【為替本日の注目点】ドル安進むもドル円「健闘」、歴史的極めて低い米金利の行方

 NY市場  ドル円は夕方黒田日銀総裁の講演内容が伝わると102円台前半まで戻す場面もあったが、すぐに101円台に押し戻され、NY市場では長期金利の低下を手がかりに101円31銭までドル安が進む。  ユーロ圏のGDPが予想を下回ったことや、ECB副総裁が追加緩和の可能性を排除しないなどと発言したことでユーロドルは1.36台半ばまで下落。NY市場ではドル安が進んだことからドル売りユーロ買いが優勢となり1.37台前半まで反発して引ける。  株式市場は大幅に続落。ウォルマートなどが下げを牽引し、小型株なども大きく売られ、ダウは一時200ドルを超える下落場面も。引けは167ドルの下落で連日100ドルを超える下げを記録。  債券相場は続伸し、10年債利回りは昨年10月以来となる2.5%割れ。株安やユーロ圏の景気の悪化を理由に一時は2.47%台まで低下。   金は反落し再び1300ドル台を割り込む。原油も4日振りに反落。   5月NY連銀製造業景況指数 → 19.01   4月消費者物価指数 → +0.3%   4月鉱工業生産 → -0.6%   新規失業保険申請件数 → 29.7万件    5月NAHB住宅市場指数 → 45   5月フィラデルフィア連銀景況指数 → 15.4    ドル/円 101.31 ~ 102.08  ユーロ/ドル 1.3648 ~ 1.3732  ユーロ/円 138.98 ~ 139.36  NYダウ -167.16 → 16,446.81ドル  GOLD -12.30  → 1,293.60ドル  WTI -0.87 → 101.50ドル  米10年国債 -0.052  → 2.548%  本日の注目イベント  米   4月住宅着工件数   米   4月建設許可件数   米   5月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)   米   ブラード・セントルイス連銀総裁講演   経済指標や要人発言などでやや動きの出てきたドル円ですが、依然として上値が重い展開が続き、米長期金利の約7ヶ月ぶりの低下を受けてNY市場では一時101円31銭までドル安が進む場面がありました。この水準は4月10日以来のドル安水準であると同時に、これまでにも何度も跳ね返されて来た非常に重要な水準です。昨日のNY市場でも今のところサポートされて、101円50-60銭まで押し戻されています。  日銀の黒田総裁は昨日の夕方都内の講演で、「必要であれば、2%の物価目標を達成するための方法、手段、選択肢はたくさんある」と発言し、ドル円を101円80銭近辺から102円12銭まで上昇させましたが、ドル売り圧力も強く、すぐに101円台後半に戻される展開でした。総裁はこのところ、決定会合後の記者会見で「現在は追加緩和の必要はない」と繰り返してきましたが、昨日はそれらに比べるとやや前向きな発言でした。  ただ、具体的な追加緩和の方法については触れていません。昨日発表された日本の1ー3月期のGDPも予想を上振れしており、「2年で2%の物価上昇」が達成できるかもしれないという見方もやや増えてきているのが背景です。  ユーロ円は一段と下げ足を早め、昨日の海外市場では一時139円を割り込む場面もありました。前日はドル円で円高が進んだことがユーロ円下落の主因でしたが、昨日はユーロドルが下落したことで一段とユーロ安が進んだと思われます。ユーロドルは足許では1.37台に戻していますが、一時は2月27日以来となる1.3648まで売り込まれました。  ユーロ圏のGDPが予想を下回ったことで、6月の政策委員会では追加緩和実施の可能性がさらに強まり、さらに、コンスタンシオECB副総裁がベルリンでの講演で「われわれはフォワードガイダンスをあらためて確認するとともに、必要に応じ迅速に行動する決意で追加金融緩和の可能性を排除しない」と強調したことがユーロ売りを加速させたと見られます。予想したように、ECBの高官がこぞって追加緩和を示唆する発言を繰り返しています。ドラギ総裁も、さすがに次回は「狼少年」ではいられません。  ドル円は3月の初めに101円20-30銭の水準でサポートされて以来昨日のトライで、同水準を4度試したことになります。ここを割り込むと「200日線」のある101円15銭がサポートとして機能するかどうかに焦点が移り、さらに2月に記録した100円77銭近辺が意識されます。米長期金利の低下がドル売り円買いを惹起させていますが、2月3日に100円77銭を記録した際の米長期金利は2.57%台でした。  昨日の米債券市場では大幅な株安を受けて一時2.47%台まで金利が低下しましたが、ドル円は101円32銭を底値に反発しています。米金利が当時に比べ10bpも低下している割にはドル円は101円台前半です。「健闘している」と言えなくもありません。焦点は今後さらに米長期金利が低下するのかどうかです。歴史的にも極めて低い米長期金利が今後さらに低下すれば、利回り的な「投資魅力」にも欠けてくると思われますがどうでしょうか・・・・。本日の予想レンジは101円~102円程度と見ます。  米国の株式市場では有名な格言「セル・イン・メイ」(5月に売れ)があります。5月に株価が下落するケースが多いのは事実ですが、日経新聞によると「5月に買え」という強気な見方もあるとか。今年バンクオブアメリカ・メリルは投資家に、「5月に買え」というメモを配ったそうです。どちらか正しかったのか、もうすぐ分かるはずです。良い週末を・・・・。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は夕方黒田日銀総裁の講演内容が伝わると102円台前半まで戻す場面もあったが、すぐに101円台に押し戻され、NY市場では長期金利の低下を手がかりに101円31銭までドル安が進む。
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2014-05-16 09:45