【為替本日の注目点】米7-9月期GDP2.8%

ドル円は前日と同様に152円台後半から153円台半ばで推移。「ADP雇用者数」が予想を大きく上回り、米利金利が上昇し153円50銭までドルは買われたものの、重要イベントを控え上値は抑えられた。ユーロドルは反発。ドイツがリセッショ入りを回避できたことや、同国のインフレ率が想定を上回ったことで1.0871まで上昇。ユーロは対円でも166円59銭前後まで買われた。株式市場では3指数が揃って下落。半導体銘柄の売りが相場全体を下げ、S&P500は19ポイントの下落。債券は反落。長期金利は4.3%台に乗せて引ける。金は5日続伸し2800ドル台に。原油も買われる。
10月ADP雇用者数 → 23.3万人
7-9月GDP(速報値) → 2.8%
9月中古住宅販売成約件数 → 7.4%
ドル/円 152.87 ~ 153.50
ユーロ/ドル 1.0808 ~ 1.0871
ユーロ/円 165.46 ~ 166.59
NYダウ -91.51 → 42,141.54
GOLD +19.70 → 2,800.80ドル
WTI+1.42 → 68.61ドル
米10年国債 +0.046 → 4.300%
【本日の注目イベント】
豪 豪9月住宅建設許可件数
豪 豪9月小売売上高
日 日銀金融政策決定会合
日 植田日銀総裁記者会見
日 9月鉱工業生産
中 10月中国製造業PMI
中 10月中国サービス業PMI
欧 ユーロ圏10月消費者物価指数(速報値)
欧 ユーロ圏9月失業率
欧 ECB経済報告
米 新規失業保険申請件数
米 7-9月雇用コスト指数
米 9月個人所得
米 9月個人支出
米 9月PCEデフレータ(前月比)
米 9月PCEデフレータ(前年比)
米 9月PCEコアデフレータ(前月比)
米 9月PCEコアデフレータ(前年比)
米 企業決算 → コムキャスト、ウーバー、アップル、アマゾン、インテル、マスターカード
ドル円は152円台後半から153円台半ばで方向感の欠ける動きになっています。本日の日銀決定会合に始まり、明日の雇用統計、来週の米大統領選、そしてFOMCと、ビッグイベントが目白押しであることから、相場の先行きを読み切れないことが不透明感を増しています。
「10月のADP」はややサプライズでした。市場予想の「11万人」に対して「23.3万人」と大きく伸びており、ここ1年余りで最大の増加でした。また、9月分も「14.3万人」から「15.9万人」に上方修正され、労働需要が堅調なことが示されました。9月から10月にかけては米南西部に2つの大きなハリケーンが襲来し、甚大な被害を与えたことは記憶に新しいところですが、そうした中でも労働市場が健全な状態を維持したことになります。ADPのチーフエコノミストはこの結果について、「ハリケーンからの復興のさなかでも、10月の雇用の伸びは力強かった。米企業の採用ペースは10月に急加速し、雇用の伸びは1年余りで最大だった。労働需要が驚くほど力強い状況を浮き彫りにしている」と説明しています。(ブルームバーグ)今回の結果を受け、先月も同じような状況であったことが思い起こされます。「9月のADP雇用者数」が大きく伸び、「雇用統計」本番への期待も高まり、事実「9月の雇用統計」では想定外の伸びをみせました。FRBによる大幅利下げ観測が一気に後退し、これがドル円を押し上げる契機になりました。「明日の雇用統計」で、再び同じ結果が示され「2匹目のどじょう」ということになるのか、あるいは、やはり2つの指数に相関性は見られない結果になるのか注目です。通常、昨日のような結果が示されれば、本来ならドル円はもう少し上値を試してもおかしくはなかったと思われますが、GDPが予想に届かなかったことや、上でも述べたようにビッグイベントを控えていることが影響したとみています。
大統領選を1週間後に控え、ハリス副大統領は日本時間昨日の午前、首都ワシントンの「ナショナルモール」の一角から演説し、「今回の選挙で問われているのは、単なる二つの政党や二人の候補者間の選択にとどまらない。それは全ての米国民のための自由に根ざした国家とするのか、混乱と分断に支配される国家とするのかの選択だ」と訴えていました。演説会場には7万5000人余りの支持者が集まったとされています。そしてハリス氏はトランプ氏との違いについて、「私は専門家の意見に耳を傾けることを約束する。私と異なる意見を持つ人々の声にも耳を傾ける。ドナルド・トランプ氏とは違い、私は自分に同意しない人々を敵とは考えない」と、トランプ氏とは違うことを強調していました。
オースティン米国防長官は、北朝鮮がロシアに兵士を派遣したことで、ウクライナでの戦争が拡大する恐れがあるとの見解を示しました。長官は韓国の金国防相との会見で、「約1万人の北朝鮮兵の派遣は戦争を長引かせ、拡大させたりするリスクがある」と述べ、具体的には示さなかったものの、「北朝鮮部隊の存在が、ウクライナ支援のための『他の国がさまざまな行動を起こすのを促す』可能性がある」と指摘しています。また韓国の金国防相は、「北朝鮮が兵士を派遣する見返りに、ロシアから最先端技術の供与を求める可能性が高い」と指摘しています。これでロシア側の戦力不足が補足されることにもなり、ウクライナ問題は4年目に突入する可能性もあります。
本日は日銀の金融政策決定会合の結果が発表されます。政治的混迷が続くなか、日銀が追加利上げを実施する可能性は極めて低く、「展望リポート」でどのような見通しをするのか、そして今後の利上げのタイミングについては、「時間的な余裕はある」と述べていた植田総裁がどのような認識を示すのかが注目されます。
本日のドル円は152円20銭~154円程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は前日と同様に152円台後半から153円台半ばで推移。(イメージ写真提供:123RF)
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2024-10-31 10:00