【為替本日の注目点】チャレンジャー指標下振れ

 ドル円は経済指標に反応し米金利が低下したことで、152円84銭まで下落。株価の大幅な下げもドル売りを後押し。ドルが売られたことで、ユーロドルは反発。1.1552まで上昇。労働市場の減速懸念や高値警戒感などから、株式市場では3指数が揃って大幅下落。ナスダックは445ポイント下落と大幅安。債券は買われ、長期金利は4.08%台へと低下。金と原油は小幅安。 新規失業保険申請件数 →Delayed by Government Shutdown 7-9月労働コスト  →Delayed by Government Shutdown ドル/円 152.84 ~ 153.63 ユーロ/ドル 1.1519 ~ 1.1552 ユーロ/円 176.28 ~ 177.18 NYダウ -398.70 → 46,912.30ドル GOLD -1.90 → 3,991.00ドル WTI -0.17 → 59.43ドル 米10年国債 -0.076 → 4.083% 【本日の注目イベント】 中 10月外貨準備高 中 10月貿易収支 独 9月貿易収支 独 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演(フランクフルト) 米 10月雇用統計 米 11月ミシガン大学消費者マインド(速報値) 米 9月消費者信用残高 米 10月NY連銀インフレ期待 米 ミラン・FRB理事講演  米民間再就職支援会社「チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス」が発表した米企業による10月の人員削減は、同月として過去20年余りで最多でした。AIの浸透による産業構造の変化と、コスト削減の加速が背景にあるとの指摘でした。チャレンジャーによると、米企業が10月に発表した人員削減数は15万3074人で、前年同月のほぼ3倍に達していました。中心はテクノロジー企業と倉庫業でした。チャレンジャーは報告書の中で、「一部の業界では(新型コロナウイルスの)パンデミック期の採用ブームの反動が起きているが、主因はAI導入の進展、個人消費や企業支出の減速、コスト上昇だ。これらが経費削減や採用凍結につながっている」と解説していました。また、「今解雇された労働者は新たな職をすぐに見つけるのが難しくなっており、労働市場の緩みをさらに助長する可能性がある」と付け加えています。金融市場はこの結果を、労働市場の鈍化傾向を示すものだと受け止め、リスク資産の株が売られ、債券が買われました。153円台半ばから後半で推移していたドル円も、米金利の低下に反応して152円84銭まで売られ、1週間ぶりのドル安水準を付けました。ドル円は底堅いものの、上値は連日のように154円台半ばでキャップされており、154円台での滞空時間も長くはありません。  日本維新の会の藤田共同代表は5日、政府が投資促進を含む経済対策を進めようとしている時に、日銀が利上げを急げば経済成長を妨げかねないと述べ、実体経済への影響を見極めながら適切な時期に行うよう、ブルームバーグとのインタビューで述べました。藤田氏は、今国会での補正予算成立を目指す中、日銀が「すぐに利上げをすれば、アクセルとブレーキを両方一緒に踏む話になってしまう」とし、「少し抑制的にタイミングを考えるべきだ」と語っていました。ただ、「現状はあまりにインパクトのある金融政策をやるべきではない」とも指摘する一方、適切な時期の利上げは「十分に検討の余地がある」としています。金融政策の正常化に向けた日銀の対応については、「マーケットが荒れないよう段階的でモデレート(適度)に行う姿勢に共感できる」と話していました。維新の会から日銀の利上げに関する発言が出るのは、これが初めてで、高市首相に成り代わって「代弁」しているような印象でした。  首相の口からよく聞かれる言葉に、「責任ある積極財政」という文言があります。公約通り、財政出動を基本に企業収益の拡大、さらには賃金の引き上げにつながる政策を推し進めていく決意のようです。その政策推進のため、「経済財政諮問会議」の民間議員に若田部・前日銀副総裁や第一生命経済研究所の永浜氏。さらにディー・エヌ・エーの南場氏を就任させました。3名はいずれも「リフレ派」として名を馳せている人物です。中でも若田部氏は、日銀副総裁として5年間アベノミクスの推進に積極的な役割を演じたことで有名で、高市政権が掲げる成長投資を後押しすると見られます。日銀が12月会合でも利上げを見送らざるを得ない可能性が高まりつつあります。  クリーブランド連銀のハマック総裁は6日、NYのエコノミック・クラブでのイベントで、「高いインフレを引き続き懸念しており、政策はこれに対抗する方向で運営されるべきだ」と述べ、これまでの自身の考えを改めて述べていました。同総裁はインフレ率がFRBの目標である2%に達するのは、2026年から1-2年後になるとの見通しを示しており、これは、FOMCメンバー19人の予想中央値とほぼ一致しています。「このことはFRBが10年間の大半にわたってインフレ目標を達成できないこと、および高水準のインフレが経済に定着するリスクがあることを意味する」と、ハマック氏は指摘していました。その上で、「われわれの責務は目標未達であり、その規模と長さ、リスクを比較すると、私にとってはインフレの方がより差し迫った懸念事項だ」とし、「インフレを適切なタイミングで2%に戻すには、政策金利に関してやや景気抑制的なスタンスを維持することが必要だ」と主張しています。また、シカゴ連銀のグールズビー総裁もCNBCで、「インフレ面で問題が生じていても、それを確認できるまでにはかなり時間がかかるだろう」と発言。「だからこそ、私は一層の不安を感じている」と、政府機関の閉鎖が続き、インフレデータに乏しいことから、利下げを継続することには一層慎重にならざるを得ないとの考えを示していました。  米政府機関閉鎖は37日目を迎え、影響は拡大しています。上院議員らは週末もワシントンに残り、合意を目指して協議を続けると表明していますが、依然として合意に至る可能性は低そうです。今夜は一大イベントである「10月雇用統計」の発表予定ですが、延期されそうです。  本日のドル円は152円~154円程度を予想します。 (編集担当:亜州リサーチ=サーチナ) (写真:123RF)
ドル円は経済指標に反応し米金利が低下したことで、152円84銭まで下落。(イメージ写真提供:123RF)
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2025-11-07 10:45