【為替本日の注目点】トランプ大統領、「相互関税」に署名

 ドル円は再び152円台後半まで下落。1月のPPIは高水準だったものの、1月のPCE価格指数が上振れする可能性がないとの見方や、米金利が低下したことで152円70銭まで売られる。ドルが売られたことで、ユーロドルは1.04台半ばまで買い戻される。株式市場では3指数が揃って大幅高。トランプ大統領が相互関税を即時発動しないことが確認されたことで、ダウは342ドル高。相互関税を即時発動しないことで債券も買われる。長期金利は4.52%台に低下。金は反発し、原油は続落。 1月生産者物価指数 → 0.5% 新規失業保険申請件数 → 21.3万件 ドル/円 152.70 ~ 154.04 ユーロ/ドル 1.0374 ~ 1.0468 ユーロ/円 158.97 ~ 160.35 NYダウ +342.87 → 44,711.43 GOLD +16.70 → 2,945.40ドル WTI -0.08 → 71.29ドル 米10年国債 -0.088 → 4.529% 【本日の注目イベント】 欧 ユーロ圏10-12月期GDP(確定値) 米 1月輸入物価指数 米 1月輸出物価指数 米 1月小売売上高 米 1月鉱工業生産 米 1月設備稼働率 米 ローガン・ダラス連銀総裁、質疑応答に参加  前日のNYでは154円80銭まで買われたドル円でしたが、昨日の東京時間では上値は重く、その後のNYでも米金利が大きく低下したことで、152円70銭近辺までドルが売られ、結局「往って来い」の相場展開でした。ドル円は1月10日の高値から8円ほどドル安が進み、150円台後半まで下落しました。そこから今度は4円ほど戻しましたが、厳密に言えば「半値戻し」は154円91銭と計算され、昨日の東京時間でも「半値戻し」は達成できていませんでした。また同時に、158円87銭を頂点として描けるレジスタンスラインにも抑えられた形です。  債券が買われ金利が大きく低下。金利低下を好感して米株が買われましたが、これも「関税」がキーワードでした。トランプ大統領は13日、相互関税に関する措置に署名しましたが、即時発動には至らなかったことで、直ぐにインフレにつながることはないとの見方から債券と株が買われ、ドルが売られました。相互関税は、貿易関係の再均衡化を図るため、国ごとに新たな課税を提案するよう、USTR(米通商代表部)と商務長官に指示するものです。ブルームバーグによると、手続は広範囲にわたるため、完了には数カ月を要する可能性があり、そのため発動の明確な日程は決まっていないとのことです。「相互関税は各国ベースでカスタマイズされる。米国製品への関税だけではなく、不公平な補助金や規制、付加価値税、為替レートなど、非関税障壁にも対処する狙いがある」とのことです。トランプ氏は、「公平を期すため、相互関税を課すことを決定した。大半のケースにおいて、相手国はれわれよりもはるかに高い関税を課しているが、そのような時代は終わる」と大統領執務室で述べ、「今回の関税パッケージは、例外なくあまねく適用される」と説明しています。同盟国日本も例外ではなく、調査対象国になるようです。  ロシアとウクライナの停戦観測が急激に高まってきました。トランプ氏はロシアのプーチン大統領と1時間半にわたって電話会談を行い、停戦に向けた協議を行うことで合意しました。近いうちに双方がサウジアラビアで直接会談も行うようです。トランプ氏はプーチン氏との電話会談の内容をウクライナのゼレンスキー大統領にも伝え、同氏からは前向きな回答を得ているようですが、実際に停戦が実現するのにはまだハードルが高いと言えそうです。ウクライナは領土の一部を割譲しなければならない可能性が高く、ウクライナとすればその条件を飲めるのかどうか。さらにロシアからは「二度とウクライナへの侵攻はしない」という確約も欲しいところでしょう。ゼンレンスキー氏は、トランプ氏との電話会談で、「プーチン氏は信用できない」と述べていました。トランプ氏は「プーチン氏もゼレンスキー氏もお互いに、これ以上の流血は望んでいない」と話し、停戦実現の可能性に触れていましたが、これは当たり前のことで、ロシア側に有利な条件で話が進む可能性が高いのではないでしょうか。いずれにしても、3年にわたり双方が大きな犠牲を払った戦争が終わるのは大歓迎ですが、翻って、ではなぜバイデン氏にはできなかったのでしょうか。両氏とも軍事専門家など、多くの優秀なブレーンを抱えていたはずです。バイデン氏も在任中は、ロシアを厳しく非難し、ウクライナへは制限はあったものの、多くの武器を供与してきました。それでも、両国の戦争を止めることは出来ませんでした。結局、トランプ氏とバイデン氏の「行動力の差」ということになるのかもしれません。「トランプ流ディール」には賛同できませんが、もしこれで本当に戦争が終結するのであれば、これ以上尊い命が失われずに済むという意味では、敬意を表したいと思います。  本日のドル円は152円~154円程度を予想します。 (執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は再び152円台後半まで下落。(イメージ写真提供:123RF)
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2025-02-14 10:15