【為替本日の注目点】『DeepSeekショック』和らぐ

 ドル円すでに東京市場で155円台後半まで反発しており、NYでは株式市場が落ち着きを見せたことで終始155円で推移。ユーロドルは1.04台で小動き。株式市場では3指数が揃って反発。ナスダック指数は、前日大きく売られたエヌビディア株が買い戻されたこともあり、391ポイント高。債券はほぼ横ばい。長期金利は4.53%台で推移。金と原油は反発。 12月耐久財受注 → -2.2% 11月ケース・シラ-住宅価格指数 → 4.33% 11月FHFA住宅価格指数 → 0.3% 1月コンファレンスボード消費者信頼感指数 → 104.1 ドル/円 155.05 ~ 155.76 ユーロ/ドル 1.0419 ~ 1.0441 ユーロ/円 161.75 ~ 162.45 NYダウ +136.77 → 44,850.35 GOLD +29.10 → 2,767.50ドル WTI +0.60 → 73.77ドル 米10年国債 -0.002 → 4.532% 【本日の注目イベント】 豪 豪第4四半期消費者物価指数 日 日銀金融政策決定会合議事録(2024年12月分) 日 日銀金融政策決定会合議事録(2014年7―12月開催分) 米 FOMC 政策金利発表 米 パウエル議長記者会見 米 決算発表→ IBM、テスラ、マイクロソフト、メタ 加 カナダ中銀政策金利発表  昨日は「DeepSeekショック」が世界の金融市場を混乱させましたが、昨日のNYでは落ち着を取り戻し、ドル円は元の定位置に戻り、NY株式市場では大きく売られた「エヌビディア株」など、ハイテク株が反発しています。米債券はほぼ横ばいで、こちらも落ち着いた動きでした。ただ、この動きがこれで終わったかどうかは不透明です。中国は今後、米国のAI技術に頼らず、国内の独時の技術で米国のAIよりも、より優れたものを開発できることを世界にアピールしたことになります。「DeepSeek」を巡る米半導体株の急落について、「ブラックスワン」の著者である、ニコラス・タブレ氏は、ブルームバーグとのインタビューで、「エヌビディア株の急落は、AI主導の株価上昇に盲目的に飛び乗った投資家がこれから直面する事態の『ほんの序章にすぎない』」と警告しています。27日の米株式市場では、「エヌビディア株」はこの日だけで時価総額を5890億ドル(約91兆円)も吹き飛ばしました。日本企業で時価総額トップのトヨタ自動車でも50兆円に届いていません。それ以上の時価総額をこの日一日だけで失ったエヌビディア。株価下落の大きさが分かるというものです。  ドル円は昨日の東京市場朝方に、米国が他国に課す一律関税について、「2.5%より大幅に高く設定したい」と、トランプ大統領が発言したことが伝えられ、貿易戦争のリスク懸念がやや払拭されたとの見方からドル円は買われ、東京時間には一度も153円台を見ないまま155円台まで上昇しました。前日の欧州市場では一時153円71銭前後まで売られ、昨日のコメントでも指摘したように、昨年9月のドル最安値を起点とする「サポートライン」を下抜けしましたが、その下にある「一目均衡表の雲」を抜け切れずに上昇。結局、この雲にサポートされた格好になりました。日足では昨日のローソク足が「長い下ヒゲ」を描くことになりました。この「下ヒゲ」は、長ければ長いほど買い圧力が強いということを表し、昨日の「下ヒゲ」もそこそこの長さでした。  1月24日の金融政策決定会合で半年ぶりの利上げを決めた日銀。筆者も含め、多くの市場関係者が次回の利上げは7月頃ではと予想していますが、一部には、「次の利上げは意外に近いかもしれない」といった観方も、くすぶっています。第一生命経済研究所の藤代宏一主席エコノミストは、「2025年も3%を超える賃上げが達成されるのであれば、そろそろ賃金上昇の質が問われ、ベア相当部分が4%に達するなどした場合、典型的な賃金インフレのスパイラルである、FRBが苦慮したような賃金インフレに直面する日は、思いのほか近いかもしれない」とレポートで説明しています。  本日はFOMC最終日で、政策金利の発表があります。依然として、据え置きが予想されますが、パウエル議長が今後の利下げのペースについてどのような発言を行うのかに注目が集まります。トランプ政権の関税政策が実施されれば、インフレが再燃するとの懸念はくすぶるものの、基本は緩やかな「緩和政策」が維持されると予想します。また、今夜はマイクロソフトやテスラなどIT企業の決算発表もあります。「DeepSeekショック」があった直後のため、この決算内容次第では株価の動きに為替が反応する可能性もあるかもしれません。  本日のドル円は154円50銭~156円50銭程度を予想します。 (執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円すでに東京市場で155円台後半まで反発しており、NYでは株式市場が落ち着きを見せたことで終始155円で推移。(イメージ写真提供:123RF)
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2025-01-29 10:00