【為替本日の注目点】日銀総裁発言を受けドル円151円台後半に

ドル円は153円台半ばから大きく下落。植田日銀総裁が会見で「時間的な余裕がある」との表現は不要と述べたことで、円買いが加速。NYでは151円84銭まで売られる。ドル下落にユーロが反発。ユーロドルは1.0888まで上昇。株式市場では3指数が揃って大きく売られる。マイクロソフトやメタの決算への失望から大型ハイテク株が大きく売られる。ナスダックは512ポイントの大幅下落。S&P500は10月の上昇分を全て吐き出す。債券は反発。長期金利は4.28%台に低下。金は大幅反落。原油は続伸。
新規失業保険申請件数 → 21.6万件
7-9月雇用コスト指数 → 0.8%
9月個人所得 → 0.3%
9月個人支出 → 0.5%
9月PCEデフレータ(前月比) → 0.2%
9月PCEデフレータ(前年比) → 2.1%
9月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.3%
9月PCEコアデフレータ(前年比) → 2.7%
10月シカゴ購買部協会景気指数 → 41.6
ドル/円 151.84 ~ 153.05
ユーロ/ドル 1.0847 ~ 1.0888
ユーロ/円 165.02 ~ 166.36
NYダウ -378.08 → 41,763.46
GOLD -51.50 → 2,749.30ドル
WTI+0.65 → 69.26ドル
米10年国債 -0.016 → 4.284%
【本日の注目イベント】
中 10月財新製造業PMI
独 独10月製造業PMI(改定値)
欧 ユーロ圏10月製造業PMI(改定値)
英 英10月製造業PMI(改定値)
米 10月雇用統計
米 10月ISM製造業景況指数
米 10月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)
米 10月自動車販売台数
米 企業決算 → シェブロン、エクソンモービル
昨日の日銀金融政策決定会合では、市場予想通り政策金利の据え置きが決定されました。無風と思われましたが、注目されていた会見で植田総裁は今後の金融政策運営について「経済・物価見通しが実現していくとすれば、政策金利を引き上げていく」と、これまでの主張を繰返しましたがその後で、これまで繰り返してきた「時間的な余裕がある」と文言を「今後使わない」と述べました。これは、米国の「雇用統計」など経済指標の振れが大きく、変動リスクも高まっていることで、政策判断のやり方を通常に戻すという意味に捉えられ、言い換えれば、米国の経済指標次第では、躊躇なく追加利上げを行う用意があるということになります。
ドル円はこの発言を受け153円台半ばから急落し、一時151円台後半まで売られました。ただ、NYでは思ったほどドルが売られず、153円台まで戻す場面もあり、その後再びドル売りが加速しましたが、151円84銭程度にとどまっています。今夜の雇用統計で非農業部門雇用者数(NFP)が市場予想を超えるようだと、FRBによる追加利下げの可能性も後退するだけではなく、日銀が追加利上げを実施する可能性も高まります。つまり、日銀としてはこれ以上円安が進むのを何とか避けたいという意向が金融政策を判断する上で重要だということです。先の衆院選でも、物価高が続きこれを抑えられなかった自公が敗北し、実質的な手取りを増やすと訴えた国民民主党などが勝利しました。これも、日銀が円安をこれ以上進ませてはいけないという圧力になろうかと思います。今年最後の金融政策決定会合は12月18-19日に開催されますが、現時点ではここでの追加利上げの可能性は高まったと考えられます。
先ずは最初の重要イベントである日銀金融政策決定会合を終えたばかりですが、すでにドル円は大きく動きました。今夜の「雇用統計」を含め「米大統領選」など、まだビッグイベントが控えています。今後1週間のドルの動きをヘッジするコストは主要通貨のボラティリティが急上昇しているため高水準になっています。主要通貨の1週間物インプライド・ボラティリティでは、ドル円が「16.5%」に達しています。これは主要通貨の中で最も高く、ユーロドルの「11.1%」やポンドドルの「10.6%」を大きく上回り、主要通貨の中で最も低いキャンドル・米ドル「7.5%」の倍以上になっています。ドル円のボラティリティが高いのは年初からのことですが、当然参加者も増えているはずで、そのため取引ボリュームもかなり増加しています。
いよいよ来週5日(火)は「米大統領選」ですが、今朝のブルームバーグの「米大統領選」に関するコラムに思わず目が止まってしまいました。通常、エコノミストは政治とは距離を置くと考えられていますが、驚くべきことに、コロンビア大学教授のジョセフ・スティグリッツ氏やMITのアセモグル教授など、23人のノーベル経済学賞受賞者が大統領選でハリス氏を支持するとの書簡を公表しています。理由も明確で、「ハリス氏の政策は、より強固、より持続可能で、より公平な経済成長をもたらし、より強力な経済パフォーマンスを実現するだろう」というものです。一方トランプ氏の政策については「中産階級を底上げし、競争を強化し、起業家精神を促進する政策を強調してきた」とし、「ハリス氏の経済アジェンダは、米国と米国民の経済力と幸福度を高め、トランプ氏の政策よりもはるかに成果をもたらすだろう」と記されています。ややトランプ氏リードとの見方の中、影響はあるのでしょうか。
本日のドル円は150円50銭~154円程を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は153円台半ばから大きく下落。(イメージ写真提供:123RF)
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2024-11-01 11:00