【為替本日の注目点】ゴールド、3400ドル台を回復

 ドル円は朝方の水準を高値に下落。20日の参院選では想定された程自公が議席を失わなかったとの思惑から円が買われ、NYでは147円08銭まで下落。ユーロドルは上値を重くしながら、1.1658まで売られる。株式市場ではダウは小幅に売られたが、他の2指数は買われ、最高値を更新。債券は買われ、長期金利は4.37%台に低下。金は大幅に続伸し、およそ1ヵ月ぶりに3400ドル台を回復。原油は続落。 6月景気先行指標総合指数 → -0.3% ドル/円 147.08 ~ 147.71 ユーロ/ドル 1.1658 ~ 1.1717 ユーロ/円  171.91 ~ 172.55 NYダウ ―19.12 → 44,323.07 GOLD +48.10 → 3,406.40ドル WTI ―0.14 → 67.20 米10年国債 ―0.038 → 4.378% 【本日の注目イベント】 豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表 米 7月リッチモンド連銀製造業景況指数 米 パウエル・FRB議長、会議冒頭挨拶 米 決算発表→ コカ・コーラ、GM  事実上の「政権選択選挙」となった今回の参議院選挙。事前の予想通り、自公は参議院で過半数を維持するために必要な「50議席」を確保できず、衆議院に続き自公で過半数割れとなりました。自民党が連立を含め、衆参両院で過半数割れになるのは、1955年の結党以来のことだそうです。この結果を受け市場では「円売り」が加速するのではと予想していましたが、ドル円は148円台から徐々に円高方向に振れ、NYでは147円08銭までドルが売られました。想定されていたほど、自公が議席を失わなかったとの見方のようです。敗北を受けながらも石破首相は続投を表明していましたが、これで衆参ともに法案は政権が期待する通り成立しにくくなるのは事実です。さらに、野党全てが「減税」、とりわけ消費税の廃止や、一時停止、10%から5%へと減額することを公約として掲げていました。物価高に対応するための「減税」議論が避けて通れず、日本国債の売り圧力が増すと予想されます。  赤沢経済再生相は関税協議のため8回目の訪米を行い、ワシントンに到着しました。8月1日に期限が来る関税発動まで、残り時間は少なく、それまでに何とか「国益を守りつつ、日米双方の利益になるような合意を探りたい」との考えのようですが、合意は簡単ではないようです。石破首相は選挙演説で、「なめられてたまるか」と、慎重に言葉を選ぶ同氏としては、珍しく攻撃的な言葉を使い話題になりましたが、安易に妥協したくはないという決意の現れかと思います。それだけに、日米双方、特にトランプ大統領を納得させる提案をするのは簡単ではないと思われます。同盟国であり、日本にとって最も信頼のおける国である米国ですが、それは日本側が考えるイメージであって、米ユーラシア・グループは「米国は、交渉段階では日本を優先していたが今はそうでない。トランプ氏は日本を数十カ国の一つに過ぎないと見ている」と分析しています。ただ、大阪・関西万博のナショナルデーのため来日していたベッセント財務長官は会見では、「日米双方が納得いく方向で合意できる可能性が高い」と述べていました。単なる外交辞令である可能性もありますが、この部分にわずかな期待をしたいと思います。もっとも、喫緊の課題でもある「関税協議」では、これまで成果は全く上がっていません。日米交渉の進展が見通せない状況の中、今後も赤沢氏に交渉役を任せるのか、体制の見直しも焦点になります。政権の弱体化がより進むなか、その不安定さは米国にとってもリスクであると考えられます。  米共和党のルナ下院議員は、FRBのパウエル議長が議会公聴会で宣誓のうえで虚偽証言を行ったとして、司法省に刑事捜査と訴追の検討を要請しました。同議員によると、「パウエル議長が6月25日に上院銀行委員会で、進行中のFRB本部改修工事の詳細について2度にわたり虚偽の証言を行った」としています。ブルームバーグは、FRBと司法省に照会したが、いずれからも返答はなかったと報じています。パウエル議長については、トランプ氏から再三にわたり辞任を求められていますが、共和党議員からの刑事訴追は、あらたなプレッシャーにもなりそうです。パウエル議長の辞任に関する話題は、今日の「今週のレンジ予想」でも触れます。  ドル円はチャートを見る限り、145-150円のレンジに入ったように見えます。まだ日米関税協議を控えており予断を許さない状況ですが、「MACD」などでも上昇の余地があることを示唆しています。「日米双方が円高で合意」といったサプライズがない限り、夏場以降には上昇の可能性はあると、現時点では予想しています。  本日のドル円は146円70銭~148円70銭程度を予想します。 (執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は朝方の水準を高値に下落。(イメージ写真提供:123RF)
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2025-07-22 10:30