川崎近海汽船はモミ合い上放れのタイミング、今期業績見通しを評価
川崎近海汽船 <9179> (東2)の株価はモミ合い展開だが、下値固めは完了している。今期(15年3月期)増収増益見通しや指標面の割安感を評価してモミ合い上放れのタイミングだろう。
石炭・木材・鋼材輸送などの近海部門と、石炭・石灰石・紙製品・農産品輸送やフェリー輸送などの内航部門、その他事業(北海道地区における不動産賃貸事業など)を展開している。
4月30日に発表した14年度中期経営計画では、目標値として17年3月期売上高490億円(近海部門180億円、内航部門310億円)、営業利益37億50百万円(近海部門4億円の赤字、内航部門41億50百万円)、経常利益37億円、純利益24億円、新造船建造等に対する3年間(15年3月期~17年3月期)総額の投資額135億円を掲げている。近海部門では船隊大型化、バルク輸送の船隊整備、内航部門では不定期船輸送の船隊整備などを推進する方針だ。
中期成長に向けた新規分野として、日本近海における海洋資源開発・探査・掘削設備および洋上再生可能エネルギー設備に関わるオフショア支援船業務に進出し、13年10月にオフショア・オペレーションと均等出資で合弁会社オフショア・ジャパンを設立した。また外航関連では新規にインド駐在員を置く方針を示している。
4月30日に発表した前期(14年3月期)連結業績(9月13日に増額修正、2月24日に船舶売却損失計上で純利益を減額、4月24日に売上高、営業利益、経常利益を増額して純利益を保有船舶減損損失計上で減額)は、売上高が前々期比7.5%増の456億33百万円、営業利益が同13.3%増の19億95百万円、経常利益が同21.0%増の19億91百万円、純利益が同50.5%減の5億30百万円だった。
内航部門でセメント・石灰石・石炭などの輸送量が増加し、不定期船輸送が高稼働で推移した。船舶売却損および保有船舶減損損失の計上で純利益は減益だったが、増収営業増益だった。配当予想は同1円増配の年間9円(第2四半期末5円、期末4円)とした。
主要セグメントの動向を見ると、近海部門は石炭・セメントなどのバルク輸送量が増加して売上高が同8.5%増の163億71百万円だったが、市況低迷の長期化で営業利益が12億66百万円の赤字(前々期は10億48百万円の赤字)だった。内航部門は石灰石・石炭などの専用船の輸送量が増加して売上高が同7.1%増の292億24百万円、営業利益が同16.9%増の32億48百万円だった。
今期(15年3月期)連結業績見通しについては、売上高が前期比4.1%増の475億円、営業利益が同5.2%増の21億円、経常利益が同0.4%増の20億円、純利益が同2.4倍の13億円としている。配当予想は同1円増配の年間10円(第2四半期末5円、期末5円)とした。
近海部門ではバルク輸送、内航部門では専用船輸送やRORO船定期航路が堅調に推移し、船舶量適正化や運航コスト削減なども寄与する。燃料油価格の上昇などを吸収して営業増益見込みだ。純利益は特別損失の一巡が寄与する。なお想定為替レートは1米ドル=105円(前期実績は1米ドル=99円52銭)としている。
株価の動きを見ると、1月の戻り高値338円から反落後は全般地合い悪化も影響して、概ね290~310円近辺のレンジでモミ合い展開のようだ。4月30日には今期増収増益・増配見通しを好感して311円まで上伸する場面があったが、買いが続かず足元は300円近辺で推移している。ただし安値圏280円台まで下押す動きは見られない。下値固めは完了しているようだ。
5月15日の終値299円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS44円28銭で算出)は6~7倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は3.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS759円23銭で算出)は0.4倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線を回復している。また週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、280円台の52週移動平均線がサポートラインとなっている。好業績見通しと指標面の割安感を評価してモミ合い上放れのタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
川崎近海汽船<9179>(東2)の株価はモミ合い展開だが、下値固めは完了している。今期(15年3月期)増収増益見通しや指標面の割安感を評価してモミ合い上放れのタイミングだろう。
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2014-05-16 09:15