【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】認知症とうつ病との関連
4月に引き続き軽度認知症の早期診断についてお話させていただきます。初期の軽度認知症の診断は、認知症の専門医でも短時間の診察では困難です。私も外来でご主人が来院され、「家内の物忘れがひどく、認知症ではないですか」との問い合わせに、実際に奥様の診察では、「初期の認知症」を疑うことが困難な時がよくあります。
認知症患者さんは取り繕いが上手であり、初期段階では日常生活の破綻や判断能力も障害されていません。初期の軽度認知症の診断では私は患者さんが、「受診日を間違える」ことがあれば、ご家族に、「計算が苦手でスーパではどうですか?お札でいつも払うので財布には小銭が一杯ではないですか」など日常生活に即した質問し、早期診断に努めています。
認知症と考えられていた患者さんのなかには、内科的疾患が隠れていることがあります。甲状腺機能低下症、ビタミンB12欠乏症、アルコール多飲などに注意が必要ですが、睡眠薬や鎮静剤などの常用でも認知機能低下が起こります。また認知症の患者さんでは、うつ病を合併することも多く、日々の外来でしばしば苦慮するのが、「老年期うつ病」との鑑別です。色々な質問に対して、「認知症患者」さんでは、取り繕いが上手く質問への反応が早いのですが、「老年期うつ病」患者さんでは質問には直ぐに、「分からない」とあきらめることが多いことで鑑別をしていきます。
誰もが一時的に、「うつ病」に罹る時代ですが、軽いうつ病を繰り返すことで認知のゆがみが生じ、認知症に発展することもあります。うつ病だけでなく認知症の予防のためにも、(1)週50時間以上の睡眠時間の確保、(2)起床時刻の一定化(休日起床時刻も平日起床時刻の2時間以内)、(3)週3日の休肝日を心掛けて下さい。
うつ病も認知症も早期診断・治療で病気の進展を遅らせることが可能ですので、ご自身だけでなく周囲の人で心配な方がいれば早めにかかりつけ医にご相談下さい。(自衛隊中央病院消化器内科部長)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
4月に引き続き軽度認知症の早期診断についてお話させていただきます。初期の軽度認知症の診断は、認知症の専門医でも短時間の診察では困難です。
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2014-05-17 12:45