東洋建設は切り返しの動き、事業環境は良好で高値圏を目指す

  海洋土木工事が主力の東洋建設 <1890> の株価は戻り高値圏でのボックス展開だが、足元ではレンジ下限から切り返しの動きを強めている。中期的に事業環境は良好であり、高値圏を目指す展開だろう。   前田建設工業 <1824> の持分法適用関連会社で、港湾インフラ工事など国内外での海洋土木工事を主力としている。国内での震災復旧関連、老朽化インフラ更新関連、国際コンテナ戦略港湾整備関連、遠隔離島の港湾整備関連、海外での新興国港湾インフラ整備関連など中期的に事業環境は良好であり、浮体式洋上風力発電関連、放射性物質セシウム除染関連などテーマ性も豊富だ。浮体式洋上風力発電に関しては12年9月設立の6社1協会による「地域振興型アクア・ウインド事業化研究会」に参画している。   海外はケニアとインドネシアで大型港湾工事を施工中であり、13年10月にはベトナムでニソン製油所の海洋工事を単独受注した。また14年2月にはミャンマーから建設業の営業許可を取得してヤンゴンに出張所を開設した。アジア・アフリカなど新興国における港湾インフラ整備関連の受注拡大が期待される。   5月14日に発表した前期(14年3月期)の連結業績(3月7日に増額修正)は、売上高が前々期比13.2%増の1448億38百万円、営業利益が同41.4%増の40億26百万円、経常利益が同54.7%増の33億62百万円、純利益が同80.3%増の19億97百万円だった。国内土木事業と海外建設事業が牽引し、国内建築事業の損益改善も寄与した。配当予想は同2円増配の年間7円(期末一括)とした。   主要セグメントの動向を見ると、国内土木事業は震災関連の港湾インフラ復旧や国際コンテナ戦略港湾関連が牽引して、売上高が同8.3%増の766億74百万円、利益が同2.9%増の35億84百万円だった。国内建築事業は非住宅分野の受注拡大などで、売上高が同12.0%増の419億66百万円だった。利益は資材価格上昇などで3億27百万円の赤字だったが、前々期の12億26百万円の赤字から大幅に改善した。海外建設事業はケニアや東南アジアなどの臨海部のインフラ整備などで、売上高が同33.8%増の255億54百万円、利益が同38.4%増の4億45百万円だった。   今期(15年3月期)連結業績見通しについては、売上高が前期比2.0%減の1420億円、営業利益が同1.8%増の41億円、経常利益が同1.8%減の33億円、純利益が同9.9%減の18億円としている。配当予想は前期と同額の年間7円(期末一括)とした。   国内の震災復旧関連、港湾インフラ整備関連、都市インフラ整備関連、海外の港湾インフラ整備関連などで受注残高が高水準であり、工事採算の改善も寄与する。個別ベースの前期末工事繰越高は前々期末比8.0%増の1137億33百万円である。工事売上が期末の第4四半期(1月~3月)に集中するため、期初時点では保守的な見通しとなる傾向が強いが、上振れ余地があるだろう。   なお5月14日に新中期経営計画を発表した。土木・建築・海外での安定した収益確保、グループ連携強化による相乗効果の創出などを基本戦略に、達成目標として最終年度の17年3月期連結営業利益50億円以上を掲げた。   株価の動きを見ると、13年11月高値398円から反落後は概ね330円~380円近辺のレンジでボックス展開が続いている。足元では全般地合い悪化も影響して、4月25日のレンジ上限375円から5月15日のレンジ下限331円まで調整した。ただし5月15日は終値で前日比11円高の345円まで切り返した。レンジ下限からレンジ上限に向かう動きだ。   5月15日の終値345円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS22円49銭で算出)は15~16倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間7円で算出)は2.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS277円31銭で算出)は1.2倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、ボックスレンジ下限から切り返す動きだ。高値圏を目指す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
海洋土木工事が主力の東洋建設<1890>(東1)の株価は戻り高値圏でのボックス展開だが、足元ではレンジ下限から切り返しの動きを強めている。
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2014-05-16 09:15