ストレスチェックによる早期発見フォローが職場ストレス軽減に効果

 アドバンテッジ リスク マネジメント <8769> は2014年5月13日、メンタルヘルス対策プログラム「アドバンテッジEAP」の2013年度実績を解説するセミナーを開催した。「アドバンテッジEAP」のようなストレスチェックは、企業に義務化する法案が今の国会で審議中。14年4月9日に参議院を通過し、衆議院による審議に移った。アドバンテッジ リスク マネジメント執行役員の廣山真氏は、「ストレスレベルの高い従業員は、高ストレス状態にあることを継続的に指摘されるだけで、ストレス低減の効果があることがわかった。カウンセリングによるストレス低減効果は明らかなので、自身のストレス状態を定期的にチェックすることが大事」と語っている。(写真は、企業のストレス課題について講演するアドバンテッジ リスク マネジメント執行役員の廣山真氏。サーチナ撮影)  アドバンテッジ リスク マネジメントが、東京海上日動メディカルサービスと共同で提供している「アドバンテッジEAP」は、「身体の健康診断と同じアプローチを設定した健康診断型EAP(従業員支援プログラム)。2002年にサービスを開始。2013年度の実施対象人数が、法人数約400社の約24万人と、多くの従業員が同じ内容のストレスチェックを受けていることが特徴」(廣山氏)という。  具体的には、「ココロの健康診断eMe(イーミー)」で、「パーソナリティチェック(116問)」と「ストレスチェック(91問)」を実施。個人に結果をフィードバックするとともに、高ストレス状態にある人には、カウンセリングの利用を促すなど、トータルサポートを行っている。一方、チェックを実施した法人に対しては、全体や同業他社との比較などによる分析レポートを作成し、組織的な課題の発見、あるいは、社内人事部・産業保健スタッフとの連携による対策をアドバイスしている。 ■職場でのストレスは「25-29歳」がピーク  2013年度の利用実績データを集計し、分析したところ、「高いストレスを抱えている従業員(ストレスレベル「要注意」)の割合は、全体で10.6%であり、2011年度からの比較では、9.7%→10.2%→10.6%と増加。男性より女性の方が高ストレス者割合は高く、年代別では25-29歳が最も高い結果になった」という。2013年度の調査は、13年5月を中心に実施されており、「2014年に入ってから、賃金の引き上げなど、就労環境に明るい話題が増えてきている。14年度は、職場でのストレスが改善されている可能性はある」(廣山氏)と見通している。  年代別に20代後半が高いストレス状態に置かれていることは、例年の傾向。「20代では“意見尊重の風土”、30代では“チームワーク”、40代では“仕事・職場の負担”、50代では“心理的サポートの不足”がもっともストレスの高い要因。年齢が高くなるにつれて、高ストレス者の割合が低下していく傾向があるのだが、近年では40代後半のストレスレベルが上昇し、“中年層の若年化”という傾向が出ている」と分析している。  ただ、企業ごとのストレスレベルは、「合併・リストラなど、雇用の不安が高まると、如実にストレスが高まる」という。暦年の調査結果にも、個別企業において、極端にストレスレベルが上昇したことによって、全体の数値に響くことがあるといい、「企業ごとのストレスレベルの変化に応じた組織課題への対応が必要になる」という。業種別では、過去3年連続でIT関連が高い結果になった。 ■ストレスは高い状態を「知る」ことによって改善も  廣山氏は、「アドバンテッジEAP」の実施結果を振り返って、「ストレスチェックは実施するだけでは効果がなく、高いストレス状態にある従業員がカウンセリングを受けるなどの対応を行うことが重要。アドバンテッジEAPは、ストレスレベルが相対的に高い25%の方々をフォロー対象者として、カウンセリングの利用を促すメールを繰り返し送っている。チェックを受けた全体ではカウンセリングの利用率は5.5%だったものの、フォロー対象者の利用率は23%と約4倍。カウンセリング利用を促すことが重要」と語っている。  また、前年度のストレスチェック結果でフォロー対象者となった人の57.7%が今回のストレスチェックでストレスレベルの軽減が見られた。「たとえば、健康診断でメタボかもしれませんと指摘を受けると、自然とダイエットを意識するようになるような効果が、メンタルヘルスにも当てはまるかもしれない」(廣山氏)と、フォロー制度の効果について語っている。また、「高いストレスを抱えている状況は、決して病気ではない。うつなどの病気になる前に、専門家のカウンセリングを受けてココロの状態を改善するということを職場において積極的に取り入れてほしい」とアドバイスしていた。(取材・編集担当:徳永浩)
アドバンテッジ リスク マネジメントは2014年5月13日、「アドバンテッジEAP」の2013年度実績を解説するセミナーを開催した。(写真は、企業のストレス課題について講演するアドバンテッジ リスク マネジメント執行役員の廣山真氏。サーチナ撮影)
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2014-05-14 12:45