【投資戦略2014】SBI証券、ロケットスタートで年央2万円も

SBI証券の投資調査部シニアマーケットアナリスト、藤本誠之氏は「2014年はロケットスタートで始まり、6月-7月には日経平均株価で1万8000円から2万円の高値を目指す展開になろう」と見通している。特に、2014年1月にスタートする少額投資非課税制度「NISA」によって、個人投資家の投資意欲が高まり、個人投資家が好みそうな「高配当利回り」「株主優待に優れた企業」などに注目が集まるとする。
――2014年の日本株市場の全体感は?
ロケットスタートになると考えます。2014年1月にスタートする「NISA」は、2013年12月26日約定分から制度適用されています。このNISAに対する個人投資家の関心は高く、また、その制度上、購入後すぐに売ることは考えにくいので、株式市場の新たな買いセクターとして注目されます。
また、2013年12月16日の週には、1週間で9銘柄も株式の新規上場が実施され、6年9カ月ぶりの盛り上がりとなったIPO(新規公開株)は、2014年1月にはゼロの見通し。重ねて活発に行われていた公募増資も1月には、ほとんど実施されない見通しで、1月は株式の需給面も改善します。
一方、1月下旬から2月にかけて、3月決算企業の第3四半期決算(4月-12月)の発表が行われますが、1ドル=104円台に進んだ円安を踏まえた業績修正が目立ってくると思います。想定為替レートを100円以下に置いていた輸出企業では、業績の上方修正が頻発することになり、企業業績の向上を材料として、株価は一段高に進むと見ます。
ただ、3月-4月になってくると、消費増税の影響が気になり始め、株価の動きも鈍ってくると思います。そこで、4月の消費が大きく落ち込まなければ、再び株高が加速するでしょう。反対に、4月に思わず消費が落ち込んだ場合でも、政府による経済対策や日銀の金融緩和などの対応策が残っているので挽回できると思います。株式市場ではアベノミクスの“第三の矢”といわれる成長戦略が大きなインパクトがないという不満の声がありますが、4月の消費増税を考えれば、これは、「まだ打つ手が残っている」と前向きに評価していいと思います。
日銀による一段の金融緩和については、日本株ETFやJ-REITの買いを増額させることになるでしょう。政府による経済対策の発表と、日銀の緩和が揃って出てくれば、株式市場は、「アベノミクス第2幕」といった受け止め方をするでしょう。ここに、4月の賃上げや夏のボーナス増額などの話題が重なれば、6月から7月にかけて日経平均で1万8000円から2万円を目指す動きが期待できます。
――史上最高値を更新するほどに値上がりした米国市場の見方は?
米国は、1-3月は引き続き強いと思います。金融緩和の出口戦略を考えるほどに景気は持ち直してきていますし、米国で始まったシェールガス革命は、米国のエネルギー事情を改善させ、かつ、安全保障に関するコストを引き下げることにもつながります。ただし、米国は2014年に中間選挙を実施するため、年後半は不透明です。
ちょうど、2014年には同時多発テロで崩壊したワールドトレードセンター跡地に、「1ワールドトレードセンター」が完成する見通しになっています。これは、2001年9月11日のショックから、リーマン・ショックを経て、アメリカが立ち直ったことの象徴ともいえる出来事になるのですが、この象徴的な出来事によって、上昇相場にひとつの区切りが打たれるような気がします。
ただ、米国経済が大きく落ち込む懸念はないので、米国株が大きく崩れる心配はないでしょう。海外要因として注意するのは、やはり、欧州発の突発的な出来事だと思います。
――注目銘柄は?
まず、「NISA」によって個人投資家が何を買うのか? という視点が重要です。この点では、「配当利回りが高い銘柄」、また、「株主優待に積極的な銘柄」が筆頭候補になります。すでに、SBI証券の株主優待コンテンツのPVは大幅に増えています。2013年11月に株主優待の権利が確定するイオン <8267> 、ビックカメラ <3048> 、ヴィレッジヴァンガード <2769> などが人気化しましたが、このような傾向は2014年には、より鮮明になると思います。
次に、初めて株式投資をなさる方は、倒産リスクを避け、「安心できる銘柄」を選択しようとするでしょう。東京証券取引所と日経新聞が新たに作った「JPX日経400」という株価指数に採用されている銘柄は、「市場をけん引する企業」としてお墨付きを得たような銘柄群といえ、この中から、銘柄を選ぶということもひとつの方法です。
採用400銘柄には、日本コークス工業 <3315> のような低位株や、コーナン商事 <7516> 、バロー <9956> などのように、割安で忘れられている銘柄もあります。このような銘柄は、NISAの運用期間である5年間のどこかで人気化する可能性もありますので、じっくりと取り組むつもりで見直されることもあるでしょう。
また、2014年は、「ガンダム35周年」が注目されます。初代のガンダムが誕生してから35年目の節目に当たり、新作ガンダムの計画もあります。3月には、恒例のアニメフェアもありますので、ガンダムに関連するアニメ企業が注目されるでしょう。「クールジャパン」といわれ、アニメなどのコンテンツビジネスは、日本の成長産業にも位置づけられるので、アニメフェアをピークに人気化する可能性があります。(編集担当:徳永浩)
SBI証券の投資調査部シニアマーケットアナリスト、藤本誠之氏は「2014年はロケットスタートで始まり、6月-7月には日経平均株価で1万8000円から2万円の高値を目指す展開になろう」と見通している。(写真は、藤本誠之氏。サーチナ撮影)
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2013-12-25 14:45