【為替本日の注目点】ドル円158円手前から急落

東京市場の朝方に157円93銭まで買われたドル円はNYで大きく反落。発表された経済指標が予想を下回ったことで、利下げペース減速の見方が後退。155円97銭までドルが下落。ユーロドルは反発したものの、上昇幅は小幅にとどまる。株式市場では3指数が揃って買われる。先週大きく売られたダウは498ドル買われ、ナスダックも199ポイント高。債券は横ばい。長期金利は4.52%台で推移。金と原油は反発。
11月個人所得 → 0.3%
11月個人支出 → 0,4%
11月PCEデフレータ(前月比) → 0.1%
11月PCEデフレータ(前年比) → 2.4%
11月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.1%
11月PCEコアデフレータ(前年比) → 2.8%
12月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 74.0
ドル/円 155.97 ~ 156.79
ユーロ/ドル 1.0386 ~ 1.0447
ユーロ/円 162.50 ~ 163.12
NYダウ +498.02 → 42,840.26
GOLD +37.00 → 2,645.10ドル
WTI +0.08 → 69.45ドル
米10年国債 -0.004 → 4.522%
【本日の注目イベント】
英 英7-9月期経常収支
英 英7-9月期GDP(改定値)
米 11月耐久財受注
米 12月コンファレンスボード消費者信頼感指数
米 11月新築住宅販売件数
先週金曜日の東京市場の朝方、ドル円はNYでのドル高の流れを受け、一時157円93銭と、158円に迫る勢いでしたが、その後は当局の口先介入があり、それほど効果はなかったものの、NYでは大きくドルが売られています。NYではPCEコア指数価格が予想を下回ったことで、来年の利下げペースの鈍化に一応ブレイキがかかり、ドル円は156円台を割り込む水準まで売られています。20日の午後に三村財務官は財務省で、「投機的な動きも含め、為替の動きを憂慮している。行き過ぎた動きには適切な対応を取りたいと思っている」と述べ、加藤財務相も、同日午前の閣議後の会見で、同じようなけん制発言を行っていました。先週も触れたように、仮に実弾介入があるとしても、160円前後の水準を予想していますが、同時にその際の円の売られる勢いにも注意が必要でしょう。「行き過ぎた動き」という言葉を使っていることから円安の勢いを注視しており、当局としても臨戦態勢は整っていると見られますが、一方で「伝家の宝刀」は出来れば抜きたくないというもの事実かと想われます。
発表された「11月の個人消費支出(PCE)」では、FRBが重視する「PCEコア指数」が予想を下回っていました。同指数は前月比で「0.1%」(予想は0.2%)、前年比で「2.8%」(予想は2.9%)でした。「全体として、これはFRBが望んでいた内容だ。米経済の強さは続いているが、物価上昇圧力は抑制されている」といった声も聞かれました。
先週一週間は米債券と株式が大きく売られましたが、週末ということもあり、金曜日には主要3指数は買い戻され、特にダウは大きく反発して越週しています。しかし債券の方は殆ど買い戻しが入って来ません。9月のFOMCで政策金利の引き下げを開始して以来、米10年債利回りは75bp余りも上昇しています。先週のFOMCでは3会合連続の利下げを実施したにもかかわらず、10年債利回りは約7カ月ぶりの高水準まで大きく上昇しました。これは、FOMCメンバーが予想するドットチャートが、2025年には金融当局が金融緩和ペースを大幅に減速させる用意があることを示唆しており、来年にかけても債券が弱含む可能性があることを、市場が感じ取っていることが背景かと思われます。また同時にトランプ次期政権の政策が始動すれば債券が増発され、これが金利上昇圧力になっていることも見逃せません。米金利が上昇傾向にあるとすれば、金利面からすればドル円の下値は限定されると考えられます。
NY連銀のウイリアムズ総裁はこれらを意識した発言を行っています。ウイリアムズ総裁はCNBCとのインタビューで、「私個人の予測としては、財政や移民といった政策に関する考えをいくらか織り込んだ。これらの要素は経済の先行きを考える上で重要だからだ」と話し、その上で「不確実性が著しいことを、ただ強調しておきたい」と続けていました。また先のFOMCで唯一反対票を投じたクリーブランド連銀のハマック総裁は、その理由について、「インフレ抑制がさらに進展するまで金利を据え置くべきだと考えた」と述べ、「経済活動を緩やかに抑制する程度の高い水準で金利を『当面は』維持すべきだと考えた」と説明しています。
米金利が高水準を維持し、さらに上昇に向かうのかという点と、日本の金融当局の動きにも注意しながら年末年始を過ごす必要があります。この時期は日本勢の参加者が減ることで相場が動き易いことは、過去の歴史が物語っています。
本日のドル円は155円80銭~157円30銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
東京市場の朝方に157円93銭まで買われたドル円はNYで大きく反落。(イメージ写真提供:123RF)
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2024-12-23 10:45