【為替本日の注目点】ドル円再び155円台後半に

ドル円は欧州市場で155円89銭まで買われ、NYでも高値圏で始まったが、ウクライナが再びロシアを攻撃したとの報に徐々にリスク回避の流れに。ユーロドルは前日の動きと同様に1.05台前半から半ばで推移。株式市場は引き続きまちまちの展開。ダウは139ドル上昇したものの、ナスダックは小幅安で、S&P500は横ばい。引け後に決算発表したエヌビディアの売り上げ見通しは、市場予想上限には届かず。債券は反落。長期金利は4.41%台に上昇。金は3日続伸し、原油は反落。
ドル/円 155.06 ~ 155.83
ユーロ/ドル 1.0507 ~ 1.0563
ユーロ/円 163.12 ~ 164.48
NYダウ +139.53 → 43,408.47
GOLD +20.70 → 2,651.70ドル
WTI -0.52 → 68.87ドル
米10年国債 +0.016 → 4.412%
【本日の注目イベント】
トルコ 中銀政策金利発表
欧 ユーロ圏11月消費者信頼感指数(速報値)
欧 植田日銀総裁パリで講演、質疑応答
米 新規失業保険申請件数
米 11月フィラデルフィア連銀景況指数
米 10月景気先行指標総合指数
米 10月中古住宅販売件数
米 メスター・クリーブランド連銀総裁、イベントで挨拶
米 グールズビー・シカゴ連銀総裁、質疑応答に参加
ドル円は再び155円台を回復し、NY市場の早朝には155円89銭までドルが買われました。その後はやや軟調な動きにはなりましたが、153円台前半ら155円台後半でのレンジの「上限」を試した格好になっています。市場はやや材料難の中、昨日はFOMCメンバーの発言や米金利の動きに反応したようです。
9月のFOMC会合で、より小幅な引き下げを求め、50bpの大幅利下げに、反対票を投じたボウマンFRB理事は、フロリダ州での講演で、「政策金利の引き下げに関して、インフレ目標をなお達成できていない点を認識しつつ、労働市場の動向を注意深く見守りながら、最終地点までどの程度離れているのか正確に判断できるよう慎重に進めたい」と述べ、追加利下げには引き続き慎重な姿勢を見せていました。同理事がFOMCで反対票を投じたのは、実に20年ぶりだったことで注目を集めていました。ボウマン氏はさらに、「2023年初頭以降、インフレ抑制でかなりの進展が見られたが、ここ数カ月は進展が停滞しているようだ。また、物価安定目標を達成する前の段階で、政策金利が中立水準に達する、あるいは中立水準を割り込むリスクを排除すべきではない」と指摘しています。タカ派寄りの発言を行ったボウマン氏とはやや異なり、同じくFRB理事のクック氏は、FRBが担う雇用とインフレの両責務について、「リスクはおおむね均衡している。金利の方向性は下向きだが、引き下げの幅とタイミングは、これから出て来るデータと経済の見通し次第だ」と述べるにとどめていました。
さらにボストン連銀のコリンズ総裁もミシガン大学のイベントで、「最終的な行先は不確かだが、ある程度の追加緩和は必要だと考える。現行の政策は依然として、少なくとも幾らかは景気に抑制的だから」と述べ、現時点でFRBが認識している基本方針を代弁するかのような発言を行いました。FRBの今後の金融政策には直接関係しませんが、バーFRB副議長は自身の任期についての考えを示しています。下院金融委員会の公聴会に出席し、議員からトランプ次期大統領が解任に動いた場合どうするのかと問われ、「パウエル議長が述べたように、われわれは決められた任期を務めることになっており、私自身そうするつもりだ」と答えていました。
ウクライナは前日、米国から供与された長距離兵器「ATACMS」を使ってのロシア領内への攻撃を行いましたが、今度は英国製の長距離ミサイル「ストームシャドー」を使っての攻撃に踏み切りました。
英国のヒーリー国防相は、「ここ数週間、ウクライナ情勢とウクライナを巡るレトリックに著しい変化が見られた。国家として、政府として、ウクライナ支援を強化する決意だ」と議会で述べています。(ブルームバーグ)ウクライナが米英の最新兵器を用いてロシア領内の軍事施設を攻撃したことで、情勢はさらに悪化している模様で、リスク回避の動きが昨日のNYでの株安にもつながっています。
本日のドル円は154円50銭~156円程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は欧州市場で155円89銭まで買われ、NYでも高値圏で始まったが、ウクライナが再びロシアを攻撃したとの報に徐々にリスク回避の流れに。(イメージ写真提供:123RF)
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2024-11-21 10:15