Fエンジニア、機電系派遣で飛躍―新卒領域やインド事業も柱へ

 フォーラムエンジニアリング(=Fエンジニア) <7088> は、機電系人材に特化したエンジニアの派遣会社。今3月期の連結営業利益の計画は40億円(前期比32%増、従来予想の35億円から上方修正)と、AI(人工知能)によるスキルマッチング機能を駆使した就職サイト「コグナビ」を原動力に着実な収益成長を見込む。インドでも事業基盤を構築する同社の佐藤勉代表取締役兼社長執行役員に、今後の展望を聞いた。 ―機電系エンジニアの派遣とはどのような事業か。  「『機電系』とは機械・電気系の分野を意味し、機械や電機産業のモノづくりの現場で活躍するエンジニアに特化した人材派遣を展開している。加えて、理工系大学の学生の就職を支援する。今年9月末時点の在籍技術者は、すべて正社員として4539人だ」 ―マッチングシステムのコグナビとは?  「エンジニアと企業をマッチングする独自開発のプラットホームだ。関連する膨大な『技術用語』を独自の『関係線』で結び、ツリー状(樹形図)にして可視化することでエンジニアとクライアント企業の双方に潜在する要件やスキルをすくい上げる。まさに基盤技術としてマッチングの機会を広げ、採用・稼働人数の順調な増加を支えている。今期第2四半期(7-9月)末の稼働者数は4392人だが、3年後には5000人規模を目指している」 ―稼働人数の拡大とともに、派遣単価/時間も9月末時点の契約単価の平均値で4041円(10月1日時点で4050円)と右肩上がりを続けている。  「それについても、コグナビのスキルマッチング精度の高さで適材を供給できる点が強みと言える。また、経験者採用を強化する戦略も奏功し、単価の底上げにつながっている。若手技術者の比率が高いことから同業他社との相対ではまだ安いため、単価を高めていく余地はまだ大きい」 ―新卒領域の「コグナビ新卒」を第2の柱に位置付けているが。  「理工系の有力大学と連携し、多くのケースで単位の取得が可能な授業枠の中でセミナーを実施している。ここでもマッチングのノウハウを活用し、学生の『学び』や『好きなこと』を仕事と結び付ける手伝いを続けてきた。成約数は2024年卒が254人となり、23年卒の141人から大きく増やした」 ―しかし、25年卒については当初計画(500人)通り進まず、9月末時点で287人にとどまっている。  「25年卒は学生の数こそ確保できたものの、50人以上を採用する大手企業の掲載企業数が十分ではなかったことが、成約が伸び悩んだ原因だと分析している。これまで企業側への課金体系は、学生一人当たり100万円の成約報酬型を適用してきたが、26年卒からは採用人数に応じて一定金額の『システム利用料型』も導入する。それにより、採用人数の多い大企業にコグナビ新卒をより使ってもらえるようにして、成約数を再び大きく増やしていく考えだ」 ―インド事業も楽しみな要素だ。  「インドでも新卒学生とインド企業をつなげるジョブポータルサイトを運営している。ヒトと企業の数を踏まえると、同国には日本国内を大きく超える潜在市場があるとみられ、将来的な商機は大きい」 ―足元の状況はどうか。  「22年に進出し、現在はまだ先行投資の局面にある。ただ、登録学生数が既に10万人を突破しサイト利用率も向上するなど、収益化の素地は整いつつある。23年のサービス開始から4年後を目途に黒字化していきたい」 ◎記者の目  Fエンジニアの株価は、800円どころの下値ラインをサポートに高位でもみ合い、最近では上期決算の好内容を受けて水準を切り上げつつある。自動車の電装化などを背景に、エンジニアに対する企業のニーズは今後も増加すると考えられる。こうした中で、同社はコグナビの利用者数と契約単価が順調に伸ばし、高い収益成長を維持していくことが期待される。また、人口14億人超で若年層の比率が高いインドでの新事業のポテンシャルも大きい。課題は、日本とは異なるインド企業の新卒採用市場をいかに開拓していけるかだが、同社はクライアントの獲得に注力している。海外展開の収益貢献が視野に入れば、マーケットの評価は一段と高まりそうだ。
 フォーラムエンジニアリング(=Fエンジニア)は、機電系人材に特化したエンジニアの派遣会社。今3月期の連結営業利益の計画は40億円(前期比32%増、従来予想の35億円から上方修正)と、AI(人工知能)によるスキルマッチング機能を駆使した就職サイト「コグナビ」を原動力に着実な収益成長を見込む。インドでも事業基盤を構築する同社の佐藤勉代表取締役兼社長執行役員に、今後の展望を聞いた。
economic company
2024-12-03 11:45