【為替本日の注目点】米長期金利大幅に低下

ドル円は先週末の東京市場午後には160円台半ばまで売られ上値を重くした。NYでは雇用統計発表後に下げる場面もあったが、161円台前半まで反発し、160円台後半で越週。ユーロドルは小幅に買われ、1.0842まで上昇。対円でも174円50銭を付ける。株式市場は雇用統計を受け上昇。9月利下げの可能性が高まり、3指数は揃って上昇。ナスダックとS&P500は連日で最高値を更新。債券は買われ、長期金利は4.27%台まで低下。金は続伸し、原油は反落。
6月失業率 → 4.1%
6月非農業部門雇用者数 → 20.6万人
6月平均時給 (前月比) → 0.3%
6月平均時給 (前年比) → 3.9%
6月労働参加率 → 62.6%
ドル/円 160.34 ~ 161.32
ユーロ/ドル 1.0796 ~ 1.0842
ユーロ/円 173.65 ~ 174.50
NYダウ +67.87 → 39,375.87ドル
GOLD +28.30 → 2,397.70ドル
WTI -0.72 → 83.16ドル
米10年国債 -0.080 → 4.278%
【本日の注目イベント】
日 5月国際収支・経常収支
日 6月景気先行指数(CI)(速報値)
日 6月景気一致指数(CI)(速報値)
日 7月日銀地域経済報告(さくらリポート)
独 独5月貿易収支
独 独5月鉱工業生産
米 5月消費者信用残高
6月の米雇用統計は、概ね労働市場の減速を示唆する結果となり、金利が低下し株価は上昇。ドル円は一時161円32銭まで買われる場面もありましたが、米長期金利の低下もあり、160円台前半まで売られました。
6月の失業率は「4.1%」と、市場予想の「4.0%」を超えており、失業保険申請件数の増加と整合する結果でした。雇用者数は「20.6万人」と、こちらは市場予想の「19万人」を上回る結果でしたが、5月分が速報値の「27.2万人」から「21.8万人」に大きく下方修正され、4月分についても「16.5万人」から「10.8万人」に下方修正され、2カ月分で合計「11.1万人」も減ったことになります。これで直近3カ月平均でも「17.7万人」となり、雇用の伸びが続いてはいるものの、「20万人」を大きく下回る結果になっています。FRBにとっても、この結果は利下げを判断する上で「好材料」になるものと思えます。「インフレが当局目標である2%に向って減速していることが、より確信を持てるデータが必要」と述べている多くのFOMCメンバーにとっても、失業保険申請件数の増加、失業率の上昇、そして雇用者数増加の鈍化と、利下げ開始の判断に「追い風」になることは必至でしょう。
想定以上に底堅い動きが続いているドル円ですが、さすがにこれらのデータを受け、上値を重くする展開が続くと予想しています。これまでも、そう言った「円高材料」を全てこなして上昇してきたドル円です。今後再び上昇基調をたどる可能性がないとは言えませんが、冷静に目を凝らして観れば、「景気抑止的政策」の効果が増えて来ていることも事実です。短期的には、どこかの時点でドル高傾向が終焉を迎える可能性があるのではないかと思われます。その水準は、先ずは155円割れかと思います。それにはFRBが9月に利下げを開始することが確実となり、加えて年内にもう1回の利下げが見込まれるといった材料が不可欠です。OISが示す金利予想は、9月の利下げの確率が「74.5%」となっており、12月利下げ確率も一気に上昇し、足許では「75.5%」になっています。
昨日行われた都知事選では、2位と3位の結果にやや驚きがありましたが、1位は想定内の結果で、為替には何の影響もありません。昨日はフランスでも第2回の国民議会(下院、定数577)の選挙が行われましたが、こちらは予想外の結果になった模様です。第1回投票で躍進したマリーヌルペン氏率いる極右政党・国民連合(RN)への支持が伸びず、出口調査を行った5社の初期予測によるとRNは第3党にとどまり、野党で左派連合の新人民戦線(NFP)が最大勢力になった模様です。マクロン大統領の中道連合は150-180議席で、RNは113-152議席と予想されていることからマクロン政権は維持され、首相候補が誰になるのか注目されています。現首相のアタル氏はすでに大統領に辞表を提出する意向を示しています。この結果を受け、早朝のオセアニア市場ではユーロドルが窓を開け、小幅売られています。
米国では、身内の民主党内からも撤退すべきとの意見が出ているバイデン大統領は5日ABCテレビの番組で、司会者から「次の4年の仕事をやり遂げられるか」との質問に、「そう信じている」と答えていました。また、討論会での失敗について、「深刻な状態を示す兆候はない」とし、「私は疲れ切っていた。準備に関して自分の直感を大事にしなかった。まずい夜だった」と振り返っていました。ただ、バイデン大統領に再選を断念させようとする動きは、米経済界でも進んでおり、バイデン氏に選挙戦からの撤退を求める企業家団体「リーダーシップ・ナウ・プロジェクト」の書簡には168人が署名したようです。(ブルームバーグ)さらに、民主党支持者10人のうち3人に近い割合で、バイデン氏が選挙戦から降りるべきだと答えているとする調査結果もあります。今のところバイデン氏は撤退する意志は見せませんが、そのタイミングが遅くなればなるほど、トランプ氏勝利の確率を高めるように思えます。
本日のドル円は159円80銭~161円30銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は先週末の東京市場午後には160円台半ばまで売られ上値を重くした。(イメージ写真提供:123RF)
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2024-07-08 10:45