【為替本日の注目点】ウォラー理事のハト派発言でドル円続落

156円台を回復したドル円は再び下落。FRBのウォラー理事がハト派寄りの発言を行ったことで米金利が低下。ドル円は155円10銭まで売られる。ユーロドルは依然として上値が重く、1.03を挟みもみ合い。前日大幅高を演じた株式市場では3指数が揃って小幅安。ウォラーFRB理事のハト派的な発言で下げ幅は縮小。債券は続伸。長期金利は4.61%台に低下。金は大幅続伸。原油は反落。
12月小売売上高 → 0.4%
12月輸入物価指数 → 0.1%
12月輸出物価指数 → 0.3%
1月フィラデルフィア連銀景況指数 → 44.3
新規失業保険申請件数 → 21.7万件
1月NAHB住宅市場指数 → 47
ドル/円 155.10 ~ 156.37
ユーロ/ドル 1.0260 ~ 1.0315
ユーロ/円 159.67 ~ 160.56
NYダウ -68.42 → 43,153.13
GOLD +33.10 → 2,750.90ドル
WTI -1.36 → 78.68ドル
米10年国債 -0.041 → 4.613%
【本日の注目イベント】
中 10-12月GDP
中 中国12月小売売上高
中 中国12月鉱工業生産
欧 ユーロ圏11月経常収支
欧 ユーロ圏12月消費者物価指数(改定値)
英 英12月小売売上高
米 12月住宅着工件数
米 12月建設許可件数
米 12月鉱工業生産
米 12月設備稼働率
第二次トランプ政権で財務長官に指名されたスコット・ベッセント氏が上院財政委員会の公聴会に出席しました。公聴会では、為替レートや市場介入に関する具体的な発言はありませんでしたが、「為替レートの変動、消費者の好みの変化、中国製品の値下げにより、米消費者に対する関税の影響は全て緩和されるだろう。足元の景気低迷を輸出で克服しようとしている中国は、市場シェアを維持するために価格を引き下げ続けるだろう」と発言していました。またFRBについては、「金融政策の決定に関して、FOMCは独立しているべきだ」と、ひとまずFRBの独立性を尊重する意向を示しています。
東京市場で156円台を回復し、NYでも156円35銭前後まで反発したドル円でしたが、FRBのウォラー理事の「かなりハト派寄り」の発言に雰囲気が一変しています。ウォラー氏はCNBCの番組で、前日発表された昨年12月のCPIに触れ、「昨日発表されたインフレデータは非常に良好な内容だった。こうした数字が続けば、今年前半に利下げが実施され得ると考えるのが妥当だろう」と語っています。また、「このディスインフレ傾向は続き、考えられているより少し早く2%に近づくと、私は楽観している」と発言しています。さらに、「経済活動を促進も抑制もしない中立金利に関する当局者の予想中央値は、今後発表されるデータ次第で年内3-4回の利下げが可能なことを示唆している」と、かなりハト派的な発言を行いました。ただ同時に、「データが良好でなければ2回に戻ることになる。インフレが根強く続けば1回となる可能性さえある」とも述べていました。市場は、前半の「年内に3-4回の利下げ」という部分に反応し、債券が買われ金利が低下したことで155円近くまでドルが売られました。今年の利下げ回数について、市場のコンセンサスは「おおむね2回」に集中しています。
いよいよ来週には第二次トランプ政権が発足します。すでに政策推進のために財源として国債の増発が予定されていますが、イエレン財務長官は講演で、「現在の予算政策の下で予測される財政の道筋は、どう考えても持続可能ではない。行動を起こさないと、あるいは予測される赤字を悪化させる行動は、悲惨な結末を招く恐れがある」と、トランプ次期大統領が計画している政策は、将来的には債務危機を誘発する可能性があると指摘していました。バイデン大統領も15日夜、大統領執務室から最後の演説を行い、「ごく一部の超富裕層に権力が危険なほど集中しており、米国の民主主義に影響が及び得る」と発言していました。バイデン氏は、「今日、米国で寡頭(かとう)政治が形成されつつある。文字通り、われわれの民主主義全体や基本的な権利や自由、誰もが成功を手にするための公平な機会を脅かす極端な富と権力、影響力だ」と話し、「米国は間違った情報や偽情報の雪崩に埋もれ、権力の乱用を許している」と、訴えていました。大統領時代も含め、50年程政治家として生きて来たバイデン氏の最後の「警告」と、自身の「矜持」をしみ込ませた言葉でした。因みに、20日の大統領就任式には、元大統領のオバマ、クリントン、ブッシュの3氏は出席しますが、就任後に開かれる伝統的な昼食会には、3氏とも出席しない予定だとブルームバーグは伝えています。中でも、共和党の大統領として政権を司ったブッシュ氏が出席しないことが、今後のトランプ政権の危うさを象徴しているように思えます。
本日のドル円は154円50銭~156円30銭程度と予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
156円台を回復したドル円は再び下落。(イメージ写真提供:123RF)
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2025-01-17 10:15