「オルカン」がトップに返り咲き、根強い「FANG+」人気にみる米国株式への期待 =ネット証券の投信積立契約件数ランキング25年3月

大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次)2025年3月はトップに「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が返り咲いた。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は同ポイントのトップだったが、前月は3証券すべてでトップだったが、今回は1証券のみになった。第3位は「iFreeNEXT FANG+インデックス」で変わらず。「iFreeNEXT インド株インデックス」が前月の第4位から第6位にランクダウンした。第4位にはトップ10圏外から「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」がジャンプアップしてランクインした。一方で前月は第8位だった「日経225ノーロードオープン」はトップ10から落ちた。
ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。
◆根強い「FANG+」人気の背景は?
3月は米国株が続落した。「S&P500」は前月のマイナス1.42%に続いてマイナス5.75%と続落。「NASDAQ総合」はマイナス8.21%となり、2024年12月末比ではマイナス10.42%と2ケタの下落率になった。「NASDAQ総合」はテクニカル的には「調整局面」に入ったことになる。ここから高値奪回には、それなりに日時を要することになりそうだ。しかし、「iFreeNEXT FANG+インデックス」は第3位をしっかりキープしている。積立投資の場合は、数カ月間の調整局面は、むしろ、安い価格で投資口数を多く購入できるチャンスと捉えられる。過去に調整局面を経験しても何度も高値を奪還し、結果的に史上最高値を更新し続けてきた米国株式市場への根強い信頼感が背景にあるのだろう。
一方、国内の株価指数は、「TOPIX」がマイナス0.87%だったところ、「日経225」はマイナス4.14%で、昨年末からの下落率は10.72%と2ケタのマイナスに落ち込んだ。この下落率の大きさが嫌われたのか、「日経225ノーロードオープン」がトップ10を転げ落ち、代わって「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」が大きく見直された。積立投資であれば、米国と同じように多少の下落局面があっても人気は衰えないはずだが、米国株式に対して、国内株式はバブル期の高値奪還まで34年間を要したという点が、より慎重に考えさせているのかもしれない。
4月2日に発表された米国の「相互関税」によって「日経225」は8カ月ぶりに3万5000円の大台を割れる急落となった。トランプ政権との各国の折り合いがうまくつかなければ、当面は不安定な株式市場が続きそうな気配だ。投資家は、この下落をリスクとして避けるのか、チャンスと見るのか。今後の物色の方向の変化も含めて市場の変化に注目したい。
◆インド株の復調はいつ?
インド株ファンドの人気も低落している。2024年9月に史上最高値を更新した頃には、トップ10に2本のファンドが入り、新興国市場の中で高成長アセットクラスとしてインド株式の存在感が際立った。そして、2025年1月は第4位に「iTrustインド株式」と「iFreeNEXT インド株インデックス」が並んで入り、新年から新たな気持ちでインド株の積立投資をスタートした投資家が少なからずいたことを感じさせた。しかし、3月のトップ10には「iFreeNEXT インド株インデックス」が1本残るだけとなり、順位も第6位に後退してしまった。
このインド株人気の低下は、インド株式市場の低迷が少し長引いていることが理由だろう。2024年9月に史上最高値に買い上げられた折には、インド株の割高感が懸念されていた。そこにインド企業の成長率が鈍化するということが重なって一気に調整ムードが強まった。さらに、外国人投資家の利食い売りが出て、インド株式の上値が重いものになってしまった。
ただ、インドの中間層の拡大を背景とした経済成長の道筋は確かなものだ。そして、インド経済を減速させていた金融引き締め策も転換したようだ。インド中銀は2月7日に政策金利を6.50%から6.25%に引き下げた。2020年5月以来、約5年ぶりの利下げになった。足元のインフレ率の落ち着きを評価しての動きとみられるが、インド中銀は今後1年程度はインフレ率が中銀が目標とする4%近辺で推移すると見通ししている。このようなインフレ率が落ち着いたものであれば、政策金利の一段の利下げも期待され、それはインド株式市場の追い風になると考えられる。インフレの落ち着きが確認され、企業業績が復調していることが確認できればインド株式市場に力強さが戻ってくるものと期待される。
大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次)2025年3月はトップに「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が返り咲いた。
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2025-04-03 10:45