【為替本日の注目点】トランプ氏、第47代米大統領に就任

トランプ大統領が初日の関税発動を見送るとの報道で、ドル円は大きく下落。156円台半ばから155円41銭まで売られる。ドルが売られたことでユーロドルも大きく反発。ユーロは一時は1.0435近辺まで買われ、およそ2週間ぶりの水準に。
ドル/円 155.41 ~ 156.48
ユーロ/ドル 1.0305 ~ 1.0435
ユーロ/円 160.84 ~ 162.31
NYダウ → 43,487.83
GOLD ------ → 2,748.70ドル
WTI ------ → 77.88ドル
米10年国債 ------ → 4.627%
【本日の注目イベント】
独 独1月ZEW景気期待指数
英 英11月失業率
英 英ILO失業率(9-11月)
米 決算発表 → 3M、ネットフリックス
19日の集会で「ワシントン政治をぶっ壊す!!」と、声高に述べたトランプ氏。どこかで聞いたことのある言葉のようでしたが、日本時間未明には正式に第47代米大統領に就任しました。就任後の演説では、「今日から米国の黄金時代が始まる。私は、シンプルに『Make America Great Again』を行っていく」と述べ、参列者からは大きな拍手を受けていました。印象的だったのは、演題の左側に座り、トランプ氏に最も近い席にいた二人が拍手をすることはありませんでした。その二人は、バイデン前大統領とハリス前副大統領でした。この二人、どのような想いでこの演説を聞いていたのでしょうか。
就任前から、「就任後直ちに100の大統領令に署名する」と報じられていたこともあり、何が飛び出すのか固唾を飲んで見守っていた市場は、何か肩すかしを食らった格好でした。「トランプ氏は就任初日に中国に対する関税発動を発表せず、中国に対して新たな貿易戦争を仕掛けるのではなく、関与を深めることで2期目をスタートさせる方針に軸足を移している」(ブルームバーグ)また、カナダとメキシコへの関税引き上げに関しても触れていません。大統領就任初日に貿易戦争につながる強硬な姿勢を見せなかったことで、ドル円は156円台半ばから大きく売られ、一時は155円41銭前後までドル安が進みました。関税引き上げを発動しなかったことでインフレ懸念が後退し、ドルが売られた結果です。ユーロドルでもユーロが買われ、約2週間ぶりに1.04台を回復しています。この日は債券と株式市場は休みでしたが、通常であれば株と債券が買われ、金利は大きく低下したと思われます。
ホワイトハウスは、トランプ大統領は気候変動対策の国際的な枠組みである「パリ協定」から離脱するとの声明を発表しました。トランプ氏は、昨年の大統領選の期間中にも同協定からの離脱を公言しており、昨日の演説でも「グリーン・ニューディールを終わらせる」と宣誓していました。ロシアのプーチン大統領は20日、「次期米大統領の就任を祝福する」と述べ、「ウクライナでの戦争に関して、われわれは米国の新政府との対話に前向きだ。対話では、戦闘の継続を目的とした戦力の再編成や再軍備のための一時的な停戦ではなく、この地域に住む全ての人々や国家の正当な利益を尊重した長期的な平和を目指す必要がある」と語っていました。ロシアがウクライナへ侵攻して以来、プーチン氏の口からこのような停戦に向けた前向きな発言が出たことはなかったと記憶しています。やや驚きですが、米国の大統領がトランプ氏に替わり、プーチン氏自身「戦争には疲れながらも、振り上げた刀を自ら降ろすわけにはいかない状況」の中での米新政権は、いわば「渡りに船」ということではないでしょうか。いずれにしても、理由はどうであれ、間もなく3年目に突入するこの戦争が1日でも早く終結するのであれば、こんな「吉報」はありません。「トランプ・プーチン会談」が早く実現することを願っています。
本日のドル円は154円50銭~156円50銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
トランプ大統領が初日の関税発動を見送るとの報道で、ドル円は大きく下落。(イメージ写真提供:123RF)
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2025-01-21 10:00