【為替本日の注目点】トランプ関税始動

 トランプ関税がいよいよ始動したことで、米インフレが強まるとの見方からドル円は155円台前半まで上昇。ユーロドルは小幅に売られ、1.0350まで下落。株式市場では3指数が下落。貿易戦争懸念からダウは337ドル売られる。債券は小幅に下落。長期金利は4.53%台に上昇。金と原油は揃って下落。 10-12月労働コスト → 0.9% 12月個人所得 → 0.4% 12月個人支出 → 0.7% 米12月PCEデフレータ(前月比) → 0.3% 12月PCEデフレータ(前年比) → 2.6% 12月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.2% 12月PCEコアデフレータ(前年比) → 2.8% 1月シカゴ購買部協会景気指数 → 39.5 ドル/円 154.54 ~ 155.23 ユーロ/ドル 1.0350 ~ 1.0434 ユーロ/円 160.20 ~ 161.51 NYダウ -337.50 → 44,544.66 GOLD -10.20 → 2,835.00ドル WTI -0.20 → 72.53ドル 米10年国債 +0.023 → 4.539%  【本日の注目イベント】 豪 豪12月住宅建設許可件数 豪 豪12月小売売上高 日 日銀金融政策決定会合における主な意見(1月23、24日分) 中 中国1月財新製造業PMI 独 独1月製造業PMI(改定値) 欧 ユーロ圏1月消費者物価指数(速報値) 欧 ユーロ圏1月製造業PMI(改定値) 英 英1月製造業PMI(改定値) 米 1月ISM製造業景況指数 米 1月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) 米 1月自動車販売台数 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演 米 ムサレム・セントルイス連銀総裁、イベントで挨拶  いよいよトランプ関税が始動し、貿易戦争の懸念が世界に広がり始めてきました。トランプ大統領は1日、カナダとメキシコからの輸入品に25%、中国からの輸入品に10%の追加関税をそれぞれ課す大統領令に署名し、4日午前0時1分(日本時間同日午後2時1分)に、この関税率が発効することになりました。トランプ氏はかねてから同盟国と敵対国双方に対する関税賦課を公約に掲げており、今後打ち出される可能性のある一連の措置の第1弾とみられます。ブルームバーグは「世界のサプライチェーンを塗り替える貿易戦争の幕開け」と伝えています。  これに対してカナダのトルドー首相は、「われわれはこれを望んでいなかった」と述べ、その後の会見で、計1550億カナダ・ドル(約16兆5400億円)相当の米国産品に25%の関税を課す方針を明らかにしています。また、フリーランド前副首相も「米テスラ車に100%の報復関税を課す考え」を示唆していました。メキシコのシェインバウム大統領も、経済相に対米報復関税を含む対応計画の開始を指示したと「X」に投稿しました。さらに、中国商務省報道官は米国の関税に「断固反対する」と表明するとともに、自国の利益を守るため相応の対抗措置を講じて、世界貿易機関(WHO)に提訴するとの談話を発表しています。  大統領就任以来、紆余曲折はありましたが、これで選挙中から公言していた関税賦課の第1弾を実行に移しました。この後、同盟国の日本と韓国にどのような措置を講じるのか、またEUに対しても関税を課すと強く述べており、EUも含めた2カ国・1地域への対応が非常に重要となります。EUは既に、米国がEUにも追加関税を課した場合には、「断固として対応する」と述べていました。欧州委員会の報道官は、「EUとして現段階では追加関税が賦課されると認識していない」と説明し、その上で、「関税を利用することは全ての当事国・地域にとって有害だ。カナダとメキシコ、中国に対する追加関税を発動するというトランプ大統領の決定をEUは遺憾に思う」とコメントしています。欧州委員会とEU加盟各国は4日ポーランドのワルシャワで開催される「通商閣僚会議」で、協議することになっています。  日銀の植田総裁は31日(金)、衆院予算員会で答弁を行い、「基調的物価2%に向けて徐々に高まるよう金融緩和を維持する。為替変動がインフレ率にさまざまな影響を与えることに十分認識している」と述べながらも、「為替レートを特定水準に誘導する政策はしていない」と答えていました。  ドル円は155円台で推移しています。筆者は先月24日に「2025年相場展望」のセミナーを行い、その中で、メイン・シナリオとして、トランプ大統領が公約通り高関税を実施すれば、米国の輸入物価を押し上げ、インフレの再燃につながる公算が高いことから、FRBが今後利下げ出来ない可能性も出て来る。そのため米金利が高水準で推移し、ドル高の可能性が高いとの説明を行いました。ただ、一方で株価が下落する可能性もあることから「リスク回避の円買い」の側面もあり、この点には注意が必要とのコメントを行いました。トランプ氏により、「賽は投げられた」ことになります。いよいよ相場も大きく動き出すことになりそうです。  本日のドル円は154円50銭~156円50銭程度を予想します。 (執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
トランプ関税がいよいよ始動したことで、米インフレが強まるとの見方からドル円は155円台前半まで上昇。(イメージ写真提供:123RF)
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2025-02-03 10:30