シャープ、13年度決算が黒字転換で「再成長ステージ」へシフト

 シャープ <6753> は2014年5月12日、2013年度(2014年3月期)決算を発表し、連結業績概要と「中期経営計画の進捗状況」について説明会を開催した。決算の連結業績は、売上高2兆9271億円(前年比18.1%増)、営業利益1085億円(黒字転換)、当期純利益115億円(黒字転換)という内容だった。説明会の席上で同社取締役社長の高橋興三氏は、「13年5月に発表した中期経営計画で示した13年度当期純利益黒字化の目標は達成され、14年度からは収益体質のさらなる強化をめざす“再成長ステージ”と位置づけ、収益力の一層の強化に取り組みたい」と語った。  13年度決算では、部門別売上高で太陽電池(前年比68.9%増)、液晶(同17%増)、電子デバイス(同20.6%増)部門が大幅に伸長。部門別の営業利益では、前年度1389億円の赤字だった液晶部門が415億円の利益を計上(前年比1805億円の改善)、デジタル情報家電が98億円の赤字から128億円(同226億円の改善)、太陽電池が44億円の赤字から324億円(同368億円の改善)など、大幅な改善を実現した。  一方、自己資本比率は、退職給付債務をオンバランス化した影響が1093億円あったものの、13年3月末の6.0%から、14年3月末には8.9%に改善した。有利子負債は14年3月末で1兆935億円と13年3月末比809億円減少した。また、たな卸資産は14年3月末に2951億円にまで圧縮し、月商比で1.21カ月(13年3月末は1.50カ月)にまで低下した。  2014年度の連結業績予想は、売上高3兆円(前年比2.5%増)、営業利益1000億円(同7.9%減)、当期純利益300億円(同2.6倍)としている。円安進行に伴って為替前提条件を見直し、外部環境の変化もあったため、13年5月の中期経営計画から売上高を1800億円増額し、営業利益、当期純利益はそれぞれ100億円減額している。  社長の高橋氏は、13年度決算を振り返って、「1年前に15年度までの中期経営計画を発表してから、1年間で環境の大きな変化があり、計画にいろんなブレがあった」とした。たとえば、太陽電池部門は、13年度に大幅に上振れしたものの、14年度予想では一転して減収減益を見通している。中期経営計画の進捗状況も踏まえ、高橋氏は「大事なことは、外部要因の変化に、いかに迅速・的確に対応することことができるか。組織として情報を共有化し、社員の一人ひとりが環境変化を感じて、行動を改めることができるようになることが肝心。13年度の決算数字は、目標をクリアできているが、企業体質の変革といった点では道のりは遠いという感じを持っている」と語っていた。  ただ、徹底したコスト構造改革によって損益分岐点を引き下げ、たな卸資産は在庫水準の適正化を実現、有利子負債の圧縮を計画通りに進め、13年度には営業キャッシュフローも3年ぶりの黒字にするなど、企業としての体質強化が進展。14年9月に迎える1000億円の社債償還に向けた資金繰りにしても現預金をベースにした自己資金で対応可能な状態になり、社債市場への復帰に向けて着実に前進している。  このため、14年4月に「構造改革実行本部」を解散したが、「収益力強化に向けた構造改革は、永遠に終わらない。本部を解消したのは、構造改革が普通の業務の一環に位置付けて取り組んでいくという宣言に等しい」という。その上で、「新規事業の芽が育ち始めた」と、中期経営計画後(2016年度以降)を見据えた取り組みも始まっているとした。(取材・編集担当:徳永浩)
シャープは2014年5月12日、2013年度(2014年3月期)決算を発表し、連結業績概要と「中期経営計画の進捗状況」について説明会を開催した。
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2014-05-12 19:00