新NISA2年目の商品戦略、市場の変化も捉えて多様な商品ラインナップを維持・拡大へ=フィデリティ投信

フィデリティ投信は3月25日、メディア向けに「新NISA2年目フィデリティの商品戦略」と題した説明会を開催した。フィデリティ・インスティテュート首席研究員 マクロストラテジストの重見吉徳氏(写真:左)がマクロの注目ポイントを解説した後、フィデリティ投信の商品開発部長の松本学氏(写真:中央)とマネージャーの関原慧太氏(写真:右)が2024年の投信市場をデータで振り返り、2025年の商品戦略について語った。重見氏は、当面の注目ポイントとして「米国株価が割高だったこと、また、『S&P500』の値動きのほとんどを大型テクノロジー株式7社(マグニフィセント・セブン)の値動きで説明できるほどに物色の集中化が起きていたことをよく考えてみる局面にある。これまで、物色の外にあった債券なども含めて分散を考えたい。短期の成果を求める投資家にとっては利益確定を考えて良いのかもしれないし、中長期の投資家はこれからも継続して積み立て投資をやっていこうと確認する時とも言える」とし、市場が重要な転換点を迎えているという見方を紹介した。
関原氏は、新NISAの1年目をデータを使って振り返って「9カ月連続で資金流入額が1兆円を超え、10月以降に流入額が細ったとはいえ年間で15.7兆円が流入するという歴史的な1年だった」とした。この15.7兆円という資金流入額の規模は、2023年の年間流入額の2.3倍。ここに新NISAの導入効果が表れていると語っていた。資金流入額をブレイクダウンしていくと、流入額の77%が「外国株式型」であった。また、資金流入額では「パッシブ(インデックスファンド)」と「アクティブ」は半々程度でアクティブファンドにもインデックスファンドに負けない資金流入があったものの、解約されるのはアクティブファンドの方が多かったため、購入(設定)と売却(解約)の差し引きで「パッシブ」への資金流入が大きくなった。
また、資金流入額の8割強が「NISA対象」のファンドであったことも特徴の1つとして注目し、「今後も投資家が購入するファンドはNISA対象が中心になっていくだろう」と見通した。ただ、16%程度は「NISA対象外」の毎月決算型、あるいは、ブルベア型などレバレッジを使ったファンドだった。「NISA対象外のファンドにも一定のニーズがある」という点も忘れてはならないと語っていた。また、「バランス型」も一定程度は安定的なニーズがあることもデータが示していた。
松本氏は、主だった外資系の運用会社が人気の高い外国株式型のファンド中心のラインナップの提供になりがちな中で、「債券型、バランス型、国内株式型など幅のあるラインナップを意識的に提供しているところに特徴がある」とした。そして、「NISAの活用を通じて資産運用がより身近なものになっていけば、ライフプランニングや、それぞれの家計のゴールに合った商品を選択するようになり、商品の分散は進んでいくことになる」と見通した。この将来を展望してさまざまな運用の目的に適った商品をラインナップとして提供していくことを考えていると語っていた。そして、2025年の商品戦略としては、NISAによって拡大しているリテール市場向けにパフォーマンスの良い多様なラインナップを維持・拡大することを基本路線とし、プライベート・アセットに投資する公募ファンドの開発、また、運用エンジンを他の運用会社に提供する取り組みやネットチャネルなど販売チャネルの拡大に取り組んでいくとしていた。
フィデリティ投信は3月25日、メディア向けに「新NISA2年目フィデリティの商品戦略」と題した説明会を開催した。
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2025-03-25 23:15