出口調査の結果によると、スターマー党首率いる最大野党・労働党が410(定数650)と過半数の議席を確保し、2010年以来14年ぶりに政権交代が実現する見通しです。労働党はトニー・ブレア元党首の下で政権を奪還した1997年以来の圧勝が見込まれています。一方政権与党の保守党は2019年の総選挙(365)から大きく議席を減らし、過去最低の131議席にとどまる公算が高く、スナク政権での閣僚や大物議員の落選も予想されるとのことです。この結果を受けて、ポンドドルは1.27台半ばで推移しており、大きな動きは見られません。労働党の躍進が事前に予想されていたことが動きを抑制しているようです。  フランスでは、マリーヌ・ルペン氏率いる極右政党・国民連合(RN)などの極右勢力が、7日の国民議会(下院)選挙で、絶対多数には大きく届かない見通しのようです。世論調査では、マクロン大統領の中道グループと左派連合の新人民戦線などが今週、200を超える候補者を決選投票から撤退させて反極右票の分列回避に動いたことで、「RNの絶対多数確保を阻止しそうではあるが、議会第1党となるには至らない」とみられています。  そして米大統領選では、バイデン氏に対して選挙戦から撤退するよう、民主党内からも圧力が強まっています。バイデン氏は今のところ再選を断念することは拒否している模様ですが、ブルームバーグは「しかし、このままではトランプ氏に負ける可能性が高いことから、ここ数日が重要だ。バイデン氏は5日にABCのインタビューに応じる」と伝えています。仮にバイデン氏が撤退を決めた場合、カリフォルニア州のニューサム知事やミシガン州のウイットマー知事らが候補者として名前が挙がっていますが、現副大統領のカマラ・ハリス氏が最有力と見られています。バイデン政権下では目立った活躍は見られなかったものの、それでもその知名度と女性であること、そして黒人からの支持を得られそうなことがポイントのようです。  ただ、それでもトランプ氏優勢は変わらず、市場は「ほぼトラ」に向けて徐々に動いているようです。昨日の東京株式市場で、日経平均株価が3月に記録した最高値をわずかですが更新したのも、「ほぼトラ」に向けた動きとの見方もあります。ただ為替に関しては、円高を予想する向きも、一段の円安を予想する専門家もおり、見方は定まっていません。筆者は、トランプ氏が再選すればパウエル議長の更迭なども予想され、短期的には円高方向に振れる可能性もありそうですが、中長期的には米国のインフレが再燃する可能性が高く、米金利高がドルをサポートすると予想していますが、どうでしょう。  本日は「6月の雇用統計」が発表されます。非農業部門雇用者数(NFP)は「19万人」と5月の「27.5万人」から減少していると予想されています。失業保険申請件数も増加傾向で、ADP雇用者数も市場予想を下回っており、常識的には伸びが鈍化しているとみられます。ただ、予想から大きく乖離する傾向があるのも事実です。失業率は5月と同じく「4.0%」を見込んでいます。  ドル円は160円~162円程度を予想します。 (執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円はやや上値を重くし、東京市場の午後から欧州市場にかけては161円を割り込む。(イメージ写真提供:123RF)
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2024-07-05 10:00