【為替本日の注目点】米、パリ協定、WHOから離脱

ドル円は昨日の東京時間昼頃には155円を割り込み、154円77銭近辺まで売られたが、その後は反発。NYでは米金利が低下したことを受け、再び下落基調に。ユーロドルは朝方から買われ、1.0435まで上昇。ユーロは買われたが、前日の高値を抜けず。株式市場では3指数が大幅高。ダウは537ドル買われ、4万4000ドルの大台を回復。トランプ政権が新たなAI投資を推奨。債券も買われ、長期金利は4.57%台に低下。金は続伸し、原油は続落。
ドル/円 155.25 ~ 155.83
ユーロ/ドル 1.0354 ~ 1.0435
ユーロ/円 161.23 ~ 162.23
NYダウ +537.978 → 44,025.81
GOLD +10.50 → 2,759.20ドル
WTI -1.99 → 75.89ドル
米10年国債 -0.055 → 4.572%
【本日の注目イベント】
欧 ラガルド・ECB総裁講演(ダボス会議)
米 12月景気先行指標総合指数
米 決算発表→ P&G、ジョンソンエンドジョンソン
20日に第47代米大統領に返り咲いたトランプ氏。早速、40本を超える大統領令に署名しました。その行事も、ホワイトハウスの執務室だけではなく、先に集会を開いた首都ワシントン中心部の「キャピタル・ワン・アリーナ」へも移動して、多くの支持者が集まる中、次から次へと署名を繰り返しました。その姿はまるで、岩手県の名物「わんこそば」を食べるシーンのようでした。署名後は、そのために用意された万年筆を何本も支持者に投げるシーンもあり、まさに「トランプ劇場」そのものでした。今朝の経済紙も1面から3面まではほぼトランプ関連の記事で埋め尽くされています。「外交・経済・メキシコ・カナダ・EV・パリ協定・WHO」、さらには、「関税・デジタル・領土」といった言葉が所せましと溢れていました。「社説」や、「春秋」でもトランプ政権に触れ、トランプ記事満載です。中には、「米国第一主義は、鎮まるどころか、より傍若無人になった」との言葉も。また「米国第一が、自分第一になる恐れもはらむ」と警告する言葉もありました。トランプ氏は演説の最初に、「今日から米国の黄金時代が始まる」と誇らしげに述べていましたが、本欄も今日から「トランプ氏の言動」に翻弄される日が本格的に始まりました。
就任初日には、思ったほど強硬な関税策を発表しなかったこともあり、さらに今後政策の始動で企業業績も伸びるとの見方から、株式と債券が買われ、金利が低下したことでドル円は軟調な展開でした。為替はユーロドルが比較的大きめの動きを見せましたが、株式市場では3指数が大きく上昇。特にダウは537ドル買われ、4万4000ドルの大台を回復しました。JPモルガンは、トランプ氏の下で導入される初期の政策がもたらす影響を分析するため、新たに「対策本部」の設置を決めています。トランプ氏は就任初日に公言していた中国製品に対する60%の関税引き上げを見送り、カナダとメキシコに対する25%の関税についても、2月1日までに賦課する計画であることを発表していました。一方「パリ協定」と「WHOからの離脱には早速署名しています。「気候温暖化対策・CO2削減」は、眼中にはないということでしょう。ロシアのプーチン大統領は21日、中国の習近平主席とオンラインで会談を行い、ウクライナや対米関係、中東情勢について協議を行いました。その中でプーチン氏は習氏に対し、ウクライナでの戦争についてロシアは米国と対話する用意があるとは話しています。トランプ氏もプーチン氏との会談に前向きな発言をしており、意外に早い時期に両者の会談が実現するかもしれません。そうなるとウクライナ問題も意外に早く終結に向かう可能性もあります。ただその際、ウクライナは相当な譲歩を求められることになりそうです。
ドル円は昨日の東京で一時155円を割り込み、154円77銭辺りまで下落したこともあり、日足チャートではローソク足が「基準線」を下回って来ました。まだ「転換線」が同線を下方に抜け切る「逆転」現象は見せてはいませんが、仮にそうなると「短期的な調整」はあるかもしれません。また、「MACD」ではデッドクロスを見せてはいますが、まだ「プラス圏」で推移しており、テクニカル面から見る限り、現時点ではトレンドは変わっていないと言えます。20日の米大統領就任後のマーケットに大きな混乱もなかったことで、今週末の日銀決定会合では、追加利上げの可能性がさらに高まったと考えます。
本日のドル円は154円50銭~156円50銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は昨日の東京時間昼頃には155円を割り込み、154円77銭近辺まで売られたが、その後は反発。(イメージ写真提供:123RF)
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2025-01-22 10:15