【為替本日の注目点】ドル円シーソーのごとく乱高下

 ドル円は昨日の東京市場で148円52銭前後まで売られ、その後は急激な買戻しが入り、NY朝方では150円88銭まで上昇。ただその後は経済指標が下振れしたことで再び下落に転じ、149円29銭まで売られる荒っぽい動きに。ユーロドルはやや水準を切り下げたが、動きは限定的。株式市場は3指数が揃って大幅に下落。金利低下を好感する一方、米景気そのものに対する悲観的な見方が台頭。S&P500は75ポイントの大幅安。債券は続伸。長期金利は2月以来となる4%を割り込み、一時は3.96%台まで低下。金は3日続伸し、原油は反落。 新規失業保険申請件数 → 24.9万件 7月ISM製造業景況指数 → 46.8 ドル/円 149.29~ 150.88 ユーロ/ドル 1.0781 ~ 1.0818 ユーロ/円 161.06 ~ 162.88 NYダウ -494.82 → 40,347.97ドル GOLD +7.80 → 2,480.80ドル WTI -1.60 → 76.31ドル 米10年国債 -0.054 → 3.976% 【本日の注目イベント】 豪 豪第2四半期卸売物価指数 米 7月雇用統計 米 6月製造業受注  ドル円はまるでシーソーのように上へ下へと、大きな値幅をもって連日乱高下しています。FRBが利下げに転じ、一方日銀は主要中銀の政策とは真逆に「利上げ」を実施。いずれもその方向性は分かっていても、どの程度継続され、どこまで進行するのか不透明さを払拭できません。市場参加者も困惑しているのが実情で、これが相場の動きを神経質にさせ、値幅を増幅させています。個人投資家の皆さんも大きなポジションは出来るだけ避け、早めの決済が必要かと思います。個人的にはやはり日足で「雲抜けした事実」は大きく、短期的にはトレンド転換したと思います。従ってドル円は、乱高下しながらもドルの下値を探る動きになると考えています。  ドル円は前日のNYでのドル急落を受け、昨日の朝方には149円を割り込み、148円52銭辺りまでドル売りが進みました。その後はもみ合いながらもドルが買い戻され150円台を回復。NYではさらにドルが上昇しましたが151円には届かず149円台前半で戻ってきました。米景気には急ブレイキがかかり、どうやらその影響は労働市場にも浸透してきたようです。発表された「新規失業保険申請件数」は前週比1万4000件増加し、24万9000件でした。これはほぼ1年前の高水準と同じで、よりトレンドを反映するとされる「4週間移動平均」でも23万8000件となっており、職を失った人が確実に増加していることを物語っています。今夜の「7月の雇用統計」でも非農業部門雇用者数は「17.5万人」と見込まれ、6月の「20.6万人」から伸びが鈍化していると予想されています。ブルームバーグは、「新規申請件数や継続受給者数は過去2年間の大半で歴史的な低水準で推移していたが、ここ数カ月で増加している。雇用は減速し、労働市場が新型コロナウイルスのパンデミック前の水準に戻っていることを多くの指標が示している」と報じています。  さらにこの日発表された「7月のISM製造業景況指数」も低水準でした。指数は6月の「48.5」から「46.8」に低下し、これは8カ月ぶりの大幅な低下です。「50」が活動の拡大と縮小の境目で、受注と生産の縮小が加速し、雇用の指数は4年ぶりの低水準でした。相次ぐ指標の下振れは今後のFRBによる利下げを促し、一般的には債券と株が買われドルが売られることにつながりますが、昨日は金利低下を好感するよりも、今後米景気の底割れを懸念する声が広がり、株式市場では主要株価が大きく売られ、株価の大幅下落が円買いを促した側面もあったようです。米長期金利は6日連続で低下し、およそ半年ぶりに4%の節目を割り込み3.96%台まで低下してきました。OIS金利先物市場では、9月の利下げだけではなく、11月、12月会合での利下げ確率がいずれも100%を越え、0.25ポイントの下げを3回行うことを織り込んでいます。  NYでは149円台前半で取引を終えたドル円が執筆時、すでに148円90銭辺りまで下げています。今夜の雇用統計では上振れの可能性もありますが、予想を下回った時の反応の方がより大きいのではないでしょうか。  本日のドル円は147円~150円程度といったところでしょうか。 (執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は昨日の東京市場で148円52銭前後まで売られ、その後は急激な買戻しが入り、NY朝方では150円88銭まで上昇。(イメージ写真提供:123RF)
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2024-08-02 10:15