新たな「チャイナリスク」か・・・資金調達手段が「影の銀行」から「委託貸付」に、すでに焦げ付きも=中国報道

 ウォール・ストリート・ジャーナル中国語版は2日、中国政府が「影の銀行(シャドーバンキング)」の対策として流動性の引き締め政策を実施するなか、一部企業が「委託貸付」という方法で資金調達を行っているとし、「委託貸付が新たなリスクとして浮上してきている」と伝えた。  委託貸付とは、企業が銀行を介在させたうえで別の企業に資金を貸し付ける制度だ。環球外匯の報道によれば、2013年の委託貸付の規模は前年比で約2倍の約2兆5500億元(約41兆6670億円)に達するなど急速に膨張している。  ウォール・ストリート・ジャーナル中国語版によれば、委託貸付を利用した企業間貸付の多くは「中国政府が貸し付けを減らすよう要求している不動産建設やインフラ建設などの事業に流れ込んでいる」という。  委託貸付によって資金が不動産建設などに流れこむ一方で、中国ではすでに不動産市場に冷え込みの兆しが見え始めている。環球外匯は、不動産価格が大幅に上昇していた数年前なら状況は違っていたかも知れないと前置きしつつ、企業の融資や投資をめぐる外部環境が改善されていないなかで委託貸付が債務不履行となることは何ら不思議なことではないとし、「わが国では14年以降、委託貸付の債務不履行が頻発する可能性がある」と警鐘を鳴らしている。  事実、すでに委託貸付による融資が回収不能に陥るケースも出始めており、証券時報によると、造船会社の舜天船舶が不動産開発会社に貸付委託として融資した9000万元(約14億7000万円)の元本と1543万元(約2億5200万円)の利息が債務不履行になっている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)
ウォール・ストリート・ジャーナル中国語版は2日、中国政府が「影の銀行(シャドーバンキング)」の対策として流動性の引き締め政策を実施するなか、一部企業が「委託貸付」という方法で資金調達を行っているとし、「委託貸付が新たなリスクとして浮上してきている」と伝えた。(イメージ写真提供:123RF)
china,economic
2014-05-06 11:15