SBIGAMの25年3月期第1四半期決算は過去最高収益更新、幅広い顧客ネットワークを活かし成長を加速

 SBIグローバルアセットマネジメント <4765> は7月25日、2025年3月期第1四半期決算を発表した。連結売上高は28億43百万円で前年同月比16.3%増、経常利益は7億35百万円で同8.3%増となった。営業・経常・純利益のいずれの項目でも第1四半期として過去最高を更新した。当日、決算説明会を開催し、同社代表取締役社長の朝倉智也氏は、「過去15期連続で増収増益の決算を続けてきて、当期も16期連続に向けて良いスタートになった。増収増益は継続することが難しく、それを実現することが大事だと思う。この連続増益の期間に利益は年平均12.9%で伸び、株価は同17.1%で上昇した。長期で保有していただくことで、トータルとして大きなリターンをご提供することにつながっている」と振り返った。  主要サービス別の売上高は、アセットマネジメント事業は中心となるSBIアセットマネジメントの公募投資信託の運用残高が前年同期比80.7%増の3.17兆円になり、グループ全体の運用残高は前年同期比30.5%拡大し、6.49兆円になった。これに伴う運用報酬(信託報酬う)も増加したため、アセットマネジメント事業の売上高は前年同期比21.3%増の23億53百万円になった。セグメントの利益も25.8%増となり、ファイナンシャル・サービス事業の大幅な減益をカバーして四半期最高の利益を獲得する原動力になった。  ファイナンシャル・サービス事業は、セミナー事業の復調によってメディア・ソリューションが売上高で2.2倍増と健闘したものの、スマートフォンやPC向けのデータ提供が前年同月比25.5%の減収となったことなどからセグメントの売上高は前年同月比3%の減収となった。また、金融機関向けの提供している販売支援ツールの開発費用等を計上した関係でセグメントの利益は33.9%の減益となった。  朝倉氏は、「アセットマネジメント事業ではインデックスファンド、アクティブファンドともに、まんべんなく残高が伸びている。一部のプロダクトに偏った成長ではない点を強調したい。たとえば、アクティブファンドでは2023年12月に新規設定した日本株の高配当株ファンドの人気が高く、米国株、欧州株と広げて大きな資金流入を獲得した。市場のニーズがある商品を積極的に市場投入する商品開発力が強みだと思っている」と語っていた。公募投信市場(ETF除く)の四半期の残高の伸び率が33.5%のところ、SBIアセットマネジメントの公募投信残高は80.7%という高い伸びを示し、業界平均を圧倒的に上回る成長を遂げている。  朝倉氏は、アセットマネジメント事業の商品戦略について、「成長と分配を追求する」、そして、「投資家一人ひとりが自分に最適なポートフォリオを作るために、必要となるツールを提供する」と語った。新規設定後に急速に残高を積み上げた「SBI日本高配当株(分配)ファンド」のように、投資家の間で「分配金」に対するニーズがあることは確実だ。新NISAでは毎月分配型のファンドは対象外となっているが、隔月分配や四半期分配型のファンドを組み合わせることで、結果的に毎月の分配を得るということをパッケージとして提案することも方法とした。「複数のファンドを組み合わせることで資産分散も図り、かつ、それらのファンドが低コストで提供されていれば、投資家の利益にも適っている」と定期分配型のファンドの活用法を提案していきたいという。  また、一部でロボアドバイザーの活用が進むなど、ポートフォリオでリスク管理をしながら資産運用・管理をするという投資家に対し、「投資家に最適なポートフォリオは、百人百色であり、ロボアドバイザーやファンドラップが提供する5つや8つなどのパターンではカバーできるものではない。投資家のリテラシーが高まれば、自分の考えでポートフォリオを組みたいというニーズが高まるだろう。ポートフォリオの1つのピースになるようなインデックス型商品の提供も重要だ」と語っている。同社の提供するインデックスファンドは、米国株にも「S&P500」「ナスダック100」など代表的なインデックスもあれば、「米国小型株」「米国増配株」など、細かなニーズに応えたファンドもある。また、新興国株についても「中国」「インド」に続いて、今後は「サウジアラビア」「インドネシア」「ベトナム」「南アフリカ」なども検討していくとした。  一方、ファイナンシャル・サービス事業で培ってきた全国の地域金融機関との連携は、現在は資産運用セミナーの全国展開という実績につながっているが、この関係を活かした新しい事業の可能性があると朝倉氏は語った。独自にネットワークしてきた地域金融機関やFA(ファイナンシャル・アドバイザー)とのネットワークだけではなく、SBIグループの持つSBI証券やSBI新生銀行などを通じた事業会社へのネットワークを活かして新しい事業分野が拓けるという見通しを示した。  たとえば、地域金融機関とのネットワークには、個々の金融機関のニーズに応じたSBIアセットマネジメントの商品の提供も可能だ。新NISAの開始に伴って地域金融機関の間では品ぞろえの問題でネット証券や大手証券会社に適わないと投信窓販事業について証券会社との連携などに方針転換している金融機関もある。個々の金融機関の実情に沿った商品提供が求められている。  また、オルタナティブ戦略に強みのある英国マングループ、あるいは、プライベートエクイティ戦略の先駆者である米KKRとの戦略的提携などを通じたオルタナティブ・ファンドの提供などの新しい商品の提供も具体化している。そして、グループの事業会社とのネットワークを活かし、2025年3月に予定している大規模なIRフェアの開催、また、企業型確定拠出年金分野への運用商品の提供など、様々な展開の可能性がある。朝倉氏は、「グループのネットワークを活用して従来の事業にプラスオンする分野での成長を上乗せし、業績を加速させたい」と今後を展望していた。(写真は、決算説明会の様子)
SBIグローバルアセットマネジメントは7月25日、2025年3月期第1四半期決算を発表した。(写真は、決算説明会の様子)
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2024-07-25 18:30