東京五輪、経済発展の「原動力」も・・・国民は「莫大な支出」を理解するか=香港メディア

香港メディアの文匯報は8日、2020年に開催される東京五輪は日本経済の発展に向けて一定の原動力になると報じる一方、開催に向けた莫大な支出について日本国民からの理解を得ることは容易ではないと論じる記事を掲載した。
記事は1964年に行われた東京五輪について、「当時は経済成長こそすべての日本人に共通する目標だった」と論じた。新幹線建設のための莫大な支出や環境破壊といったマイナス面もあったものの、日本人にとって五輪開催は「日本の経済発展に大きな功績を残した」と記憶され、「当時の日本人は所得が増加し、テレビや自動車を手にしたことを喜んだ」と論じた。
1964年以来56年ぶりに再び東京で五輪が開催されることについて、記事は「経済成長の加速は五輪の経済効果を測る唯一の尺度ではなくなった」と指摘、時代が変わると同時に五輪に求められる役割も大きく変化したとの見解を示した。
さらに早稲田大学教授の言葉を引用し、「五輪は旅行業界やメディア業界を活気づかせ、さらに消費の刺激においてもプラスの影響が見込めるものの、経済効果と持続可能な発展との間でバランスを取ることこそ五輪開催国が考慮すべき問題だ」と伝えた。
近年の五輪では開催にともなう巨額の支出に注目が集まることが多い。東京五輪の招致委員会は20年東京五輪の開催費を総額7340億円と見積もっていたが、記事は「招致委員会の試算はあまりに保守的」と指摘。
さらに五輪のメインスタジアムとなる国立競技場の建て替え費用が当初の1300億円から最大3000億円に膨らむ可能性があることを挙げ、1964年の東京五輪開催時とは異なり、現在は税金を投入することに納税者から疑問の声が寄せられやすい状況にあると論じた。
一方、「さまざまな社会問題が解決されていない以上、国民から五輪開催について疑問の声があがることは想像に難くないが、五輪がもたらす経済効果を考えれば開催に向けた財政支出はそれだけの価値がある」という、東京大学准教授の見解を引用して伝えた。
さらに、日本政府が持続可能な発展に向けて誠意ある対応を見せ、五輪がもたらす商機を収益につなげることができるのであれば、莫大な支出に対する世論の圧力はある程度緩和されるのではないかとの見解を示した。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)Vichaya Kiatying-Angsulee/123RF.COM)
香港メディアの文匯報は8日、2020年に開催される東京五輪は日本経済の発展に向けて一定の原動力になると報じる一方、開催に向けた莫大な支出について日本国民からの理解を得ることは容易ではないと論じる記事を掲載した。(イメージ写真提供:(C)Vichaya Kiatying-Angsulee/123RF.COM)
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2014-05-11 05:45