中国人への査証緩和は<水道の蛇口>・・・是正望まれる「日本の矛盾」

訪日観光査証取得に関して、外務省(中国現地の場合、日本国大使館・総領事館)は中国訪日取扱旅行社に対して、下記のような一定の取得要件を示していたようだ。かなり的外れでアバウトだったため、現在は形骸化している。
◆2009年に地域限定で個人査証が解禁した当初は、所得要件として、年収25万元という基準だったが、2010年には、10万元に引き下げられた。(目安)
◆所得要件があまり意味をなさないということから、「一流企業勤務」や「国際クレジットカードのゴールド会員」というような、安定した職業やステイタスがある人、及びその親族に対しても認可するようになっている。
上記の要件は、外務省が旅行会社に課している必須条件ではなく、あくまでも目安の認可水準であり、最終的な承認可否は大使館・総領事館の担当者の裁量判断による。
信用審査は原則として取り扱い旅行会社に委ねられており、その信用に値する証明書があれば申請は可能である。しかし、旅行会社が個別の旅行希望者について「査証発給に十分な信用がある」と判断し、申請した場合でも、明確な理由もなく却下されるようなケースも多く発生している。日本側は査証の発給拒否について理由を一切説明しないないため、旅行会社も顧客に説明する術(すべ)がなく困惑している。
■訪日客増加の鍵握る「査証政策」
2013年7月にタイ、マレーシア人への査証が免除され、訪日客数上位10カ国のうち査証取得を義務付けられているのは、第3位の中国だけである。まさに政治問題が大きく影響している。タイ、マレーシアに対しては、日本政府がASEANとの関係強化のために差し出した、いわば御土産である。
中国に対しても、一気に査証免除までは難しいとしても、一定の基準で一定の審査をクリアした人に対しては査証取得を認可すべきである。2013年には訪日外国人数が1000万人の大台を超えた。中国マーケットが更に活発になれば、訪日者が一気に拡大することは目に見えてる。
その鍵が、まさに中国への査証政策であり、査証緩和はまさに『水道の蛇口』といえる。訪日旅行を通じ、日本を肌で感じてもらい、お互いが交流することにより、日中関係の流れは変わるであろう。人の行き来がなければ、何も発展しない。
■是正望まれる「日本の矛盾」
私の個人的な希望的見通しとしては、近い将来に、日中首脳会議が決行され、両国間の観光需要拡大の話題が上がると思う。その中で、日本からの関係改善策のひとつとして、査証緩和政策のお土産が出されると読んでいる。
固くなっていた水道の蛇口を緩め、流れを豊かにするべきである。観光庁(国交省)が誘客予算を掛けてPRしている一方で、外務省、法務省、警察庁が大きな壁を作るような行為をしている状況は一刻も早く是正して欲しい。
中国マーケットを取り入れずして、訪日外国人客数のUPは望めない。何よりも日本の文化を好み、訪れてくれる中国人客に対し、我々は心からのおもてなしで迎えたいと思う。
追記:
中国からの旅行者が日本で「逃亡」した場合には、中国側の旅行会社、日本側の旅行会社(ランドオペレーター)の双方に「ペナルティー」が科せられる。中国の旅行会社は、顧客が旅行中に逃亡した場合のペナルティーリスクが高いとして、リスクヘッジとして旅行参加者から保証金を預かり、帰国してから返金することが一般的だ。保証金は多くの場合、1人あたり5万元(約80万円)程度だ。
(執筆者:近藤 剛 提供:中国ビジネスヘッドライン)
訪日観光査証取得に関して、外務省(中国現地の場合、日本国大使館・総領事館)は中国訪日取扱旅行社に対して、下記のような一定の取得要件を示していたようだ。かなり的外れでアバウトだったため、現在は形骸化している。
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2014-05-15 11:15