【為替本日の注目点】ドル円8月5日以来の141円台

 「8月の雇用統計」を受けドル円は急落。一時は141円78銭まで売られたが、8月5日に付けた141円68銭は抜けずに辛うじて維持。ユーロドルも続伸。1.1155まで買われた。株式市場は3指数が揃って大幅下落。雇用の伸びが鈍化し、米景気そのものに対する懸念が広がる。ナスダックは436ポイント下落。債券は続伸。長期金利は3.07%台に低下。金は反落し、原油は続落。 8月失業率 → 4.2% 8月非農業部門雇用者数 → 14.2万人 8月平均時給 (前月比) → 0.4% 8月平均時給 (前年比) → 3.8% 8月労働参加率 → 62.7 ドル/円 141.78 ~ 144.00 ユーロ/ドル 1.1066 ~ 1.1155 ユーロ/円 157.45 ~ 159.48 NYダウ -410.34 → 40,345.41ドル GOLD -18.50 → 2,524.60ドル WTI -1.48 → 67.67ドル 米10年国債 -0.019 → 3.708% 【本日の注目イベント】 日 4-6月GDP(改定値) 日 7月国際収支・経常収支 日 8月景気ウオッチャー調査 中 中国8月消費者物価指数 中 中国8月生産者物価指数 米 7月消費者信用残高 米 8月NY連銀インフレ期待  先週末の雇用統計発表前までに、「ADP雇用者数」、「JOLTS」など、雇用の伸びの鈍化を示す指標が多く発表され、「本番」の雇用統計でもどちらかと言えば、「弱め」の数字が予想される状況でした。来週18日からのFOMC会合での利下げ幅については、市場が織り込んでいる下げ幅は「35bp」と、「25bpなのか、50bpなのか」、確信が持てずにいることが浮き彫りになっている状況でした。  そんな中、「8月の雇用統計」は非農業部門雇用者数(NFP)が「14.2万人」と、市場予想の「16.5万人」を下回る結果でした。さらに7月分と6月分も下方修正されたことで、米労働市場の減速傾向が明らかとなり、「FRBによる大幅利下げ必至→ドル売り」との連想が働き、ドル円は発表直後におよそ2円も急落し、141円78銭まで売られました。先月5日に141円68銭まで大きく売られたドル円はその後149円40銭近辺まで戻しましたが、ちょうど1カ月かけて再び141円台まで押し戻される結果になっています。さすがにドルの最安値である141円68銭は意識されたのか、この水準は下抜けせず142円台に戻しています。失業率は「4.2%」で、市場予想と同じでした。  さて、これで来週のFOMC会合で50bp引き下げる可能性は高まってきましたが、それでもまだ大幅利下げには慎重な意見もあります。イエレン財務長官は今回の雇用統計の結果を受け、「雇用の伸びがこの辺りで安定すれば非常に喜ばしい」と述べ、「そうなることを望み、期待している」と発言しています。また、サマーズ元財務長官は、「確かに、数字はそれほど顕著な弱さを示してはいない。しかし、最近の統計の傾向に懸念を抱いた人にとって、経済の健全性を示すものではなかった。9月の会合で利下げ幅が25ベーシスになるのか、50になるのかは、私自身の1、2カ月前の予想よりも予断を許さなくなったように見える」と語っています。確かに、「14.2万人」という数字は、米労働市場が健全であるにはやや少ないものの、すぐにハードランディングにつながる数字ではないことも事実でしょう。失業率の「4.2%」については、過去の米国のそれと比較すれば、明らかに「良い数字」です。この辺りが微妙で、50bpの利下げに慎重な意見が残るのも頷けます。仮に今回の会合で25bpの利下げが決められたとすれば、ドル円も反発する可能性がありますが、それでも11月、12月にそれぞれ50bp引き下げの可能性も残ります。次は11日(水)の「8月の消費者物価指数」が注目されることになります。  明日10日にはトランプ氏とハリス氏のテレビ討論が行われますが、8日に発表されたNYタイムズとシエナ大学の世論調査では、「トランプ氏の支持率が48%で、ハリス氏が47%」と、トランプ氏が1ポイントリードしているとの結果が示されています。1ポイントは誤差の範囲と見られていますが、「ハリス旋風」が吹き荒れる中、トランプ氏への支持率も底堅いようです。どちらが勝利するのかで、ドル円の水準も変わって来る可能性が出てきました。ハリス氏が法人に対する課税を強化する姿勢を示しているのに対し、トランプ氏は現行21%の法人税率を15%に引き下げる方針を示しています。言うまでもなく、財源となる国債の発行額の多寡が米金利の上昇圧力になるからです。  本日のドル円は141円50銭~143円50銭程度を予想します。
「8月の雇用統計」を受けドル円は急落。一時は141円78銭まで売られたが、8月5日に付けた141円68銭は抜けずに辛うじて維持。(イメージ写真提供:123RF)
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2024-09-09 10:00