チップを受け取らない中国人ホテルマン――中国にたくさんいる「いいヤツ」たち

日本経営管理教育協会が見る中国 第306回--廣井正義(日本経営管理教育協会会員)
● タクシーに忘れ物!
私がまだ出張で中国に行っていた頃のことである。うろ覚えだが、たぶん2005年頃だったと思う。その時は日本から5~6人で出張に来ていたが、殆どの人は中国が初めてだった。上海浦東空港について、そこからホテルまでタクシーで分乗して行ったのだが、そのうち1台に積んでいた大事なサンプルを降し忘れたのだ。これは困った。ホテルのスタッフに相談すると、“タクシーの領収書を出せ“という。中国では普通、タクシーはメーターで走り、自動的にレシートが出るのだ。何とかしてみるとのこと。もうお願いするしかないのだ。
● ホテルの部屋で待機
ホテルマン曰く、「運転手がつかまったら部屋へ連絡するので、部屋で待っていてほしい」とのこと。その言葉を信じて部屋で待機。その間、初めて中国出張に来た人たちは、「近くを散策に行きませんか」とのんきなことを言っている。「なにいってんだ、あんたらが荷物を降ろし忘れるからこんなことになっているんじゃないか!」と思いつつ、私は部屋で待機していた。
およそ30分後くらいだっただろうか、部屋の電話が鳴った。先ほどのホテルマンだ。彼が言うには運転手がつかまったらしい。今からこちらに向かってくるので、ホテルについたらまた連絡するという。また、今運転手がいるところからホテルまでのタクシー代を払ってほしいとも言っていた。
● 再び電話が・・・
しばらくしてまた電話が鳴った。運転手がホテルに着いたらしい。「わかった。すぐフロントまで行くよ」と言うと、「運転手は荷物を置いて帰った。タクシーの領収書と荷物を部屋まで持っていくよ」という。荷物の確認もできていないのに、そりゃ困ったが仕方がない。部屋で待っていると、彼が部屋まで来た。ドアを開けると、ちゃんと忘れたサンプルを持っていたのだ。そして、タクシー代(たぶん30元くらいだったと思う)を払い、お礼を言うと、そのホテルマン、あっさり帰って行った。
● 素晴らしいホテルマンだ!
あれっ?そんな馬鹿な。実は私「当然チップを要求されるのかな?」と思い、わざと荷物を受け取った際、タクシー代だけ渡したのだ。でも当然チップは必要だと思い、準備はしていた。「おいおい、ちょっと待てよ」と思い、そのホテルマンを呼び戻し、チップを渡そうとすると、「要らない」という。これには驚いた!2~3回やり取りの後、「いい仕事をしてくれたのだから、これは当然だ」と言ってほんのわずかな金額だが取ってもらった。
● 偏見はやめてほしい
日中関係がギクシャクしている中、多くの日本人は中国と中国人は嫌いだと思っている。しかし、日中関係に影を落としているのは、ほんのわずかな中国人で、それ以外の中国人は結構いいヤツなのだ。
その後、私も中国に赴任したので多くの中国人に接してきたが、みんな本当にいい仲間だ。中国人と接する機会を是非持ってみてほしい。きっと、気のいい仲間になるハズだ。
写真は上海の街。(執筆者:廣井正義・日本経営管理教育協会会員 編集担当:水野陽子)
私がまだ出張で中国に行っていた頃のことである。うろ覚えだが、たぶん2005年頃だったと思う。その時は日本から5~6人で出張に来ていたが、殆どの人は中国が初めてだった。上海浦東空港について、そこからホテルまでタクシーで分乗して行ったのだが、そのうち1台に積んでいた大事なサンプルを降し忘れたのだ。これは困った。
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2014-05-14 01:30