「S&P500」史上最高値でインデックスファンドに変化、高配当株式にも注目を =ネット証券の投信積立契約件数ランキング25年6月

大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次)2025年6月のトップ10は前月と同じだった。トップに「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)、第2位は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、第3位に「iFreeNEXT FANG+インデックス」で、以下は「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」、「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」が続いた。一方、ランキングを20位まで広げてみると、新たに「SBIネクスト・フロンティア高配当株式ファンド(年4回決算型)」が第11位に、「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」が第16位にランクインした。新たな人気ファンドに育っていくのか注目される。
ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。
◆「S&P500」史上最高値でのインデックスファンドの変化
6月は米国株が4月の乱高下から回復して、6月末には主要インデックスである「S&P500」が史上最高値を更新した。「S&P500」は4月のマイナス0.76%から、5月は6.15%高、6月は4.96%高と続伸し2カ月で11%超上昇した。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は4月末の基準価額2万8788円が5月末は3万919円に上昇し、6月末には3万2527円までになった。ただ、「S&P500」は米ドルベースで指数として6月27日には史上最高値を更新したが、直前の史上最高値を付けた2025年2月時点ではドル円が1ドル151円台だったものが、6月には143円台へと円高・ドル安が進んだ関係で「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の基準価額は2025年1月24日の最高値3万4638円には届いていない。
一方、ランキングでトップを走る「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、4月末の基準価額2万4519円が、5月末は2万6263円、6月末は2万7500円と着実に水準を切り上げた。2025年1月の最高価額である2万8060円まであと一歩の水準にまで迫っている。米国株式が上昇していることと同様に、欧州や日本の株式市場も上昇し、新興国の株価も堅調だ。全世界の株式に分散投資しているため、米国株式が大きく下落した4月の下落が抑えられた分、その後の戻りでも「S&P500」を上回る動きになっている。
また、第3位の「iFreeNEXT FANG+インデックス」は4月の急落時は「S&P500」を上回る下落率になったものの、その後の戻りも急だった。基準価額は4月末に5万9804円だったものが、5月末には6万7238円、6月末には7万3145円まで上昇した。このファンドも1月の最高値7万3703円に迫っている。
ランキング上位に順位の変動はなかったが、個々のファンドの獲得ポイントをみると、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は前月の28ポイントが29ポイント、「iFreeNEXT FANG+インデックス」は18ポイントから20ポイントにポイントを増やしているが、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は27ポイントから25ポイントへと評価を落としている。6月の動きでは、海外株式ファンドの主流は「オルカン」で、米国株式に投資する場合は「FANG+インデックス」という動きになったが、この傾向が強まるのかどうか注目したい。
◆高配当株式の動きにも注目
新たにトップ20にランクインした「SBIネクスト・フロンティア高配当株式ファンド(年4回決算型)」は、アジア、南米・東欧・中東・アフリカなど今後の高成長が期待される地域に加え、資源リッチなオセアニア諸国など、いわゆる「グローバル・サウス」を中心としたフロンティア地域の高配当銘柄に投資するファンドで6月24日に新規設定された。モデルポートフォリオの配当利回りが8.7%(税引き前)と高いこと、また、ファンドの運用コストである信託報酬率が年0.099%程度(税込み)と低コストであることから注目された。
高配当株に投資して安定的な分配金をめざすファンドは、「米国株式」や「欧州株式」、また、「日本株式」などでも一定の人気を集めてきた。トップ20の中にも、第14位の「楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」、第18位の「日経平均高利回り株ファンド」、「SBI欧州高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)」などがある。
これら高配当株式への投資ファンドは、市場の先行きが不透明な時に人気化する傾向がある。米国「S&P500」が史上最高値を更新し、再び株価の上昇に目が向き始めた6月のような環境では人気を持続することが難しいカテゴリーだ。ただ、依然として株式市場の不透明感が払しょくされたとはいえない。高配当株ファンドの人気は「炭鉱のカナリア」のように、投資家の将来の見通しを捉えられる指標の1つとして注目していきたい。
大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次)2025年6月のトップ10は前月と同じだった。
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2025-07-03 11:30